グラディエーター(映画) 単語

リドリーノグラディエーター

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A HERO WILL RISE
いま、ヒーローは立ちあがる

 


グラディエーター(原題:GLADIATOR)とは、2000年開されたアメリカ映画
第73回アカデミー賞で作品賞ほか4部門、第58回ゴールデングローブ賞で作品賞ほか1部門を受賞した映画史に残る名作である。

その他の「グラディエーター闘士)」については該当記事を参照のこと。

概要

あらすじ

時は第16代ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスの治世。共同皇帝ルキウス・ウェルスがし、マルコマンニ戦争が佳に入った頃──ローマ帝国最後の黄金期

民出身のマキシマス・デシムスメリディア将軍は、力のみならず個人の武芸にも優れる人格者として知られ、部下からは論、アウレリウスを始め皇室の面々からも一置かれていた。自らの死期と帝国落を悟ったアウレリウスは、帝国の腐敗を一掃する新皇帝に、危うい所がある息子コンモドゥスではなく、清廉なマキシマスを名しようと考える。

ルシッラのみを頼みに育ち、情と民の名に飢えていたコンモドゥスはそのことを知り絶望を殺め、その罪をマキシマスに擦り付けた。マキシマスは処刑人返り討ちにし、彼を慕う者達の偽装もあって逃亡に成功するが、地位も名誉も、そして家族すらも失い、絶望の淵に立たされる。

行き倒れたマキシマスは奴隷商人誘拐され、闘士(グラディエーターを率いる行師に購入される。生きるために血生臭い闘を繰り返し、「スパニアード(スペイン人)」の呼び名で有名闘士となったマキシマスは、第17代コンモドゥスが開いた先追悼闘会に招かれる。復讐に燃えるマキシマスは皇帝謁見の間を狙い、奴隷仲間闘士たちとローマコロッセオへ乗り込んでいくのだった。

作風

エイリアン』『ブレードランナー』『テルマ&ルイーズ』などの名作を担当した名監督リドリー・スコットの、通算11作監督作品。1億300ドルもの多大な制作費を費やし、最後の黄金期が過ぎ去ろうとしているローマ帝国憧憬と、そこに生きる人々の戦いを叙事的に描いた歴史スペクタクル作品である。スコット監督は『スパルタカス』と『ベン・ハー』のを認めている。

取り扱う時代の都合上、衣装・調度品・セットの数々は流用が見込めず、ほぼ全てが本作だけのために1から制作された。ロケもイングランド(冒頭のゲルマニア合戦)、モロッコ奴隷)、マルタローマ)の3かを股にかけて行われ、高クオリティのVFX特撮と合わせて、当時の風を見事に作り上げている。
単なる情緒的な風景のみならず、カタパルト弾や火矢が乱れ飛ぶゲルマニア合戦や、チャリオットや虎が駆け回る闘も抜かりなく制作されており、アクション映画としても一級品のクオリティを持つ。転がったチャリオットの底面につけられた転倒用ガスボンベが見えてしまっているのはご敬。

奴隷に身を落とした将軍復讐劇』を軸に『病める皇帝議会の対立』を取り入れたシナリオも高く評価されており、特にラッセルクロウ演じるマキシマスは映画史上に残るヒーローとして認知されるに至った。もっともクロウ本人は脚本を気に入っておらず、しつこく注文を付けまくった挙句「世界一俳優だからどんなゴミみたいな台詞でも良く演じてみせる」と放言している。プロ根性というかなんというか……。また、マキシマスとは対を成す悪役コンモドゥスを熱演したアキン・フェニックスにとっては出世作となった。

映画としてはある意味当然だが、歴史ものとしてはスコット監督や脚本チームの「脚色」が多く入っており、1世紀末期当時のローマ社会再現するという点ではいささか瑕疵がある。特にアウレリウスコンモドゥス皇帝の扱いは史実の記録と反する……というか史実を快に無視しており、少なくとも一人の歴史担当が降を表明するほどだった。
また、音楽についても一部楽曲がグスターヴ・ホルスト組曲惑星」との類似性を摘され、ホルスト財団から訴訟を起こされている。

評価

結果としては本作は商業的に大成功を収めた。賞レースを独走し、アメリカだけで1億8770万ドル2000年4位)、全世界合算で4億5764万ドル2000年2位行収入を稼ぎ出したのである。ちなみにクロウオーストラリアでは『M:I-2』を上回る1位を達成。2009年には豪州出身オスカー俳優の記念切手としてクロウ - マキシマスが選出され、クロウを招いた式典まで行われている[1]

