正式名称は宅地建物取引士。昔は宅地建物取引主任者と言っていた。
概要
主に顧客に土地や建物を販売する際や、マンションやアパートを貸す際に必要な資格である。
不動産の取引は非常に高額であるため、専門的知識を持った人間が行うべき、という考えから宅建の国家資格が設定されている。
不動産業を営む事業所では従業員の5人に1人以上の割合で宅建資格の保有者を置かなければならない(必置資格)とされており、また、一部の業務(顧客への説明、契約書へのサインなど)は宅建資格の保有者じゃないとできない(業務独占資格)と決められている。
しばしば「就職に強い資格」の一つとして紹介されることがある。
宅建試験
年間受験者数は20万人を超えることが多く、情報処理技術者試験や危険物取扱者試験などと並ぶマンモス級の国家試験の一つとなっている。
法律系の国家試験の中では比較的やさしい部類に属することから「法律系国家資格の入門編」として非常に高い人気を誇っており、不動産業界の関係者だけでなく大学生の受験者も多い。
司法試験(弁護士)や税理士試験などと異なり受験資格は無いので、誰でも受験できる。ただし18歳未満の者は試験に合格しても宅建資格を得ることはできない。また、18歳以上の者でも試験合格後に登録実務講習を受けるか、不動産取引の実務経験(2年以上)を積まないと宅建資格を得ることができない。宅建試験に合格しただけでは宅建資格を得ることはできない、と覚えておこう。
マークシート方式の試験で4択問題のみが50問出題されるが、大学法学部でもあまりなじみのない法律の問題が出題されるため難易度は高い。
合格するためには(年にもよるが)35〜40問以上正解する必要がある。
平成時代以降は全ての年で合格率が20%を下回っており、準難関資格(B級資格)の一つとなっている。
なお不動産業界で働いている人向けの特権として、指定された講習を受けて修了試験に合格すれば5問が免除されるという制度も用意されている。
難易度
他の法律・不動産系の国家資格(行政書士、司法書士、社会保険労務士、土地家屋調査士など)と比較するとまだ簡単な方であるとされる。しかしこれはあくまで相対的に簡単というだけの話であって、法律や不動産の知識がほとんど無い人にとっては難関資格に近い(片足を突っ込んだ)レベルとなる。
既に大学の法学部等である程度法律を学んだ人はともかく、そうでない人は最低でも200時間以上の勉強量は覚悟しておくこと。先述の通り受験資格は特に設定されていないので理論上は高卒でも取れる資格だが、実際には資格保有者の最終学歴は大卒以上が多い。
また、基本情報技術者試験や日商簿記2級、FP技能士2級などと共にB級資格(準難関資格)の一つと言われることもあるが、宅建試験はそれらと異なり年1回しか実施されないため難易度は頭一つ抜けていると言われることも多い。
似ているかもしれない資格(青は国家資格・緑は民間資格)
賃貸不動産経営管理士
賃貸住宅の管理に関する資格。2020年までは民間資格であったが、2021年から国家資格になった。そのため、かつては宅建の二軍戦といった感じであったが、難易度が上がった。
管理業務主任者
マンションの管理業者で働くときに、重要事項説明や事務の報告などを行う資格。30組合と契約するごとに専任で青年の管理業務主任者が一人は事務所にいなくてはならないため宅建同様人気がある。試験の合格難易度は宅建とほぼ同じくらいとされる。
マンション管理士
マンション管理に関しての相談事を受ける仕事。国家資格なのだが、独占業務(マンション管理士の資格がないとやってはいけない仕事)がないのがネック。
不動産鑑定士
不動産の価格評価をする資格。持っている人が少ないため持っているとかなり有利。不動産関係の国家資格で最難関とされており、弁護士(司法試験)や公認会計士と並ぶ文系三大国家資格の一つと言われていたこともあった。
土地家屋調査士
試験は午前と午後の2科目があり、午前では測量や作図などの理系の知識が、午後は登記や民法などの法律の知識が問われる。なお測量士補や二級建築士などの特定の国家資格の保有者は午前科目が免除される特典がある。
競売不動産取扱主任者
差し押さえや担保が実行された結果、競売にかけられた不動産の購入などの知識を証明する資格。民間資格なので独占業務はない。
任意売却取扱主任者・任意売却士
それぞれ任意売却(住宅ローンが返せなくなった人が、抵当権のついた不動産を売却して、満額返せないけど抵当権を外してもらう任意整理の一種)について相談を受けるための資格。だが、民間資格なので持っていなければならないわけではない。この二つの資格は別の競合している団体が認定している別資格である。
その他
投資不動産取引士、不動産仲介士、サブリース建物取扱主任者、敷金診断士、民泊管理者、住宅販売士、住宅ローン診断士、原状回復診断士、不動産終活士、相続土地国庫帰属診断士、不動産後見アドバイザーなどがある。
関連リンク
関連項目
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兄弟記事
- 危険物取扱者
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