十五夜とは、旧暦8月15日の夜、またはその日に月を見る習慣を指す言葉である。
概要
旧暦と新暦のずれがあるため、年によって何日が十五夜となるかは異なる。
2015年 | 9月27日 |
2016年 | 9月15日 |
2017年 | 10月4日 |
2018年 | 9月24日 |
2019年 | 9月13日 |
2020年 | 10月1日 |
2021年 | 9月21日 |
2022年 | 9月10日 |
2023年 | 9月29日 |
2024年 | 9月17日 |
この夜に見られる月を「中秋の名月」と呼び、その月を見ることを「月見(お月見)」という。もとは中国の習慣であるが、日本のほかベトナムやマレーシアでも見られる。なぜこの日の月が名月とされているのかは定かではないが、中国では唐代から十五夜の月は多くの詩歌に歌われたり、宴も開かれたりした。宋代にはこの日が「中秋節」として祝われるようになり、現代の中国までこの習慣が続いている。
ちなみに、月は地球の周りを楕円運動しており、太陽の影響で一定の軌道を通らないため、満月の月齢も毎回異なってきてしまい、この日が必ずしも満月となるわけではない。ただし平均すれば、満月になるのは旧暦8月15日のあたりになる。
また、十五夜という言葉は陰暦15日の夜のことを指すため、本来は月を限定されることはない言葉である。しかし、「八月十五夜」の知名度が中でも高いため、「十五夜」と呼んだ場合はほぼ旧暦8月15日の夜を指すようになっている。
日本では平安時代には旧暦8月15日の月を和歌に詠んだり、宴を開いたりする風習が生まれる。恐らく唐の影響を受けたと考えられる。後に、室町時代になると月を見て食事を堪能したり、お供え物をするようになっていった。そして今や『だんご3兄弟』の歌詞にもあるように、春の花見、秋の月見、と言われるほど、月見は日本の代表的な年中行事の一つとなった。
中国などの地域では「月餅」と呼ばれるケーキのようなものが贈り物として食べられるが、日本では「月見団子」と呼ばれるお供え物が置かれる。地方によって差はあるが、多くのメディアに登場するのは関東地方周辺で見られる、白く丸い米粉の団子をピラミッド状に積み上げて三方(木の台)の上に載せたもの。
しかし、関西では、芋を模して団子に餡を巻いたものが作られる。他にも、中国・四国・九州にかけての地域では串団子、青森県周辺では饅頭、名古屋市ではしずく状の団子、静岡県中部では中心がへこんだ団子である「へそもち」、沖縄県では大量の小豆をそのまま餅につけた「ふちゃぎ(へちゃぎ)」が食べられるなど、地域によって差がある。
また、ススキを飾るのも日本では一般的である。五穀豊穣を祈るためのもので、本来は稲穂を飾るべきなのだが、まだ収穫時期には早いため、ススキで代用しているという説が広まっている。
他にもこの日を象徴するキャラクターとしてうさぎが使われることが多い。月の模様が餅をついているうさぎに見えるためとよく言われているが、その模様は仏教説話に由来するという説もある。しかし、月の模様がうさぎに見えることから仏教説話が生まれた可能性も否定できない。
ちなみに宮崎県南部の串間市広野地区では十五夜に「もぐらもち」が行われていた。餅の名前ではなく、行事の名前である。鬼に扮した人が子供をたくさん引き連れ、家に上がり込んでお金やお菓子などを催促するというハロウィンとなまはげをミックスしたかような行事である。2019年現在はもぐらもちは休止しているが、他にも、同じ南九州の薩摩半島では「ソラヨイ」などの綱引きや相撲のような行事が行われる。
関連動画
関連静画
関連リンク
- 暦Wiki「名月必ずしも満月ならず」(国立天文台暦研究室)
- 陳馳「平安時代における八月十五夜の観月の実態」, 歴史文化社会論講座紀要(京都大学)15, p.1-18, 2018.
- いろどりずむ「あなたの街の月見だんごは?」(本棚のこびとたち(はらだこどもクリニック))
- みやざき観光情報旬ナビ「もぐらもち」
- 宮崎県「中山間地域をみんなで支える県民運動「いきいき集落 串間市広野集落「もぐらもち」開催!」(Facebook)
- 井上賢一「薩摩半島における十五夜行事の構造」, 南九州市薩南文化(南九州市立図書館)3, 2011.
関連項目
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