じゅおん【呪怨】
強い怨念を抱いて死んだモノの呪い。
それは死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。
その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。
「呪怨」とは、清水崇監督・脚本によるオリジナルビデオ作品、およびメディアミックス作品。
曖昧さ回避
概要
初出は2000年に東宝から発表されたビデオ版。その後「2」が発表。
当初は知名度も低く、売り上げも「記録的に低かった」が、やがて口コミで「怖い」と評判を呼び認知度が上がった結果、映画化となった。
全作品に共通することは、惨殺された女性・佐伯伽椰子(さえき かやこ)とその息子・敏雄(としお)が、次々と呪いを伝播させることである。
作品は時系列が非常に複雑(悪く言えば乱雑)にシャッフルされたオムニバス形式となっており、家にかかわったさまざまな人間が伽耶子・敏雄母子の呪いによって死んでいく姿が描かれる。
だがスピンアウトに至るまで、その物語は非常に複雑に絡み合っており、本シリーズの時系列を研究するウェブサイトなどを見るとわかる。
『学校の怪談G』に収録されている「片隅」「4444444444」とも繋がっている。
オリジナルビデオ作品から劇場版へと続くシリーズ、ハリウッドリメイクシリーズ、そして「白い老女」「黒い少女」は、それぞれ物語の軸が違う。
「白い老女」「黒い少女」に至っては、伽耶子と敏雄母子の呪いそのものから外れた新たな呪怨を描くストーリーである。
その後「終わりの始まり」「ザ・ファイナル」をもってシリーズは終了した。
海外におけるJホラーの評価を高めた作品の一つであり、サム・ライミプロデュースによるハリウッド版リメイク作品『THE JUON/呪怨』『呪怨 パンデミック』も製作された。但し、『呪怨 パンデミック』は呪怨2のリメイクではなく、日本版とのつながりを持つオリジナル作品である。
また、『呪怨 白い老女』と『呪怨 黒い少女』、ゲーム『恐怖体験 呪怨』について、清水崇は監督と脚本ではなく、原案と監修という形で参加している。
作品群
オリジナルビデオ
伽耶子・敏雄母子を襲った悲劇と、2人を殺した佐伯剛雄、そして伽耶子が思いを寄せていた小林俊介を中心に、呪いの家がいかに誕生したかが描かれる。
2作製作されているものの、「呪怨2」の前半は1作目のダイジェストであるため、呪いの家に関する大まかな真相を追うだけならば後者を見るだけで十分である。
日本映画版
ビデオ版のヒットを受けて製作された劇場版。ビデオ版の直接の続編にあたる。
ホームヘルパー、引っ越し、事件の捜査、テレビ番組制作など様々な形で家を訪れる人々に起こる悲劇を描く。
「呪怨2」のラストで、伽耶子が再び肉体を得て転生し、さらに呪いの家に関するテレビ番組の放映によって呪いが爆発的に増殖することが示唆されるという、非常にどこかで見たようなラストを迎えるが、本作の時系列はとりあえずここで区切りがつく。
シリーズ生誕10周年に合わせて製作。といっても、シリーズ生みの親である清水崇は参加していない。
これらの作品は、「怪談新耳袋」の劇場版に登場した『姿見』、第4シリーズに登場した『ふたりぼっち』のエピソードがそれぞれ基になっており、これらを製作した三宅隆太・安里麻里が監督を担当している。低予算番組で人気を得た気鋭のホラー作家、という点で、彼らは清水と共通しているといえるだろう。
一応、敏雄がゲスト出演していることから、物語の世界は繋がっていると思われる。
「呪怨」の19年前からを描いた前日譚にして、最終作の先触れ。あの家に最初に「呪怨」が生まれた時の物語。佐伯夫婦が入居する前にあの家で餓死した少年「山賀俊雄」が、全ての発端となっている。
シリーズ最終作。伽椰子の夫・剛雄の姪とその一家に襲い掛かる恐怖と、際限なく広がっていく絶望的な呪いを描く。
ハリウッド版
- THE JUON/呪怨(2004年・米、2005年・日)
※キャッチコピーは「死んでも逃げられない。」 - 呪怨 パンデミック(2006年・米、2007年・日)
