シェディングとは、反ワクチンの陰謀論界隈で使われるよくわからない何かである。
概要
新型コロナのワクチンの接種者から、非接種者へと伝播する何かを指しているようである。「何か」として執筆者が見たことがあるのは新型コロナウイルス・スパイクタンパク質・酸化グラフェンであるが、他にもバリエーションがあるかもしれない。
初出は不明。少なくとも2021年5月ごろにはこの概念は使われていたものと思われる。
英単語の"shedding"でGoogle検索しても何もそれらしきものは出ないので、日本語圏独自の単語と思われる。
「シェディング」という単語を見た人へ
使用者はいい加減で、他人に理解してもらおうという気持ちがない可能性が高いです。暇でないなら無視しましょう。暇なら具体的に何が伝染するのか聞いてみても良いかもしれませんが、ほどほどに。
「シェディング」という単語を使っている人へ
ぼかさずに具体的に何が伝播しているか明示しましょう。例えば「ワクチン接種者から呼気を通じて酸化グラフェンが非接種者に伝染する」みたいに書けばツッコミが多数入ると思います。ぼかすと意味が正確に分からずツッコミの入れようもないのでずるいです。
主張例と対策
sm40143649(↓)を見ていきましょう。
主張
ファイザー公式文書について
「コロナワクチン接種者の呼気および汗に抗原 (スパイク蛋白)の排出」ファイザー製薬公式文書
https://ochakai-akasaka.com/counseling/210521-pf/
しかし、これは有名な誤訳です。https://kenkoooo.hatenablog.com/entry/2022/04/08/003326で詳しく説明されているように、この部分は治験時のルールを定めたもので、治験の結果を説明するものではありません。sheddingという単語も一切登場しません。
英語の読めない・読もうとしない人をターゲットに絞り、公式文書という箔付けを利用しつつ解釈の方を間違ったものにすることで視聴者を陰謀論へと誘導しており、かたり商法の手法を応用したうまい手法です。
また、03:46 で以下の主張をしていますが、これも事実無根の嘘です。新型コロナワクチン関連ではファイザー社はまだ訴えられていません。
(注意: 2004年頃ファイザー社が裁判で負けたのは本当です。しかも臨床試験データの改ざんです。(ニューロンチン事件: ファイザー社が吸収したWarner-Lambert社が起こした薬害事件。最終的にファイザー社は4.3億ドルを賠償金として支払った。https://www.chicagotribune.com/news/ct-xpm-2004-05-14-0405140263-story.html)
しかしこれは新型コロナウイルスのずっと前であること、ニューロンチンよりもずっと広範囲で使用されているコミナティにはそのような裁判は起こされていないこと、などから、コミナティにはまだその手の問題が発生していないと考えるのが自然です。)
それ以外の感想について
米看護師、ファイザー社の公式資料を読んで激怒+シェディングの被害
https://wisdomkeeper.livedoor.blog/archives/52073108.html
世界で最も怒っている看護師は、ワクチンの驚くほど有害な文書化された効果に関するファイザーの文書を読んだばかりです!
https://beforeitsnews.com/alternative/2022/03/angriest-nurse-in-the-world-just-read-pfizer-documents-on-effects-of-vaccine-3768722.html
しかし、これらはただの感想ですので、考慮には値しません。「世界中の医師が警告している」という、警告している医師が多数派であるかのような印象を持たせる書き方をしていますが、ここからわかるのは例えば「どの国にもワクチンの害を警告する医師が0.001%くらいはいる」などであり、例えば「ワクチンの害を警告する医師は10%以上いるか?」という質問には答えてくれません。見方によれば集団心理を利用した詐欺と言えなくもないかもしれません。
また、独自用語(「血栓注射(mRNAワクチン)」)も頻繁に登場しますが、これは含みのある言葉(loaded language)のいい例です。血栓注射(mRNAワクチン)」という用語を使うためにはまず「mRNAワクチンで血栓が注射される」という事実を示す必要がありますが、特に示されていません。要するに言った者勝ちで、「嘘も百回言えば真実となる」を地で行く態度でしょう。
対策
詐欺と似た対策が通用するでしょう。
- かたり商法について。まずは、それっぽい文書がリンク先にあっても盲信しないことです。情報の流れとしては、権威ありそうな文書→その文書の解釈 となっており、このうちのどちらかで嘘や間違いを忍び込ませる余地があります。今回の場合、文章そのものは問題ないですが、解釈が問題でした。
今回の場合は公式文書をちゃんと読めば明らかにおかしいことがわかります。英語を読めるようになりましょう。最初から英語を読めるノンネイティブスピーカーはいないので、騙されるのが嫌なら苦しくても慣れるよりありません。 - 集団心理について。これは陰謀論コミュニティの外に出ないといけないですね。自分が本当に「多数派」に属しているのか?というのは時々考える必要があります。
詭弁に対する対策としては、含みのある言葉に気をつけるのがいいでしょう。
関連項目
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