AH-56とは、アメリカ陸軍が開発した出落ちに定評がある試作ヘリコプターである。愛称はシャイアン[1]。
時代はベトナム戦争の最中。この戦争でアメリカは汎用ヘリであるUH-1を大量に投入したのだがUH-1は本来の目的である輸送用だけでなく、機関銃を取り付け上空から歩兵を支援する今で言う戦闘ヘリ的な運用も行なわれていた。しかし所詮は輸送ヘリ。装甲が薄くパカパカ落とされるという問題が発生していた。そこで1965年、事業仕分けに定評があるミサイル万能主義者ロバート・マクナマラ国防長官はAAFSS(新型航空火力支援システム)計画を立ち上げ、戦闘に特化したヘリコプターを新規開発する決断を下した。いつものマクナマラならミサイルで何とかしろとか言うと思うのだが。そこに応募したのが当時ヘリコプターなんか一度も開発したことがなかったロッキード社。そんな装備で大丈夫か?!
ロッキードが提唱したのは複合ヘリコプターであった。普通はメインローター(上についてるでっかいアレ)とテイルローター(後ろについている小さいアレ)がヘリコプターの標準なのだが、シャイアンはテイルローターのさらに後ろに推進用プロペラを取り付け速度を上げる足しとし、さらに、
とまぁ、現在のいわゆる戦闘ヘリのフォーマットをほぼ実現したのである。特に上4つは後のコブラアパッチハインドハボックホーカムティグールローイファルクしまいにゃOH-1にいたるまでみんな真似する事になる。
実際に出来上がった機体には技術的な問題点が多かった。陸軍は回転翼の設計不良とエンジントラブルに起因する運動性の不良や、機体に存在する構造的な問題(高速を出すために最後尾に推進用のプロペラを備えていたため、加速するたびに急激なトルクが加わって機体が急激に左右に傾斜する)による墜落の危険性などを指摘した。後者については1969年に試験飛行中の試作機が墜落してパイロットが死亡したことで深刻さが浮き彫りになった。
1ヶ月後に陸軍はロッキードに改善通告を出し、期限内に問題を解決できなければ開発をキャンセルすると伝えたが、ロッキードは問題を解決できず、1969年5月、シャイアンの生産はキャンセルされた。その後も陸軍は開発費をロッキードに与え続けて研究だけが細々と続いたが、改善の見込みが立たないとして3年後にようやく開発計画は打ち切られた。
ロッキードはヘリコプター製造のノウハウを一切持っていなかった為、シャイアンの開発受注は驚きを持って迎えられた。この契約をロッキードに与えた陸軍省の担当部局トップのウィリス・ホーキンズは、2年前にその職につく以前はロッキードの重役だった。シャイアン計画が1972年に頓挫した後、ホーキンズは部下の将官を連れて再びロッキードに戻っている。
掲示板
6 ななしのよっしん
2015/03/15(日) 17:30:52 ID: Wt0NG4k1qt
計画自体はダメになっちゃったけど
結果的には現代の攻撃ヘリの手本になった機体だし
その設計コンセプトだとか
「攻撃専用のヘリコプターが必要だろ!」
って言ったマクナマラの判断は評価されていいと思うの
7 ななしのよっしん
2018/02/11(日) 20:11:34 ID: y///PvGrjy
8 ななしのよっしん
2022/04/16(土) 10:08:07 ID: suGpx2sNwS
ホーカムみたいなメインローター二重反転+サブ推進ローター二重反転の複合ヘリなら、推進トルクで揺さぶられずに高速出せるか?
それならティルトローターのがいいかもしれん
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最終更新:2024/12/27(金) 22:00
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