概要
第12回小説野生時代新人賞(KADOKAWA主催)受賞作「水平線は回転する」を改題・加筆修正して刊行された。角川書店レーベル(KADOKAWA)の単行本として刊行された。巻末には小説野生時代新人賞の選考委員の冲方丁、辻村深月、森見登美彦の各人の本作を含む最終選考作品評が掲載されている。
TikTokでのインフルエンサーである小説紹介クリエイターのけんごによる2021年の「けんご大賞」に受賞した。
高校生のときに入れ替わってしまった男子高校生の坂平陸と女子高校生の水村まなみが、入れ替わったことを秘密にしつつ、ときに協力しあい、悲喜こもごも色々ありつつ1年に一回に地元の喫茶店で再会することを約束しつつそれぞれの人生を過ごしていく物語となっている。年代を区切って15歳、18歳、……、27歳、30歳などそれぞれ年代ごとのエピソードに分れ、30歳から回想していく形式を取っている。
番外編として、水村まなみ視点のショートストーリー『君の顔で泣けない-Side M-』がカドブン公式サイトに掲載されている。
あらすじ
高校一年になった男子高校生の坂平陸は、プールの授業中同級生の女子高校生の水村まなみと一緒にプールに落ちたことから入れ替わってしまう。条件もわからず色々試してみるがもとに戻らず、とりあえず、自分の姿の通りの家に帰ることになるが、その際に入れ替わったことを周囲に打ち明けず過ごすことに二人で決めた。
周囲の人間関係などそつなくこなせる、元・水村まなみの坂平陸と、水村まなみになりきろうとしても失敗してしまう、元・坂平陸も互いにに随時相談しつつ人生を過ごしていく。年に1回喫茶店を訪れ再会して互いに近況報告する以外にも連絡を取り合い、時に協力し、戸惑い、決裂してしまいつつ、人生を過ごしていく。
登場人物
- 坂平陸(さかだいら りく)
- 団地住まいの男子高校生で弟が一人おり、工場勤めの父親とパート勤め母親の4人家族だった。プールでぶつかった翌日の朝に入れ替わってしまう。その際には水村がちょうど生理中だったためあらゆる意味で衝撃を受ける。告白されて付き合っていた彼氏との維持や、水村の友人や親の人間関係や勉学などの環境を破壊しないように努力するが、うまく行かずや恋人友人とは離れることになってしまい、元坂平の友人だった田崎と水村を介して3人でつるむようになる。その後水村の仲介によって田崎と付き合うことになる。
- 元の両親とは疎遠のままで陸が元の姿だったときは両親をパパ・ママ呼びしていたが、訪ねた際の母親の余裕のなさからくる冷淡さに拒絶される恐怖を感じている。
- 水村まなみ
- 普通の少女趣味の部屋を持つ普通の女子高校生だった。笹垣桜や高見という女友達とつるんでいて、他校の3年生の「月乃」という男と3ヶ月目という時点の段階で付き合っていた。一軒家で両親の3人暮らしに犬のペロが家族。ポジティブな発言を陸だったまなみに話すことが多く、陸から見れば周囲に溶け込んでいるように見えていた。しかしある時に元の家に行きたいと陸に打ち明け互いに訪問することになる。陸になったまなみは元の水村家と家族とまではいかないまでも、水村家と親しい友人の一人という範囲内で親しくなることができている。
- 田崎
- 坂平陸の友人の一人。入れ替わったあとも陸とまなみと3人でつるむようになる。まなみになった陸に好意をもっており、陸になったまなみの仲介で陸と付き合うようになる。家は酒屋。
- 飯田
- 坂平陸の友人の一人。陸となったまなみとはその後関係は続いたが、まなみになった陸とは疎遠になってしまう。
- 坂平禄(さかだいら ろく)
- 陸より2歳下の弟。後に水村まなみになった陸が襲われた際にその場にいたため救いに走る。兄の陸が高校1年になってから少し変わったことに違和感を持っていたことをまなみになっていた陸に後年打ち明ける。
- 磯矢(いそや)
- 水村が所属するソフトテニス部の顧問。20代半ばで、学校の中でも一番若くイケメンで女子にも人気があったが、水村をターゲットにしており水村になった陸は視線に好感を持っていなかったが指導も異常で嫌悪感を持っていた。
関連商品
関連リンク
- KADOKAWA(角川書店)の作品紹介公式サイト
- カクヨムでの試し読みページ
- スペシャルショートストーリー「君の顔では泣けない Side -M-」公開サイト(カドブン!/KADOKAWA)
- 著者・君島彼方受賞インタビュー掲載サイト(カドブン!/KADOKAWA)
- 著者・君島彼方×選考委員・辻村深月との「君の顔では泣けない」刊行記念対談(カドブン!KADOKAWA)
関連項目
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