ジャンプスケア(jumpscare または jump scare または jump-scare)とは、急に大きな音を出したり、画面を切り替えたり、何かを大きく出現させたりすることで、受け手側をびっくりさせる、映像系のホラー作品に多くみられる演出のことである。
※この記事の本文には突然大きな画像が出てきたり、どこかを押すと別の画面に切り替わったりするジャンプスケア的な演出は全くありません(0回です)。ただ、この記事の掲示板の下にある「おすすめ動画」以降の欄には、「ホラー」という言葉から自動で表示されてしまった動画やイラストが表示されている可能性があるので、苦手な場合は下にスクロール/スワイプしすぎないように注意してください。
なお、他の記事の「おすすめ記事」の欄で、当記事と一緒にホラー系のサムネイルが自動表示されてしまうと、この記事自体がジャンプスケアになってしまいかねないので、ホラーではないサムネ用として、ジャンプスケアで驚いてジャンプしている人の画像を置いておきます。
概要
ホラー映画やホラーゲームではよく見られる演出である。ホラー系ではジャンプスケアが全く存在しない作品は少なく、最低でも1回以上は登場するものが多い。受け手側を驚かせることで、対象の恐ろしさを増幅させる、作品の緩急をつけるなどの目的で使われる。
「ビックリ系」と同じ意味で使われることがあるものの、「ビックリ系」は作品そのものを指す場合もあるのに対し、一般的に「ジャンプスケア」は作品内の要素のみを示す。ビックリ系とはされない作品にも、ジャンプスケアが部分的に存在することがある。
ただし、無意味にジャンプスケアを多用しすぎると受け手側は鬱陶しく感じ、作品への興味や集中力を削いでしまうため、効果的に使用する必要がある。後から思い出しても大して怖くないという場合もあるため、「ジャンプスケア自体はホラーではない」とも言われる。
また、ジャンプスケアの表現の巧拙以前の問題として、ジャンプスケアそのものが苦手であり、それが含まれる作品を避けたい層も一定程度いる。「ホラーは好きだけど、ジャンプスケアは苦手」「じわじわと理解させてくるホラーが好き」という人もいる。
ホラー系の作品を視聴する前に、他の人にジャンプスケアがあるか尋ねるときの注意点として、「ジャンプスケア」の範囲は明確ではないことが挙げられる。つまり、人によっては同じ演出を見ても「ジャンプスケア」と認識していないことがある。また、「ジャンプスケアがない」という発言が「ジャンプスケアが(あまり)ない(=何回かはある)」という意味の場合もあるので、注意が必要である。
一方で、ジャンプスケアを好む層もおり、ここぞというところで使用すれば恐怖感をさらに増すことができるので、ホラー表現としてはジャンプスケアが今後も使われ続けていくと思われる。
余談だが、「ジャンプスケア」をGoogle検索すると「ジャンプスクエア」も検索結果にたくさん出てきてしまう。名前が似ているだけであまり関係はない。
広まった時期など
いつ頃から存在する言葉なのかははっきりしないが、「元は英語の言葉で、日本語にはその翻訳として紹介された」のは間違いないのではないかと思われる。
英単語「jump scare」として広まった時期
主にテレビ番組や映画に関する言葉を扱う、2004年から存在するWikiサイト「TV Tropes」に記事「Jump Scare」が作成されたのは2010年のことのようである。
英語版Wiktionaryに記事「jump scare」が作成されたのは2014年1月のことである。このときほぼ同時に「jump-scare
」や「jumpscare
」の記事も「jump scareの別スペリングである」という説明で作成されている。
英語版Wikipediaで記事「Jump scare」が作成されたのは2014年12月のことである。
「Googleトレンド」で「jumpscare」や「jump scare
」の検索動向を見ると、00年代(2000年代最初の10年間)までは現在に比してかなり検索されることは少なく、2010年代に入ってからやっと検索数が伸びてきている。上記のようなWikiサイトに記事が作成され始めた時期とも一致している。
電子データが存在している書籍内の単語を検索することができるサイト「Googleブックス」で「jump scare」を検索しても、「偶然jumpとscareが並んでいた」ような例外を除くとやはり明確に「創作物でのホラー演出」として「jump scare」という言葉が書籍内で多く使われ始めるのは2010年代に入ってからのようだ。
Googleで検索すれば2006年や2007年
や2009年
の用例も探し出せるので、確実に2010年以前からも使われていた言葉ではある。だが「ホラー系創作作品の演出手法を指す言葉として広く使用される有名な言葉になった」のは2010年代であると考えてよいのではないかと思われる。
ちなみに英語の辞書サイトには「jumpscare」という単語について、「映画などでのびっくりさせる演出」という意味が「2.」として記載されてはいるものの、その前に「1.」として「誰かをおどかすために、物陰から急にその人の前に飛び出すこと」(原文:「an instance of jumping out in front of a person from a concealed position in order to frighten him or her」)という意味を掲載しているものがある[1]。元来の意味はこちらで、それが「創作物の演出」の方の意味へと派生したのかもしれない。
カタカナ語「ジャンプスケア」として広まり始めた時期
Google検索で日付指定などをしてカタカナ表記「ジャンプスケア」を使用しているページの最古のものを探したところ、2009年にウェブマガジン「webDICE」に掲載された、映画監督「中田秀夫」への以下のインタビュー記事が検索にヒットする中での最古のもののようであった。ただしこれは文脈から見ておそらく英語の会話を紹介したものでしかない。そしてその後の数年間、あまり使用例は見当たらない。
中田:『THE JUON 呪怨』の場合はサム・ライミという人がいて、彼は『死霊のはらわた』シリーズとかやっていて、10分に一回はジャンプ・スケアというか、チープ・スケアがないといけない。それさえあれば、とりあえずなにかしら話があればいいと。ホラー映画では物語そのものは問われないんだと。
一方、Twitterで同様の日付指定検索を行ってみると、消えてしまっているツイートや非公開アカウントのツイートは探せないものの、2014年にツイートされた「ジャンプスケアは賛否両論やからね」という書き込みが見つかる中で最初のものだった。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/utageya6/status/426672077148389377
またこのツイート主は続いて「ジャンプスケアであってる?」「海外のフォーラムで見た言葉だから jump scareじゃないと出てこない感じか」とも書き込んでおり、2014年当時の日本語圏で「ジャンプスケア」という言葉が一般的なものではなく、「海外の言葉」という扱いだったことが伺える。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/utageya6/status/426672123042480128
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/utageya6/status/426672584814379008
Googleトレンドでカタカナ表記「ジャンプスケア」の検索動向を探ると、2015年まではほぼ検索されていなかったことが分かる。そして2016年ごろから徐々に検索数が伸びている。
日本語版Wikipediaに記事「ジャンプスケア」が作成されたのは2019年のことで、英語版からの翻訳記事として作成されている。
関連リンク
Jumpscare definition and meaning | Collins English Dictionary(現在は直リンクから直接飛べない仕様に変更されている)JUMP SCARE | Definition of JUMP SCARE by Oxford Dictionary on Lexico.com(Lexico.comは2022年8月に閉鎖された)
- ジャンプスケア - Wikipedia
- Jump scare - Wikipedia
- jump scare - Wiktionary
- Jump Scare - TV Tropes
- Urban Dictionary: Jump Scare
関連項目
脚注
- 15
- 0pt
- ページ番号: 5628117
- リビジョン番号: 3213549
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