当時のアメリカでは「グラディエーター効果」と評されるローマ帝国ブームが起こり、アウレリウスの『自省録』を始めとする書籍が異例の売れ行きを見せたという。コンモドゥスグッドサインb)/バッドサインq)もパロディネタになった。

また本作の大成功によって、ハリウッドでは下火になっていた「歴史もの」企画が再燃し、名作が多々世に送り出された(『トロイ』『アレキサンダー』『キングアーサー』『300 <スリーハンドレッド>』など)。

登場人物/演者

マキシマス / ラッセルクロウ
この物語主人公。軍人としても私人としても優れた英雄だが、本人は故郷の家族と再会することを切望する、一人の父親に過ぎない。かつては兄弟のようにしかったコンモドゥスに貶められ、奴隷に身を落とすが、その力で奴隷仲間の信頼を獲得し、遂には民衆をも味方につけていく。
マルクス・アウレリウス・アントニヌス / リチャードハリス
パックス・ロマーナ最後のとして知られる賢。異民族の征に明け暮れた治世と政治の腐敗に疲れ、共和制への回帰を志向している。息子コンモドゥスには皇帝に必要な「徳」=正義・知恵・不屈・自制を諭していたが、死の間際に自らの教育が「情」ではなく「皇帝の圧制」に過ぎなかったことを悟る。
コンモドゥス / ホアキン・フェニックス
アウレリウス息子で、ルッシラの。優れた「徳」=野心・策謀・勇気・献身を持つ美男子だが、それらの「徳」はに理解されず、寵めるうちに心が歪み、それが更にの不を買う悪循環に陥っていた。皇帝即位後には精神衰弱が進行し、一信頼するルッシラに禁断の感情を抱くようになる。
ルッシラ / コニーニールセン
アウレリウスで、コンモドゥスから「男であったなら大皇帝になった」と称される強かな女傑。かつてはマキシマスと人関係にあったが身分の差で結ばれることを断念し、ルキウス・ウェルスの子を生んだ。の死の相を察しながらコンモドゥスを支えるを選ぶが、やがて元老院を強引にそうとする危機感を募らせていく。
ルキウス / スペンサー・トリート・クラーク
ルッシラと亡きルキウス・ウェルス息子叔父コンモドゥスに懐柔され、ルッシラを動かすための人質にされる。
クィントゥス / トーマス・アラナ
ローマ軍人。マキシマスの右腕だったがコンモドゥスの命に従い、マキシマスを裏切る。
キケロ / トミー・フラナガン
マキシマスの忠実なる従者。ローマ内でマキシマスと再会し、その力になろうとする。
グラックス / デレク・ジャコビ
元老院議員。コンモドゥスと対立する閥の筆頭で、ルシッラの手引きでマキシマスと知り合う。
プロキシモ / オリヴァーリード
ベテラン行師(闘士屋)。抜けのないがめつい男だが、現在ローマから追い出され、地方を巡業している。かつては自身も闘士だったが、アウレリウスの勅許で自由の身になった過去を持ち、その時に与えられた木を今も大切に持ち歩いている。
演じるリードは撮終了間際に急逝し、本作が遺作となった。いくつかのシーンは代役で撮が続行された。
ジュバ / ジャイモン・フンスー
マキシマスと同時期に奴隷にされ、共にプロキシモに買い取られたヌミディア人。自らの運命を受け入れつつも、故郷への帰還は諦めきれておらず、似た遇のマキシマスとは深い友情で結ばれる。
ハーゲン / ラルフメラ
プロキシモ一座では古参闘士。戦いの中でマキシマスに助けられて以降、彼を支えるようになる。

主要な受賞歴

続編

約4半世紀が過ぎた2024年11月。本作の16年後、カラカラゲタ共同皇帝の治世を舞台としたグラディエーター 英雄を呼ぶ開された。幼いころにを亡くし、と生き別れ、一人ヌミディアで育ったローマ闘士・ハンノの戦いが描かれる。

やっぱりというべきか、史実を快に改変し、やたらと危険動物を出すリドリー爺の性癖が更に先鋭化している。

関連動画

    関連項目

     

     

     

    自由になれたな……
    いつか会おう

    ……でも、まだだ
    今はまだ……

     

     

     

    脚注

    1. *ちなみにその他にはニコールキッドマン(ムーランルージュ)、ケイトブランシェット(エリザベス)、ジェフリー・ラッシュ(シャイン)が選ばれている。
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