マムダニとは、南アジア系ムスリムを中心に用いられている人名「Mamdani」のカタカナ転写のひとつである。
あくまで「カタカナ表記のうちよく使われるもの」であり、「マムダーニ」や「マンダーニ」などといった別のカタカナ表記がなされる場合もある。
人物の例
- エブラヒム・マムダニ(Ebrahim H. Mamdani):1942年6月1日~2010年1月22日。コンピューター科学者。タンザニアで生まれ、インドで教育を受け、イギリスで活躍した。ファジィ制御の分野で業績を残した。日本の研究者に招かれての短期の日本在住歴もある。
- マフムード・マムダニ(Mahmood Mamdani):1946年4月23日生まれ。政治学者。インドで生まれ、ウガンダで育ち、アメリカに留学してハーバード大学で博士号を取得。ウガンダに帰国するも1972年の同国からのインド系住民の追放(本記事で後述)によって国外追放を受ける。その後、アメリカ、タンザニア、南アフリカ、インドなど様々な国で学術活動を行っている。2008年には「世界の知識人トップ100」という企画の中で第9位に選出されている。
- リアズ・マムダニ(Riaz Mamdani):1968年生まれ。不動産分野の実業家。幼少期にウガンダからカナダに親兄弟とともに移住。薬剤師や弁護士としての経歴の後に、カナダ有数の大都市カルガリーに拠点を置いた不動産業で成功。2012年には43歳にして「カルガリーで最も富裕な人物の一人」と言及されている。
- ムハンマド・マムダニ(Muhammad Mamdani):薬学者。専門は薬剤疫学、薬剤経済学、薬物政策学。アメリカの複数の大学で複数分野の博士号/修士号を取得した後、カナダで学術活動を行っている。「カナダで活躍する40歳未満の40人」の2010年度の一人に選出されている。その選出を報じる2011年4月27日付けの記事で39歳とある
ため1971年もしくは1972年生まれと思われる。 - モハメド・マムダニ(Mohammed Sadiq Mamdani):1983年生まれ。社会活動家、起業家。イギリスで育ち、イギリス国内の若者向けカウンセリング団体、慈善団体、フードバンクなど複数を立ち上げた。その後タンザニアに活動拠点を移し、同国で青少年支援団体を立ち上げて運営している。
- ゾーラン・マムダニ(Zohran Kwame Mamdani):1991年10月18日生まれ。政治家。ウガンダ生まれでアメリカに移住、同国で教育を受け同国の国籍を取得。ニューヨーク市の市会議員となった。上記の政治学者「マフムード・マムダニ」の息子。詳細は当該記事を参照。
これらの個別人物例には成功した学者、起業家、政治家などが多い。後述する南アジア系ムスリム集団「ホージャ」の特徴として「商業的才能に優れ、起業家を多く輩出している」「教育を重視するため、コミュニティの教育水準が高い」「社会への貢献も重視する」といった点が挙げられることがあり、それが影響しているのかもしれない。もちろん「著名人を挙げているのだから成功者が多くなるのは当然」とも言えるが。
ルーツについて
上記の人物らの中には、民族的には南アジア系ながらも「ウガンダやタンザニアなど、アフリカの国で生まれた、あるいは育った」人々や「親や先祖がアフリカ出身である」人々が少なくない。
「南アジア系の苗字なのにアフリカにルーツがある」のはなぜかと言うと、東アフリカや南アフリカにはインド洋交易を得意としていた南アジア系(インド・パキスタン系)ムスリム集団「ホージャ」の末裔であったり、あるいはイギリス統治時代のインドから出稼ぎ労働者などとしてアフリカに渡ってきた人々の子孫であったりといった理由で南アジア系住民が少なくないためである。その中のムスリム、つまりイスラム教徒の人々の中に「マムダニ」姓の人が割といた、ということであるようだ。
東アフリカや南アフリカではこれら南アジア系の住民は概して商業的に成功を収めた。ただしこれが南アジア系以外の住民からの反感に繋がってしまうこともあったという。南アジア系住民へのヘイトが高まった結果として、1970年代にはウガンダで独裁者イディ・アミン大統領によるインド・パキスタン系住民の追放なども発生した。この時に彼らはイギリス、カナダ、インドなどに散らばった。
これらの経緯が、「マムダニ」の苗字を持つ人々が世界の様々な国に居る理由と言えるようだ。
関連項目
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