日野・レインボーとは、日野自動車が販売する中型バスである。
かつては小型・中型バスにおける統一ブランド名であった。
概要
車名の由来は「虹」を意味する英語で、最初のモデル発表に際し社内公募された。
1968年(1969年という説もあり)、小型バス『BM320』に「レインボー」の名称が初めて与えられ、1980年にモデルチェンジした中型バスにも「レインボーRJ/RR」の名称が与えられたことで、小型・中型共通のブランドへ拡大した。
後述のように多数のタイプが設定されており、対応するトラックベースとはいえ、ほぼ自社で開発・製造をおこなっていた。前述の中型バス「レインボーRJ/RR」や全幅2mクラスで初のリアエンジン車「レインボーRB」など、業界全体に大きなインパクトを残した。
21世紀に入ると様々に理由からラインナップの縮小や名称変更がなされた結果、現在販売されている、いすゞ自動車の中型路線バス「エルガミオ」との統合車種の名称となっている。
各モデル概略
レインボー/BM320系(1968年~1976年)
ベースは中型トラック『KM系』で、ボディは帝国自動車工業と金産自動車工業(ともに現在のジェイ・バス)が、それぞれ異なるデザインのボディを架装した。エンジンは直4ディーゼルが搭載された。
レインボー/AM100系→AC140系(1976年~1988年)
BM320系の後継車で、ボディは帝国と金産が合併して成立した日野車体工業が架装した。いすゞ・ジャーニーQとほぼ同等の幅に拡大されており、エンジンは直6ディーゼルになった。フロントマスクは中型トラック「レンジャー」に似たデザイン。
レインボーRJ/RR系(1980年~2004年[1])
中型バスRL系の後継車。路線用と自家用・観光用が用意され、路線用と観光・自家用で大きく異なるスタイルとなっている。スケルトン構造を生かした、大型バスに引けをとらない存在感と窓面積の大きさが大きな反響となり、RL系より販売台数を伸ばした。RJ系はリーフサスで主に路線用、RR系は板バネ併用エアサスで主に観光用となる。日野車体架装のボディがほとんどだが、富士重工業や西日本車体工業がボディ架装した車両もある。
- 1980年に『K-RJ170/172AA』として新設。
- 1982年、エアサス車『RR系』追加。
- 1984年、エンジンを換装し『P-RJ170/172BA』『P-RR170/172BA』へ移行。
- 1988年、フルモデルチェンジで『U-RJ171/172CA』『U-RR171/172CA』へ移行。ディーゼルターボ追加設定。
- 1990年、一部改良と形式変更『U-RJ3HG/3HJ』『U-RR3HG/3HJ』へ移行。
- 1995年、エンジン換装と形式変更『KC-RJ1JJ』『KC-RR1JG/1JJ』へ移行。
- 1999年、自家用・観光用が「メルファ9」へバトンタッチ。路線用のみとなり、短尺車も廃止。
2004年、路線用も「エルガミオ」のOEM供給車(のちに統合車種)である「レインボーⅡ」にバトンタッチされた。ちなみにディズニーリゾートクルーザーの一部車両はレインボーRJ系をベースに改造した車両だったりする。
レインボーRB/AB(1985年~1995年)
それまで日野のラインナップになかった全長7m×全幅2mのモデル。AB系はAC系の幅を狭めたFR車なのに対し、RB系はクラス初のリアエンジン車。ボディは日野車体製、エンジンは直4ディーゼルで、RB系にはターボエンジンも設定された。
- 1985年に『P-RB/AB115AA』『P-RB145AA(ターボ付)』として新設。
- 1990年、マイナーチェンジで『U-RB/AB2WGAA』『U-RB1WEAA(ターボ付)』へ移行。
- 1992年、RB系をトップドア式に改良、2扉の路線仕様車を追加。
1995年、RB系は「リエッセ」へバトンタッチ。AB系は直接の後継車ではないものの、1996年以降トヨタ・コースターのOEM供給車「リエッセⅡ」へバトンタッチした。
