コリア(Korea)とは、朝鮮半島と済州島・鬱陵島などで構成される地域を指す英語の呼称である。
後述する事情から、南北朝鮮や日本でも「韓(大韓や韓国を含む)」・「朝鮮」という表現を用いずに該当する地域を表現するために使用されることがある。
概要
「コリア」の英称は、918年から1392年にかけて朝鮮半島に存在した国家、「高麗」に由来するとされている。
21世紀の今日、その朝鮮半島には「朝鮮民主主義人民共和国」(北朝鮮)と「大韓民国」(韓国)の二国家が存在するが、共に冷戦期に生まれた国家であり、公式にはお互いの存在を認めず、いがみ合う状態が朝鮮戦争の休戦(1953年)から50年以上たった今でも続いている。
そのいがみ合いのほどは、半島をどう呼ぶかというところにまで及んであり、北の政権は「朝鮮」、南の政権は「韓」を利用していて、今でも相手が用いている呼称を使うのを激しく嫌っている。それゆえ北朝鮮では韓国のことを「南朝鮮」、逆に韓国では北朝鮮のことを「北韓」と表現する。
が、そんな両国が(一時的にではあるが)手を取り合い、協調姿勢を取ることもある(国際スポーツの時など)。その際、お互いのメンツを立てるため、「朝鮮」も「韓」もいずれの呼び名も用いずに半島を呼ぶ必要が生じた。結果として、「高麗」に由来した「コリア」の英称が使われることになったのである。
北朝鮮は「北朝鮮(North Korea)」の呼称を嫌う。国交締結国の公的声明では"DPRK"と呼称される場合が多い。尤も民間放送などは別である。「朝鮮」の呼称は嫌っておらず、寧ろ「チョソン」を誇っている。
"North Korea"も語源通りなら「北高麗(North Koryo)」。高麗の呼称は南北双方に受け入れられ、朝鮮民主主義人民共和国のフラッグキャリアも「高麗航空」を名乗る。これなら国連での"Jap"と"North Korea"の応酬など起きなかっただろう。
また日本は韓国と国交を結んでおり「韓国」もしくは「大韓民国」と呼称する。「北朝鮮」と対比した意味合いの「南朝鮮」は侮蔑的になる。韓国人は「朝鮮」の呼称を嫌っている。これは日本併合時代を回想するためと言われる。
ただ韓国人自身は"South Korea"の呼称を嫌っていない。これは語源的に「南高麗」と解釈できるというのもあるが、北朝鮮と違い、南半分しか領土を持たなくても、さほどコンプレックスを感じていないのであろう。
国際放送において
南北双方の日本語国際放送では、相手を「北韓(ポッカン)」「南朝鮮(みなみチョソン)」と呼称しまくっている。
北朝鮮と国交のある国の国際放送では、北朝鮮をや"Democratic People's Republic Korea"や略称"DPRK"、"D.P.R.Korea"の呼称が用いられる場合がある。
中国国際放送(CRI、旧称「北京放送」)の日本語部では、「朝鮮」「韓国」と使い分けている。ここでの「朝鮮」は「北朝鮮」を指す。中国では、この使い分けが一般的である。
もっとも、国交樹立前は韓国を「南朝鮮」と呼称していた。
ただし国交を有しても、"North Korea"を使用する放送局も多い。(BBCなど)
国交のない国のメディアや日本の国際放送(NHK WORLD)は、原則的に"North Korea"を使用する。
一方、韓国の呼称を"Republic of Korea"や略称"ROK"とするのは非常に稀である。CCTVもNHKもBBCも、"South Korea"を使用する。国交の有無とは無関係のようだ。
日本でも国際試合などでは、"DPRK"と"PRK"と表示される。開会式生中継では、"Democratic People's Republic Korea"と表示されるのである。国際試合では、一度目のみ「朝鮮民主主義人民共和国」とし、二回目からは「北朝鮮」と呼称する決まりがあるようだ。
在日コリアン間での呼称
日本においても、「朝鮮籍」・「韓国籍」などややこしい問題を持つ朝鮮半島出身で日本に在住する者およびその子孫を「在日韓国・朝鮮人」の他に「在日コリアン」と表現することがあるなど、概ね政治的に中立を求められる場面で「コリア」の呼称を使用する事例が見られる。
これは太平洋戦争終結後しばらくして朝鮮戦争が勃発、祖国が分断されたことが一因と言われる。
関連項目
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