ダヴォナデイル(Davona Dale)とは、1976年生まれのアメリカの競走馬である。
現在のアメリカの一般的な牝馬三冠である「ニューヨークトリプルティアラ」と、現在は形骸化したがかつて牝馬三冠として扱われていた「ナショナルトリプルティアラ」の両方を全勝した史上唯一の馬。
ブラッド・ホース誌選定「20世紀のアメリカ名馬100選」では第90位。
概要
父Best Turn、母Royal Entrance、母父Tim Tamという血統で、名門カルメットファームの生産所有馬としてジョン・M・ヴィーチ厩舎に預けられた。全レースでホルヘ・ヴェラスケス騎手が騎乗した。
2・3歳時
2歳時は10月のデビュー戦と翌月のステークス競走を連勝し、2戦2勝でシーズンを終えた。
3歳時は初戦となる牡馬相手のトロピカルパークダービー(GIII)で4着に敗れ、続くレースも前年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬キャンディエクレアに逃げ切られて2着に敗れたが、3戦目のボニーミスSではキャンディエクレアを退けて勝利した。次戦を7馬身差で圧勝した上で臨んだファンタジーS(GI・8.5ハロン)もあっさり勝利し、初GI勝利を挙げた。
さて、先述の通り現在は形骸化したが、当時は現在の一般的な米国の牝馬三冠競走「ニューヨークトリプルティアラ」(エイコーンS、マザーグースS、CCAオークス[1])の他に、ケンタッキーオークス、ブラックアイドスーザンS(GII)、CCAオークスの3競走からなる「ナショナルトリプルティアラ」がまだ格式を保っていた。ケンタッキーオークスとブラックアイドスーザンSは中1週、そこからエイコーンSまでは連闘とタフなローテーションになるが、本馬はこのローテーションを敢行することとなった。
まずはケンタッキーオークス(GI・8.5ハロン)に出走し、不良馬場の中で4馬身半差をつけ楽勝した。続くブラックアイドスーザンSでは単勝1.1倍に支持されると、スタートから逃げて4馬身1/4差で悠々と勝利を収めた。
ニューヨークトリプルティアラの初戦となるエイコーンS(GI・1マイル)は3歳8戦目となった。しかし疲れを殆ど見せることなく2馬身1/4差で勝利すると、マザーグースS(GI・9ハロン)を逃げて10馬身差で圧勝した。
2つのトリプルティアラにリーチをかけた状態で挑戦したCCAオークス(GI・12ハロン)はスローペースとなったが、ヴェラスケス騎手が早めに進出して先頭に立ち、8馬身差を付けて押し切った。これで旧来のナショナルトリプルティアラと新しい路線のニューヨークトリプルティアラを同時に達成したことになった。
その後は1ヶ月半の休みを取り、アラバマS(GI・10ハロン)に出走したが、ここでミスタープロスペクターの初年度産駒にしてキャンディエクレアと共に前年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬を同時受賞したイッツインジエアに逃げ切られ、連勝は8でストップ。牡馬相手のトラヴァーズSはスペクタキュラービッドにしばらくボコられていたジェネラルアセンブリーの4着だったが、7頭立ての上に同馬からは29馬身差を付けられており、内容としては大敗だった。
続くマスケットS(GII)でも上がり馬のブライティから3馬身半差のブービー4着に敗れ、一時計画されていた凱旋門賞遠征も白紙となり休養入りした。ただこの失速があっても3歳時は13戦8勝で、獲得賞金も3歳牝馬の全米記録を更新した。
4歳時
前年の疲れがなかなか取れなかった本馬は復帰が7月にずれ込み、初戦の一般競走は3着だった。続くバレリーナSではイッツインジエアらを下して勝利した。
マスケットSは牝馬ながらケンタッキーダービーを制したジェニュインリスク、マザーグースSこそ落としたがニューヨークトリプルティアラの残り2戦を勝利しケンタッキーオークスも制していたボールドンディターミンドという強力な3歳勢が相手となるGIIとしては豪華なメンバーになり、この2頭とダヴォナデイルが並んで直線を迎えたものの叩き合いから脱落。ハナ差でジェニュインリスクを下したボールドンディターミンドから7馬身1/4差を付けられた4着に終わり、これを最後に引退した。通算18戦11勝。
繁殖成績
カルメットファームで繁殖入りしたダヴォナデイルは1985年に米国競馬の殿堂入りを果たしたが、1991年に同牧場が破産するとセリにかけられてアイルランドへ輸出された。しかし両国を通じて直仔から出た活躍馬は1989年のベルモントSでイージーゴアの3着に入ったルヴォヤジュールくらいで、1997年に死亡した。
牝系はアメリカを中心にある程度広がっており、曾孫世代からはGI馬も出ている。
血統表
Best Turn 1966 黒鹿毛 |
Turn-to 1951 鹿毛 |
Royal Charger | Nearco |
Sun Princess | |||
Source Sucree | Admiral Drake | ||
Lavendula | |||
Sweet Clementine 1960 鹿毛 |
Swaps | Khaled | |
Iron Reward | |||
Miz Clementine | Bull Lea | ||
Two Bob | |||
Royal Entrance 1965 鹿毛 FNo.3-l |
Tim Tam 1955 黒鹿毛 |
Tom Fool | Menow |
Gaga | |||
Two Lea | Bull Lea | ||
Two Bob | |||
Prince's Gate 1957 鹿毛 |
Sun Again | Sun Teddy | |
Hug Again | |||
Siena Way | Bull Lea | ||
Hydroplane | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Miz Clementine=Two Lea 3×3(25.0%)、Bull Lea 4×4×4(18.75%)、Pharos 5×5(6.25%)、Hyperion 5×5(6.25%)、Bull Dog 5×5×5×5(12.5%)
- 父ベストターンは現役時代28戦15勝。
- 母ロイヤルエントランスは現役時代31戦7勝。その祖母シエナウェイの全兄に三冠馬サイテーションがいる。
- 母父ティムタムはケンタッキーダービーとプリークネスSを含む8連勝を挙げたが、ベルモントSでは2着に敗れ、故障のためそのまま引退した。
関連項目
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 0
- 0pt