悪(アク)とは、社会や宗教上の通念から外れた、不道徳、人道に背いた行い、憎むべき存在のことである。物語においては、敵役とほぼ同義で、はびこり、そして倒される。
悪(ワル)とは、どことなく反社会的な雰囲気のある人のことである。ある種の萌え要素。
漢字として
惡
- Unicode
- U+60E1
- JIS X 0213
- 1-56-8
- 部首
- 心部
- 画数
- 12画
- 意味
- 旧字は惡
- 〔説文解字・巻十〕には「過ちなり」とある。
- 字形
- 形声で声符は亜(亞)。亜に葬礼や凶事という意味がある。憎悪、邪悪の意味はそれが転じたもの。
- 字の初形は不明で、上部が西や囱のようになっているものも漢碑に見られる(𢛫、𢝏)。そのため、声符を襾とする説もある。
- 音訓
- 音読みは1.の場合アク(漢音、呉音)、2.の場合オ(漢音、呉音)、3.の場合ウ、オ(呉音)、訓読みは、わるい、にくい、ああ、いずくんぞ。
- 規格・区分
- 悪は、常用漢字であり、小学校3年で習う教育漢字である。JIS X 0213第一水準。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 声符
- 悪を声符とする漢字には、𣽏、䜑などがある。
語彙
異体字
- 惡は、旧字体で人名用漢字である。JIS X 0213第二水準。2004年に参考字体から格上げされた。
- 䜑は、〔集韻〕に䛩の異体字で、本字は惡とある。
- 僫は、〔集韻〕にある俗字。
- 𢛫は、〔字彙補〕にある異体字。漢碑にあるという。
- 𢝏は、〔字彙補〕にある異体字。漢景君碑にあるという。
- 簡体字は恶。
悪の存在について
「神が存在するのならば、世界にはなぜ悪が存在するのか?」という問いは古来から存在する課題である。これに対し、様々な回答が考えられている。
悪は罰である
悪とは、神が人間に与えた罰であるという説。アウグスティヌスの原罪論などが有名。
悪は不可避である
神の存在と悪の存在は矛盾しない、なぜなら神といえど悪の存在を根絶することはできないからであるという説。ホワイトヘッドのプロセス神学などが有名。
「わたしの内に、すなわち、私の肉の内には、善なるものが宿っていないことを、わたしは知っている。なぜなら、善をしようとする意志は、自分にあるが、それをする力がないからである。すなわち、わたしの欲している善はしないで、欲していない悪は、これを行なっている。もし、欲しないことをしているとすれば、それをしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内に宿っている罪である。」(ローマ人への手紙、七:一八-二〇)
悪は不可知である
神のなすことは我々人間には理解の及ばないことであるという説。一種の不可知論である。
悪は成長である
人間は悪を通して成長してゆくのだという説。イレナエウスなどが有名であり、ギリシア正教会はこの立場をとる。
悪は善である
人間にとって悪に見えるものも、世界全体にとっては善なのだという説。ライプニッツの最善説・弁神論が有名。
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関連項目
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