エアロミディとは、三菱ふそうトラック・バスが販売している中型バスのブランド名である。
概要
長さ7m~10.5m、幅2m~2.3mの小型・中型バス。狭隘区間を通る・輸送量の少ない路線バスや小口団体向けの貸切バス、企業・学校の送迎バスなどへの導入が多く見られる。
かつてはリクライニングシート・ハイデッカー・スイングドアの観光仕様も存在したが、ラインナップ整理によって消滅し現在は幅2.3m、長さ9mノンステップ路線用のみが製造を続けている。
エアロミディMK
エアロミディシリーズの中核とも言える車種。路線系と観光・自家用系の2種類が設定されていたが、現在は路線系のみとなっている。
K/P-MK系
従来のMK115系をモデルチェンジする形で1979年に誕生。中型バス業界で初めて昭和54年排ガス規制に適合した車種。車体長は7.8m、8.6mの2種類を用意した。エンジンは出力170馬力の6D15型を搭載するが、このクラスで170馬力は当時最強だった。観光系にはターボチャージャー付で出力195馬力を確保した6D14T型を搭載したモデルもある。トランスミッションは全車ロッド式直結5速MT。
1981年に呉羽製車体がスケルトンに変更され、標準尺の車体長が9mに伸びた。1983年にはエアサス車が路線系、観光・自家用系の両方に設定され、間もなく昭和58年排ガス規制適合により排ガス規制記号がP-となった。
1986年、MK7m車が登場し同時にエアロミディの愛称が与えられた。
P/U-MK系
1988年1月発売。ボディスタイルが大きく変化し、路線系は大型路線車のエアロスターKに近いデザイン、観光系はエアロミディ共通のイメージとなった。エンジンは出力185馬力の6D16型を搭載し、トランスミッションはロッド式5速MTに加えてフィンガーコントロール式もオプションで設定。
車体長・ホイールベースや足回りのバリエーションは従来通りで、1990年7月には平成元年排ガス規制へ適合している。P-代とU-代の識別ポイントはマフラーの形状・エンジン音・バックブザーの音である。
ヘッドライトは丸形を標準とし、角型をオプションで設定した。路線用では輸出モデルも存在し、香港にはアリソンATを積んだ車両が、台湾には車体を現地メーカーで架装した車両が存在する。
観光系のみターボチャージャー付で出力200馬力の6D14T型エンジンを搭載するモデルがあり、独立懸架式サスペンションとなっているモデルもある。
U-MK系
1993年9月発売。ボディが三菱自動車バス製造製にモデルチェンジ。路線系と観光系スタンダードデッカーは角形4灯ヘッドランプをバンパーに組み込んだデザインとなり、このデザインは最新ロットまで受け継がれている。ちなみに、観光系ハイデッカーは異形4灯プロジェクターヘッドランプをバンパーに組み込むデザインとなっている。
この他エンジンが6D17型へ変更され、出力が210馬力にアップ。排気量も大きくなっている。この関係で、先代モデルと比べてエンジン音が非常に重みのある音になっている。ステアリングの形状およびメーターパネルなどの運転席まわりは前年に発売されたニューエアロバス・エアロクィーンに近いものとなっている。トランスミッションは5速MTに加えてオプションで3速ATも用意された。
また、西日本車体工業の手によって特注ながらワンステップバスも用意された。
このモデルも輸出仕様があるが、エンジンは6D14を搭載している。
KC-MK系
1995年6月発売。平成6年排出ガス規制に対応してマイナーチェンジされ、エンジンは出力220馬力の6D17-Iに変更されている。外観に大きな変化はないが、マフラーの位置がU-MK系後期型とは逆の右側になっていることとリアルーバーの形状で見分けられる。またオプション扱いながらアイドリングストップシステムも設定。
1998年5月に一部改良が実施され、衝撃吸収式ステアリングの装備、メーターパネル内の警告表示部分にLED式を採用、それまで改造扱いだったワンステップバスが正式設定された。
KK-MK系
