牝馬三冠とは、日本中央競馬会の3歳牝馬限定競走である桜花賞、優駿牝馬(オークス)、秋華賞の3レース及び、それらを勝利した競走馬を指す。
但し、秋華賞はレース創設の関係上クラシック競走ではないので、クラシック三冠とは呼ばれない。
概要
イギリスの競馬に範を取った日本の中央競馬では、いわゆる「クラシック競走」が整備された1939年以降、3歳限定の大競走は皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞、桜花賞、優駿牝馬(オークス)の5つしか存在しなかった。
そして1952年までは優駿牝馬(オークス)が秋(うち1947年は菊花賞と同日、1948~1951年は菊花賞の後)に開催されており、桜花賞に出た牝馬がそのまま東京優駿(日本ダービー)に向かうのも当たり前だったため、現在のような「牝馬三冠」という考え方自体が存在しなかった。
しかし1953年に優駿牝馬(オークス)が春に移動し、春の大目標として牡馬はダービー、牝馬はオークスという区別が明確になると、春に桜花賞と優駿牝馬(オークス)を制した二冠牝馬は、秋は菊花賞に出走するしかなかった。当時は古馬牝馬の大レースは存在せず、古馬の大レース自体が1955年までは3200mの天皇賞(秋)しかなかった。1956年に有馬記念が創設されたが、どっちにしても3歳牝馬が目指すには菊花賞以上に過酷なレースである。
牡馬相手というだけでも厳しいのに3000mは牝馬には長すぎる、と日本では考えられていたので、1970年にフランスのヴェルメイユ賞をモデルとした3歳牝馬限定競走ビクトリアカップ(京都・芝2400m)を創設。これにより「牝馬三冠」が成立した。[1]
※なお、日本がクラシック路線の範としたイギリスでは、牝馬三冠の第3戦は菊花賞のモデルであるセントレジャー(2921m)であり、この長距離で牡馬に勝たなければ牝馬三冠の栄誉には届かない。イギリスで牝馬三冠を達成した馬は9頭いるが最後の達成は1985年である。ただしイギリスでは「牡馬三冠路線の形骸化」により強力な牡馬がセントレジャーに参加しない一方で「牝馬限定中長距離重賞路線が手厚く整備されておりステイヤー牝馬の活躍の場が用意されている」という理由から、セントレジャーに強い3歳牝馬が参戦することは21世紀においても珍しくない。
1975年にエリザベス2世が来日したことを記念して、1976年にビクトリアカップをエリザベス女王杯と改称。
1996年にはエリザベス女王杯が古馬牝馬に開放されたため、新たな最終レースとして秋華賞(京都・芝2000m)が新設され現在に至っている。
2025年現在、JRAの牝馬限定GIは牝馬三冠の他に2歳限定の阪神ジュベナイルフィリーズ、古馬限定のヴィクトリアマイル、3歳以上のエリザベス女王杯の計6競走が存在するが、これらを全て制した馬は存在しない。最多はアパパネの5競走(エリザベス女王杯のみ未勝利)。
達成馬
2023年の時点で以上の7頭が達成。
無敗での達成はデアリングタクトのみ。
メジロラモーヌはトライアル競争も全て勝利した上での達成で「完全三冠」とも称されている(現代のローテーションではまず不可能)。
関連動画
関連項目
- 競馬
- 桜花賞 / 優駿牝馬(オークス) / 秋華賞 / (エリザベス女王杯)
- クラシック三冠 / 三冠馬
- トリプルティアラ
- クリフジ(3歳6月に日本ダービー、同10月にオークス、同11月に菊花賞を制し「変則三冠馬」とも呼ばれる生涯無敗の名牝)
脚注
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