『教皇選挙(原題:CONCLAVE)』は2024年に公開されたアメリカ・イギリス合作映画。
英国ジャーナリスト・作家のロバート・ハリスの同盟の小説を題材とし、密室のシスティーナ礼拝堂で行われるコンクラーベの果てに、誰が新たなローマ教皇の座に就くのかを描くミステリー映画である。
監督に2022年のアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『西部戦線異状なし』のエドワード・ベルガー、脚本と製作総指揮には『ザ・ゴールドフィンチ』などを手掛けたピーター・ストローハンを迎え製作。アカデミー美術賞にもノミネートされたセット造形にも注目したい。
アカデミー脚色賞、ゴールデン・グローブ脚本賞などの数々の賞を受賞し、半年遅れかつ非メジャー配給による公開となった日本でも、公開規模を考えると意外なまでに高い集客・収入を記録。奇しくも公開一か月後には現実のフランシスコ教皇が亡くなったことでコンクラーベの開催が決まるという時事ネタもハマり、上々の評価を獲得した。
実際の「教皇選挙(コンクラーベ)」については該当記事を参照のこと。
キリスト教最大教派・カトリック教会。その最高指導者にしてバチカン市国元首であるローマ教皇が死去した。前教皇の葬儀後に執り行われる「教皇選挙(コンクラーベ)」を取り仕切るのは、ローレンス主席枢機卿。己の信仰に疑問を抱くようになり、昨年には前教皇に辞意を伝えるも慰留されていた彼は、これを己の最後の奉仕とするつもりであった。
選挙宿舎であるサン・マルタ館には、世界各国から117名の枢機卿が集う。その中でも当選を有力視されているのは、前教皇を公然と批判する保守派最先鋒のテデスコ枢機卿、史上初のアフリカ系法王の座を狙う保守派・アディエミ枢機卿、中道ゆえ幅広い支持を集めるトランブレ枢機卿だ。ローレンスは盟友であり、前教皇の姿勢を引き継ぐリベラル派のベリーニ枢機卿に支持が集まるよう、それとなく働きかけながら選挙準備を整えていった。
しかし、これが主の最後の試練であるかのように、ローレンスには様々な問題が降りかかる。
トランブレが前教皇の死の直前に面会し、何らかの宣告を下されていたという未確認情報。
選挙初日前夜、滑り込みで現れた「名簿に無い118人目」の枢機卿・テデスコ。
ローレンスの隣室となったアディエミが抱えているらしき問題。
そして意図せず得票したローレンスに、野心の疑念を向けはじめるベリーニ……。
──これは密室のサン・マルタとシスティーナ礼拝堂で繰り広げられる、3日間の物語。
| 教皇選挙 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| 監督 | エドワード・ベルガー |
| 脚本 | ピーター・ストローハン |
| 音楽 | フォルカー・ベルテルマン |
| 製作 | テッサ・ロス 他 |
| 配給 | キノフィルムズ(日) |
| 公開日 | 2024年10月25日(米) 2025年3月20日(日) |
| 上映時間 | 120分 |
| 映画テンプレート | |
現実のコンクラーベは完全密室・非公開だが、綿密な取材と構想に沿って極力再現し、素晴らしい構図と映像美でそれを表現している。このビジュアル面が本作の第一の魅力で、映画全体を格式高い雰囲気で包み込み、ミステリー効果を最大限に高めている。
……が、そんな雰囲気とは裏腹に、繰り広げられるお話は(身も蓋も無いことを言えば)「選挙で揉めるジジイたち」。過去のゴシップやら買収やら極右アジテーションやら、意外と俗っぽい聖職者たちが繰り広げる、信仰心とエゴのぶつかり合いもまた、もう一つの魅力である。役者陣の熱演も観客を物語に強く引き込む原動力となっている。
第94回アカデミー賞で脚色賞を受賞した前評判も合わさってか、近年洋画の不振が目立つ日本において、当初の予想を上回る「ジワ売れ」を記録している。観客はシニア層が多めだが、全体としてはそれより若い、幅広い世代に受けており、販売客席数も休日と平日であまり差がない。
▶もっと見る
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/23(火) 20:00
最終更新:2025/12/23(火) 20:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。