1999年7月発売。平成10年排出ガス規制に伴いエンジンが出力225馬力の6M61-3に変更され、ホイールパーク式駐車ブレーキが装備された。発売当初は8.2m車、ツーステップ車の設定があったが間もなく廃止された。9mワンステップ車にはリーフサスとエアサスを設定し、2002年11月には10.5mノンステップ車を設定した。10.5mノンステップ車はウナギのあだ名がある。
トランスミッションはフィンガーコントロール式5速MTと5速ATを設定。10.5mノンステップ車にはアイドリングストップシステムを標準装備。当初はロッド式MTもあったが、2002年10月のラインナップ整理で姿を消した。
中ドアは引き戸を標準としながらも、2枚折戸および4枚折戸も8.2m車と10.5m車を除いて選択可能だった。
なおこのモデルは9m5速MT車でリーフサス車・エアサス車でファイナルギアの設定が異なっている。
また10.5mノンステップ車はいわゆる中型ロングと呼ばれる車両群に属し、日野・日産ディーゼルの同クラス車が排ガス規制記号KL-を名乗るのに対し、本車は車体が軽かったためKK-を名乗っている。
PA-MK系
2004年12月発売。エンジンはインタークーラー、ターボ付きで出力240馬力の6M60(T1)を搭載。トランスミッションは5速MTのみとなった。
ラインナップは当初9mノンステップ車及び10.5mノンステップ車の2種類だったが、2005年秋に9mワンステップ車も設定。9mノンステップ車はエアロミディMJ9mノンステップの代替とも言える位置づけで、エンジンはMJ9mの横置きから縦置きとなっている。なおサスペンションはエアサスに一本化され、リーフサスは消滅した。
このモデルはリコール隠しの影響により販売台数が伸び悩み、2007年8月に製造中止となった。
この次のモデルは日産ディーゼルスペースランナーRM・スペースランナーJPのOEM車であるエアロミディ-Sで、三菱シャーシに三菱ボディの組み合わせが復活するのはPA-代の製造中止から4年4ヶ月後の2011年12月まで待つこととなる。
SKG-MK系
2011年12月発売。およそ4年ぶりに三菱ふそう製シャーシと三菱ふそうバス製造製純正車体との組み合わせが復活。見た目こそPA-MK系にそっくりだが、中扉の位置が46cm後ろにずれた他マフラーの位置が左側に戻るなどの違いがある。PA-代まで存在した観光・自家用系の設定は今モデルより無くなった。
排ガス処理システムには尿素SCRと再生制御式DPFのBlueTecシステムを採用し、新開発の直列6気筒エンジンの6M60(T3)型搭載により中型バスで最初に平成27年度重量車燃費基準を達成した。トランスミッションはOD付6速MT。
TKG-MK系
2012年4月発売。当初はエコカー減税への対応で排ガス規制の変更のみだったが同年9月にマイナーチェンジが実施された。
- ブレーキオーバーライドシステムを装備し、ブレーキとアクセルを同時に踏んだ場合でもブレーキが優先されるように
- 運転席に3点多重感知式ELRシートベルトを採用
- 新ワンマンバス構造要件への対応
- 尿素水タンクの材質変更と容量増大
- 車いす固定ベルトにリトラクタ式ベルトを採用
ちなみに、東濃鉄道には本モデルのトップドア仕様が存在する。中ドアがないために車椅子は乗り降りできず、車椅子マークがない。
エアロミディMJ
長さ7m幅2.3mの小型バス。元々はMK系の派生バージョンとして1985年11月から販売されたMK126Fが前身で、1988年にエアロミディMJシリーズとして独立した。
観光仕様のみだったが、後に狭隘路線向けに路線仕様も登場した。
ちなみに観光仕様では定員が運転手を含めても30人に満たないため、非常口がない。
P-MK126F
1985年、当時のエアロシリーズ最小クラスとして登場。エンジンは出力175馬力の6D15型を搭載。エンジンを横置きにするT-Driveを採用することで室内空間の拡大に貢献した。ボディスタイルはエアロミディMK観光用とほぼ同様で、路線仕様・エアサスの設定はない。
