睦月型駆逐艦とは、日本海軍が建造した一等駆逐艦の艦級である。同型艦12隻。
ネームシップ<睦月>の喪失除籍後、卯月型駆逐艦に名称を変更している。
概要
峯風型駆逐艦以来の日本型駆逐艦設計の流れを汲み、峯風型を拡大再設計した神風型の改良型として生産された艦隊型駆逐艦。太平洋戦争では峯風型・神風型とともに船団護衛を中心に各所で活動し、終戦を迎えること無く1944年までに12隻全てを喪失した。
建造経緯
いわゆる八八艦隊計画において主力艦を補助する一等駆逐艦として峯風型・神風型両駆逐艦が計画されたが、1400t型一等駆逐艦神風型を27隻予定のところを5隻まで着手したところでワシントン海軍軍縮条約が締結され、八八艦隊計画は頓挫を余儀なくされた。
結果、計画を全面的に縮小しつつ主力艦の不足分を補助艦艇で補う形で大正十二年度艦艇補充計画が成立する。その中で、以後起工の駆逐艦は一等22隻二等15隻の予定が一等のみ24隻の建造に変更され、神風型の追加分4隻に続いてその改良型20隻が建造されることになった。これがのちの睦月型駆逐艦である。
しかし、その建造経緯ゆえに睦月型は先行する神風型と比べさほどの性能向上を果たし得ず、建造途中で「かなり高性能」な睦月型から「極めて高性能」な駆逐艦のエポックメイキング、1700t型特型駆逐艦の建造にシフト。睦月型の末尾8隻が特型初期の5隻に変更され、睦月型駆逐艦の建造は12隻で終了した。
船体
睦月型の全長102.72m、全幅9.16mは神風型とほぼ同一だが、排水量はやや大きくなっている。
ただし、峯風型以来のスプーン・バウはその主目的であった一号機雷が使用されなくなったため廃止され、ダブルカーブド・バウを採用。シアー(艦首の高まり)とフレア(艦首の広がり)の拡大により凌波性を高め、外洋で主力艦に追随する能力を向上させている。
兵装
主砲は45口径三年式12cm砲単装4基4門。次級の特型駆逐艦以降は12.7cm砲を採用したため、睦月型は江風型駆逐艦から受け継がれた同砲を最後に採用した駆逐艦となった。後に砲塔をいくつか外し、25mm三連装機銃に積み替えた艦もある。
一方雷装は十二年式61cm三連装魚雷発射管2基6門を装備。53cm連装3基だった神風型から総門数こそ変わらないものの威力は向上しており、同発射管は特型駆逐艦にも受け継がれた。太平洋戦争中にはうち1基を取り外した艦も存在する。
その他、留式7.7mm単装機銃2基、八一式爆雷投射機、機雷(後期艦は掃海具)などを搭載。機銃については後に25mm機銃各種を追加搭載し、防空能力の向上に努めた。
機関
搭載機関は艦本式ボイラー4基、艦本式タービン2基で38500馬力、最高速力37.25ktは神風型と同一。
ただし燃料の搭載量が増えており、航続距離は14ktの巡航速力で4000海里と神風型より400海里延長された。
同型艦
建造時の艦名はいずれも艦番号をそのまま流用していた。これは八八艦隊計画による駆逐艦の大幅増にともなう艦名の不足が心配されたためで、計画中止後の1928年8月1日に改めて命名されている。
艦名の由来は睦月から菊月までは旧暦の月の名とその別称。三日月、望月、夕月は月名を使用する。
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関連項目
大日本帝国海軍 一等駆逐艦 艦級一覧 | |
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戦間期 | 海風型 - 浦風型 - 磯風型 - 江風型 |
峯風型 - 神風型[II] - 睦月型 - 吹雪型(特型) - 初春型 - 白露型 - 朝潮型 - 陽炎型(甲型) | |
戦中 | 夕雲型(甲型) - 秋月型(乙型) - 島風(丙型) - 松型(丁型) |
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