※キャッチコピーは「ついに始まる、恐怖の爆発感染。」 - 呪怨 ザ・グラッジ3
本シリーズの出来にほれ込んだサム・ライミが製作したリメイク版。
清水崇をはじめとして、伽耶子を演じる藤貴子なども参加するなど、ハリウッドの映画作品としては異例の日本人大量起用となった。1作目は全世界で2億ドルの大ヒットを記録した。
1作目は、日本での劇場版1作目のリメイクに近いが、2作目以降はオリジナル要素が強い。
また、清水達が深く関わったのは2作目までで、サム・ライミも同様。3作目は清水が降板し、伽耶子役なども一新されたが、日米ともに上映されないままビデオスルーとなった。
ノベライズ
コミカライズ
ゲーム
Wiiリモコンを懐中電灯に見立てて、呪いの家を探検していく、FPS仕立てのアドベンチャー。
『CALLING~黒き着信~』に似たシステムである。
呪いの家に引っ越してきた家族の1人1人の恐怖を疑似体験する。清水崇が監修している。
その他
- 4444444444
- 片隅
関西テレビ『学校の階段G』に収録された、低予算ショートホラー。この作品で見せた手腕によって、清水崇は業界の注目をかっさらい、さらにはこれらの幽霊をメインに据えた本シリーズを作り上げることになった。
1本当たり3分前後の短い作品だが、いずれも呪怨本編とリンクしている。これらの2作で犠牲になったのは、佐伯家に起こった悲劇の後に初めて呪いの家に引っ越してきた家族・村上家の一員とその友人である。彼らの家族がどうなったのかは、ビデオ版2作で確認できる。
クロスオーバー
角川映画40周年記念作品。いいのかそれで。
『リング』シリーズの山村貞子とまさかの悪夢のコラボ、ならぬクロスオーバーが実現。まあ、フレディVSジェイソンとかゴジラVSメカゴジラのようなものと思えば……
色物じみたぶっ飛んだ設定ながらホラーとしてはきっちり作られており、ケレン味あるキャラクター造型と合わせた怪作となり、一部に熱狂的なファンを抱えている。詳細は個別記事を参照。
「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」
豆知識・トリビア
- 「アアアアア……」という伽椰子のあの呻き声は清水崇が声を当てている。エッジボイスと呼ばれる声で、風呂場でリラックスしているときに思いついたとかそうでないとか。それ以外は伽椰子役の女優である藤貴子の声。
- 作品に共通することの特徴の一つとして「直接的な霊の登場がかなり多く、どれも恐ろしいものばかり」点があげられる。これは清水監督が「笑われるほどに幽霊を出しまくるのが呪怨のコンセプトである」としているため。サム・ライミも、一歩間違えればコメディになりかねない今作の描写に惚れ込んだという。
- WMA(ウィリアム・モリス・エージェンシー)の社長は「ザ・ニューヨーカー」のインタビューで「彼女(サラ・ミシェル・ゲラー)は『THE JUON/呪怨』に出演する前は無に等しい存在だった」と発言。これを知ったゲラーは激怒、WMAを去りエージェンシーを代えた。なお、ゲラーは『バフィー 〜恋する十字架〜』で主役を演じてブレイクした女優である。
- ジェイソン・ベアとケイディ・ストリックランドは呪怨で共演したことがきっかけで結婚した。
- これまで佐伯伽椰子を演じてきた藤貴子だったが、ハリウッド版3作目では堀内愛子に交代した。藤は日本語版の声優として出演。また、敏雄役は小山僚太→尾関優哉→田中碧海の順に変更されている。
- 「呪怨の家」の住所は「東京都練馬区寿町4-8-5」という設定になっているが、実際にはそのような地名は存在しない。なお東京都府中市内に、寿町という地名が存在する。
- 初出が低予算ホラーであったためか、舞台となった「呪怨の家」は、他の東映ホラー作品でも頻繁に登場する。下の関連動画にもあるが、一般人でも行ける。ただ、東映の持ち物なので中には入れない。
関連動画
関連商品
関連項目
ア、アアアア、アアアアアアア
アアアアアアア
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