グール(Ghoul)とは、生ける死体(リビングデッド)の一種とされる怪物の名前。
曖昧さ回避
概要
日本のフィクション作品ではゾンビと同系列の存在として取り上げられる事が多く、人肉を喰らう怪物として描かれている。ファンタジー系のゲームでは敵モンスターとしておなじみ。漢字で「食屍鬼」と表記される事もある。
しかし元々はリビングデッドではなく、アラビアに伝わる悪魔や精霊のようなものであった。ゾンビは黒魔術のブードゥーが元になっているものなので、グールとゾンビはまったく別の存在である。
アラビアの伝承におけるグールは高い不死性と再生能力を持ち、首や手足を落とされてもすぐに回復してしまう。しかも完全にとどめを刺そうとすると逆に元通りになるため、やられそうになると「とどめを刺せ」と罠を仕掛けてくるのである。またグールは男性形であり、女性のみの場合はグーラーと呼ばれる。
フィクションでの扱い
グールが登場する作品には、以下のようなものがある。設定は概ね、先述の通り。
- ドラゴンクエストシリーズ
- ゾンビ系のモンスターとして登場。くさった死体系の最上位種である(トルネコの大冒険3など一部例外もあり)。4~5体で出現し、仲間をしょっちゅう呼んでくるので全体攻撃でまとめて倒すと良い。
- HELLSING
- 吸血鬼に血を吸われた被害者が非処女・非童貞であった場合、グールと化してしまう。その後自らの血を吸った吸血鬼の支配下となり、また別の人間を襲うようになる。グールに襲われた人間もまた同様にグールと化し、それは際限無く拡大していくのである。
一度グールと化した人間が元に戻る事はない。また元となった吸血鬼が倒された場合、グールも自然消滅する。
- WarCraftシリーズ
- RTSであるWarCraft3でのグールは、アンデッド陣営の初期から使える近接攻撃ユニット兼Wood採集用のワーカーである。アンデッドは他陣営と違い、Gold採掘とWood採集で担当ワーカーが分かれている。近接攻撃ユニットとしては攻撃力は高いが防御力とHP上限が低め。Cannibalizeを研究することで他ユニットの死体を食べて体力回復する能力を得る。Ghoul Frenzyの研究で移動速度と攻撃速度が増加する。
MMORPGであるWorld of WarCraftでのグールはプレイヤーキャラクターであるDeath Knightの使える能力により蘇らされた敵や味方の死体のことで、Petとして使役が可能になる。味方プレイヤーの死体であった場合はグール状態でそのプレイヤーが操作することも可能になっている。
- EverQuest
- MMORPGのEverQuestでのグールは、人型だが長い手足と黒い皮膚を持つ初心者エリアに登場するモンスターである。Magic属性の攻撃でないとダメージが入らない敵で、各種魔法による攻撃は可能だが、近接武器はMagic属性付きでないとなすすべが無くなってしまう。
今となってはMagic属性付きの武器が当たり前のように普及しているためたいした支障もないが、ゲームスタート初期はMagic属性付き武器が出回っていなかったためかなり恐れられた。Magic属性の大事さを知らしめた存在である。
初心者エリア以外でも名前の一部にGhoulを含むモンスターは多数存在する。特に有名なのはカエル種族Froglokの棲まうダンジョンGuk下層のアンデッドサイドで、Froglok種の各職業のグールばかりで構成されている。
- クトゥルフ神話
- H.P.ラヴクラフトの小説「ピックマンのモデル」にグールが登場。これを原典とし、クトゥルフ神話大系においては独立種族として扱われている。
犬のような顔と蹄を持つ怪物で、ゴムのような黄色い皮膚、鼻が曲がるような異臭を放つ。通常は地下に住んで死体を漁っているが、死体が見つからなければ地上に行って餌を作る。グールの子と人間の子を取り換えてグールとして育てる他、人間がグールと共に生活を続けるとグールに変貌してしまう。
同作者の「未知なるカダスを夢に求めて」では、並行世界のドリームランドと地球を行き来できるという設定が追加。「ピックマンのモデル」に登場した狂気の画家はグールになっていたが、主人公とたまたま知り合いだった為、探索に協力するという意外な展開になっている。
ブライアン・マクノートンの小説「食屍姫メリフィリア」では、女グール・メリフィリアが登場。比較的人間に近い風貌と優しい気質を持ち、よんどころない事情から子供の死体を口にする際には涙を流すような、変わり者のグールとして描かれた。かわいい。
また本作において、グールは食べた人間の記憶を読み取り、食した部位と量によっては時間制限つきでその人間に変身できる能力を持っている。人間がグールになる理由にも様々あり、死神に魅入られた者やグールになる病気について示唆されている。
- Falloutシリーズ
- ゲーム内に登場する種族。核戦争後の世界で放射能とウィルスに晒された結果、放射能に対する強い耐性と長寿を得ている。しかしその外見は生ける屍と呼ぶに相応しく、全身の皮膚が失われて鼻は欠け落ちている。人間からは大いに嫌われており、迫害の対象になる事もしばしば。その為グールのみの共同体を築き、ひっそりと暮らしている。
「Fallout4」ではならず者を束ねる「市長」ことジョン・ハンコックが登場。世界一イケメンのグールを自称し、味方になってくれる。また核戦争勃発直後に金庫に逃げ込んだ少年がグール化し、主人公に頼んで生家に連れて行ってもらうというクエストがある。両親も運よく(?)グール化して生き延びており、姿は怪物になったものの、200年ぶりの再会を喜んでいた。
これとは別に「フェラルグール」と呼ばれるものがいる。グール化する際に脳に損傷を負った為、凶暴化して同族やグール以外の相手を攻撃してくる。意外にも足は速く、また群れを作っている為、囲まれると厄介な相手。また放射能汚染で変異した特異個体もおり、攻撃が地味に痛い上に放射能汚染が蓄積されてしまう。
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