レインボー7W/7M(1987年~2004年)
AC140系の後継車で、全長7m×全幅2.3mのモデル。7W(RH系)はRB系の幅を広げたリアエンジン車で、7M(CH系)はトップドア式のミッドエンジン車。ボディは日野車体製で、当時の大型観光バス「ブルーリボン」を連想させる丸みのあるスタイル。エンジンは直4ディーゼルだが7Wと7Mで機種が分けられていた。7Wの方が自家用よりのスタンダードモデル、7Mは観光寄りのデラックスモデルという位置づけである。
- 1987年に『P-RH/CH160AA』が販売開始。
- 1990年、一部改良。7Wは『U-RH1WFAA』へ移行、7Mはエンジンを直6ディーゼルに換装し『U-DH3HFAA』へ移行。
- 1991年、7Wをトップドア式に改良し『U-RH1WFBA』へ移行。2扉の路線仕様車を追加しており、名古屋市営バス、奈良交通などで路線バスとして使われた。
- 1995年、エンジン換装により7Wは『KC-RH4JEAA』へ移行、7Mは『KC-DH1JFAA』へ移行。
1998年7月にモデルチェンジし、「メルファ7」と改称した。
レインボーHR(エルガJ)(1999年~2010年)
全長7m/9m/10.5m×全幅2.3mのノンステップバス専用モデル。中型ノンステップバスが徐々に普及していく中、早い段階で多彩なラインナップを完成させたが、7m車は早々に姿を消し、末期には10.5m車のみとなった。外見はレインボーRJ/RR路線仕様を引き継ぐ平面的なスタイルで、エンジンは直6ディーゼルを搭載する。相対的に価格帯が上がった大型路線バス「ブルーリボンシティ」に代えて、こちらを導入する事業者が多かった。
いすゞ自動車へ「エルガJ」としてOEM供給されていたが、販売台数はわずかである。
横浜市営バスのあかいくつ号、名古屋市市民経済局の観光ルートバス「メーグル」などの改造種車でもある。
- 1999年に全長7mの『KK-HR1JEEE』と同9mの『KK-HR1JKEE』として新設。
- 2000年、全長10.5mの『KL-HR1JNEE』追加。
- 2004年に全面改良し、「レインボー」と改称。エンジンを直5ターボディーゼルで縦置きとした『PB-HR7JHAE(9m)』『PK-HR7JPAE(10.5m)』へ移行。7m車は廃止。改造扱いでトルコンATを設定。
- 2007年、車種整理で9m車を廃止し、10.5m車の『BDG-HR7JPBA』へ移行。再びMTのみとなる。
2010年に製造終了。
レインボーⅡ/KR系(2004年~2016年)
「いすゞ・エルガミオ」からのOEM供給車で、見た目の違いはほぼ無い。レインボーRJ/RR(路線仕様)の後継車だが、レインボー(HR系)としばらく併売されていた。
- 2004年に『PA-KR234J1改』が販売開始。
- 2007年、統合車種『PDG-KR234J2』へと移行。前照灯が大型の「ブルーリボンⅡ」同様、角型2灯となった。
- 2011年、エンジンを直4ディーゼルへ換装し『SDG/SKG-KR290J1』へと移行。レインボー(HR系)が廃止されたが、こちらの呼称は「レインボーⅡ」のままである。
- 2012年、マイナーチェンジ。
レインボー/KR系(2016年~)
引き続き、エルガミオとの統合車種で、見た目は全く同じ。レインボーⅡやレインボーHRと異なり、トルクコンバータATやMTの設定がなくセミオートマチックトランスミッションの設定のみとなっている。
- 2016年、『SKG-KR290J2』が販売開始。
- 2017年、『2KG-KR290J3』へと移行、尿素SCRシステムを採用。
- 2019年、『2KG-KR290J4』へと移行。
- 2020年、トルクコンバータAT車を追加。
関連動画
関連項目
脚注
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