P/U-MJ系
1988年、モデルチェンジによってMK系から独立。エアサス仕様が登場した。エンジンは出力185馬力の6D16型を搭載。1989年に「平成元年排出ガス規制」に対応し、規制記号がP-からU-に変更されたが、外観・仕様に変更点はない。
ボディスタイルはエアロミディMK観光用とほぼ同様で、やはり路線仕様の設定はないが特注で中扉と非常口を増設の上路線バスに使用した例も無いわけではない。
U-MJ系
1993年9月発売。このモデルチェンジでボディスタイルがニューエアロバスに準じた物となり、観光仕様に加えて路線仕様が正式設定された。
観光仕様はエアサス、出力210馬力の6D17型エンジンを搭載し、路線仕様はリーフサス、出力190馬力の6D16型を搭載。
路線仕様は中ドアが増設され、非公式側ホイールベース間に非常口が設置されており、非公式側を見ただけでも観光仕様と見分けられる。
KC-MJ系
観光仕様はエンジンが変更され、出力が10馬力向上した6D17-I型に変更され、改造扱いでホイールベースを延長したタイプも登場。
路線仕様もエンジンが変更され、6D17-II型を搭載。ワンステップバスも登場し、フロントマスクはMK路線系と同様になった。ただし路線仕様でもツーステップ車は観光系と同じフロントマスクを選ぶことが出来た模様(かつて豊鉄バスに1両そういう車両が存在した)
KK-MJ系(前期型)
1998年にマイナーチェンジを行い、「平成10年排出ガス規制」「中期安全ブレーキ規制」「平成10年騒音規制」へ対応。前モデルと比較した外観上の差異は少ない。エンジンは6M6系を搭載。
KK-MJ26HF改
KK-MJ系ワンステップ車をベースに、MJ系初のノンステップバスが登場。この仕様に限り、モデル名は「エアロノーステップミディ」とされ、車体長7m車に加えて9m車が登場。9m車はリアオーバーハングをそのままにホイールベースだけを延長しているので、ノンステップエリアが当時の中型バスで最大となっている他、中ドアの位置がかなり後ろにずれているのが特徴。
ただロングホイールベースなために小回りが効きづらい、中ドアの位置がかなり後よりなのでガードレールの切れ目に合わせづらいなど運転手からの評判は・・・お察しください。
KK-MJ系(路線系後期型)
2002年10月に路線系がマイナーチェンジされた。前代との違いは、ステアリング形状、屋根上のエアコン形状及びリヤガーニッシュ部。モデル名も「エアロミディ・ノンステップ」となった。
2004年、平成15年排出ガス規制への対応時に国土交通省の標準仕様にあわせるため路線系は製造中止となった。7mノンステップは後述のエアロミディMEへ、9mノンステップはエアロミディMK9mへ引き継がれた。
PA-MJ系
2005年にマイナーチェンジ。このモデルから観光系のみとなった。
この頃には日野・メルファ7が製造中止となっていたこともあって中型バスをベースとした小型バス唯一のモデルだったが、2007年に製造中止となった。
エアロミディME
長さ7m幅2mのバス。路線用のみの設定でエアロミディシリーズ最小モデル。
回転半径が小さく、コミュニティバスへの導入例が多かったが通常の路線バスへの導入がなかったわけではない。2007年製造中止。ちなみに整備解説書によると、エンジンの取り外しにフォークリフトが必要とのことである。
エアロミディ-S
日産ディーゼルスペースランナーRM・スペースランナーJPのOEM車。車両そのものの設計・開発は日産ディーゼルが担当しているが、三菱ふそうもエンジン・リアバンパーとその周辺の開発で関与している。車体は日産ディーゼルのバス御用達の車体メーカー西日本車体工業製。
2010年販売終了。
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関連項目
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