『カルト宗教信じてました。』とは、たもさんによる漫画作品である。2018年5月22日に彩図社から発行された。紙書籍だけでなく、Amazon・楽天ブックス・DMMなどで電子書籍も発売されている。
2020年2月20日には続編の『カルト宗教やめました。』が彩図社から発行され、紙書籍と電子書籍が共に発売された。
本記事では両方の書籍について記述する。
カルト宗教信じてました。の概要
内容
エホバの証人の宗教2世が、35歳の時にエホバの証人の信仰を捨てるまでの半生を振り返る漫画作品である。コメディ風のエッセイ漫画で、楽しく読むことができる。
かなりプライベートなことも書かれており、「人生波瀾万丈」という印象を受ける作品である。
陰鬱な雰囲気が少ない
作者が小学5年生の時に、作者の母親がエホバの証人の研究生になり[1]、それに巻きこまれる形で作者もエホバの証人の研究生になった。
このため、作者はエホバの証人特有の鞭打ち体罰を受けていない。
エホバの証人の宗教2世を描いた漫画というと『「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~』と『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』であるが、この2作品では鞭打ち体罰のことが描かれており、読むのが苦しくなってくるほどの凄惨さがある。本作品はそうした凄惨なシーンが出てこない。
大人の視点でエホバの証人という宗教団体を眺めている
作者は小学5年生の時にエホバの証人の研究生になり、13歳の時にバプテスマを受け、35歳になるまでエホバの証人の信者でありつづけた。
このため、「大人の視点」でエホバの証人という宗教団体のことを長い時間観察しており、エホバの証人の特徴をしっかり把握している。例を挙げると、「エホバの証人の信者は新人に声をかけるようにしている」「エホバの証人の信者は、笑顔で礼儀正しくするように教育されているため美人に見える」「エホバの証人の信者にとって噂話が数少ない楽しみの1つである」などである。
エホバの証人の宗教2世を描いた漫画というと『「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~』と『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』であるが、前者の登場人物は15歳の時に信仰をやめ、後者の登場人物は高校生の時に信仰をやめている。このため、これらの2作品は「大人の視点」でエホバの証人を観察するという要素がやや不足している。
登場人物
作者の一家は、父親・母親・長女・次女(作者)・三女・長男の6人家族で暮らしていたが、父親は家庭のことを一切やらない人だった。
そんななかで、作者が小学5年生の時に母親がエホバの証人の研究生になり、エホバの証人の信者から「大家族の中で1人だけで信仰を保つのは難しいだろうから、1人でも味方を作ったらどうか」と提案された。それを受けた母親は、比較的に大人しくて断れそうにない作者を選び、作者をエホバの証人の世界に引きずりこんでいったのである。
作者が20歳の時にカンちゃんという男性から交際を申し込まれ、25歳の時に結婚した。このカンちゃんという人物は、スポーツカーを乗り回し、音楽バンドを組んで歌を歌い、サッカーのチームを作って遊ぶような男だった。一言で言うとエホバの証人の信者らしくない男性である。
作者の年代
作者の年代は、48ページを見ると把握できる。また、『カルト宗教やめました。』の86ページを見ても再確認できる。
カルト宗教やめました。の概要
内容
エホバの証人の宗教2世が35歳になって信仰をやめた。信仰をやめた後のことを記すコメディ風のエッセイ漫画である。
カルト宗教団体から解放されたばかりの人にとって外界がなにもかも新鮮であることがよく伝わってくる。
本作品の見所の1つはエホバの証人の若者信者の表情である。60ページ~61ページにそのシーンがあるのだが、若者信者の表情が実に暗い。「カルト宗教団体に縛り付けられた宗教2世」という雰囲気が非常に良く伝わってくる。
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関連項目
- 「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~ - 第1話はエホバの証人の宗教2世が題材である
- よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話 - 本作品と同じくエホバの証人の宗教2世が描いた漫画
脚注
- *研究生は、エホバの証人の宗教施設に出入りして信者から教えを受けるようになったことをいう。研究生の状態で3~5年ほど勉強してやっとバプテスマ(浸礼)を受けて正式な信者になる。本作品の作者とその母親は、バプテスマを受けるまで3年ほどかかったようである。作者が小学5年生(約10歳)の時に母娘がほぼ同時に研究生になり、作者が13歳の時に母娘が同時にバプテスマを受けている。
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