カール・グスタフ・カッセル(Karl Gustav Cassel、1866〜1945)とは、スウェーデンの経済学者である。
概要
カッセルは難解な経済理論を完結化しその理論を布教することを得意とする経済学者であった。
1910年に大経済学者ワルラスが亡くなった時、アメリカイタリアを除いた経済学会では一般均衡理論は消滅の危機に瀕していた。その理由はワルラスの著作が大きく数学的定式に頼っていたことにある。それまでの経済学は思想の域を出ることはない人文学の一つに過ぎなかったのだが、ワルラスらによる限界革命によって経済学と数学は見事結婚を果たした。だが、それにより従来の経済学の信奉者からはワルラスの理論を無視する原因にもなってしまったのだ。
ワルラスの理論が歴史に埋もれてしまわなかったのはカッセルが1918年に出版した「社会経済理論」である。これはワルラス体系を、数学的記述をすべて省略し、極めて簡潔な形で表現したものであった。その他にもカッセルは「利子の本質と必要性」においてベーム=バヴェルクの資本および利子理論のわかりにくい論点を捨て去り、これまた簡潔に表現することに成功した。
カッセルの国際的名声は第一次世界大戦後に、彼がドイツの賠償金支払い問題や金本位制への復帰に関する討論に参加したことで高められた。「世界の金融問題」には国際連盟のために書かれた二通の覚書が含まれており、一刻の外国為替相場が均衡状態にあるかどうかを判定する平易な原則が詳述されている。その内容は、それがその国と他の全ての国との間の価格水準と同じ比率に保たれている場合であり、要するに均衡為替相場とは、異なった国々のそれぞれの価格水準の間の商なのである。これが有名な「購買力平価説」であり、カッセルの最も有名な業績である。
購買力平価説とは、為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって決定される、という説である。簡単に言えば、為替レートはA国とB国が同じ商品を買えるように決定されるということである。(一物一価の原則)。例えば日本でみかんが一個100円、アメリカでみかん一個1ドルなら為替レートは「100円=1ドル」になる。
1930年代に大恐慌が発生した際には公共政策や失業対策など、あらゆるケインズ政策に対する批判を行った。
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