金沢競馬競走中照明消灯事案とは、2023年11月19日金沢競馬8Rにて発生した事案である。
※記事名は便宜上のものであり、競馬場・管轄自治体・メディアによる正式な呼称でないことに注意。
概要
基本的に照明設備の無い競馬場では、日没までしか開催が認められていない。逆に言えば照明設備を整えれば夜間での開催(ナイター開催)が認められる。ネット投票の普及で平日はもちろん、中央競馬が開催される土日でも、日中の延長という形でナイター開催での馬券は売れるようになった。直近では佐賀競馬場や名古屋競馬場(弥富移設後)もナイター開催に踏み切っている。
金沢競馬場でも2023年3月に照明塔を設置することで、日没後も「薄暮開催」としてナイター開催が出来るようになった。
2023年11月19日の金沢競馬は9R徽軫(ことじ)賞という重賞(3歳以上牝馬、東海・北陸交流)が開催予定であった。
しかし8Rのレース中、向正面の様子を映している途中で異変が起きた。
なんと、突如として画面が真っ暗になったのだ。
これだけなら撮影機器の故障の可能性もある。しかし、直後に映された別アングルのカメラからは、真っ暗だが周囲の街灯や車、建物の光が灯っていることが確認出来る。そう、撮影機器の故障ではなく競馬場のほぼ全て照明が消灯してしまったのだ。
8Rの発走時刻は17時10分で、11月後半ともなれば真っ暗の時間帯。これには実況も「走路の照明が……消えてしまいました」と言うことしか出来なかった。ちなみに、「ほぼ全て」と記載したのはゴール前の直線で大型パネルとゴールライン周辺の照明が点灯していたから。そのため、最後の直線は微かな光で人馬の状態が確認出来、実況を再開した。
レースは7番のハクサンバードが先頭でゴールイン……したのだが、当然ながら公正な競馬と言えるわけもなく、このレースは競走不成立となった。
照明はゴールインの後に再度点灯したが、原因究明のため9R以降の全レースも開催取り止め。8R以降の馬券は全て返還された。
被害について
この件で、8R以降に出走(予定)の競走馬や競馬関係者は競走不成立・取り止めという形で被害を受けた。特に、8R出走していた11頭の競走馬のうちリンクスシュウ、スイートティアラ、ブレーヴユニコーンの3頭が落馬した。1頭が予後不良で安楽死となったが、リンクスシュウは負傷、スイートティアラはカラ馬で走っていたようであり、予後不良となったのはブレーヴユニコーンの模様。また、落馬した騎手のうち2名が病院に搬送された。
翌日(11月20日)の石川県競馬事業局との協議において、8Rに騎乗した騎手からは「目の前が突然真っ暗になり、怖かった」と語っている。
原因・再発防止策と再開について
照明消灯の原因について、競走終了後の全消灯のタイマー設定を「本来の19時10分から誤って17時10分に設定した」という人為的なミスであることが判明した。これに対し事業局は全レースの終了後、安全が確認出来た後に手動で消灯することを表明した。
協議に出席した調騎会側からは怒号が飛んだ一方、採算面での競馬存続も考慮してか、再発防止の徹底を前提にレースの再開に合意した。
20日のレースについては、トラブルの原因が特定出来たとして通常通り開催している。
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