9×-8とは、2014年7月27日、夏の甲子園出場をかけた高校野球石川県大会決勝戦、星稜高校対小松大谷高校の試合で起きた奇跡の逆転劇である。
概要
星稜のエース・岩下はこの日は先発して3回6失点と調子が悪く、打線も5回にようやく初安打が出るなど沈黙と続けていた星稜打線だが、0-8で迎えた9回表、岩下が三者連続三振を取り流れを変えた。
その裏、疲れの見えた小松大谷のエース・山下を攻め、今村、村上のタイムリーで2点を返したところで小松大谷は投手交代。だが、攻撃の手を緩めず岩下の場外弾などで8-8とし、最後は二死一三塁で佐竹が左越えへサヨナラタイムリーを放って試合を決めた。
小松大谷は甲子園出場を決めたも同然の状況から、一転して地獄に落とされる事になり、1985年以来の甲子園出場とはならなかった。
ちなみに小松大谷の西野監督は1991年夏大会、星稜に1-5と敗れた決勝戦で、一年生右腕として先発していた。選手として、そして監督としても星稜の前に敗れてしまった…
スコアボード
2014年7月27日 第96回全国高校野球選手権石川大会 決勝 石川県立野球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
小松大谷 | 1 | 5 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 8 | 13 | 1 |
星稜 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 9x | 9 | 10 | 2 |
【バッテリー】 [小松大谷] 山下、木村● - 下口 [星稜] 岩下、福重、谷川、岩下○ - 横山
9回裏の一連の流れ
小松大谷1回目のタイム、山下がいけるかも確認、伝令がベンチへOKサイン!
- 4番村上(3年) 初球ライト前タイムリー①、2-8
- 5番佐竹(2年) 二球目WPでランナー二塁へ、小松大谷ここでエース山下(3年)自らマウンドを降り、二番手木村(2年)へスイッチ。2B2Sから三振振り逃げ、無死二三塁
- 6番梁瀬(2年) 1B2Sからレフト前タイムリー②、4-8
- 7番岩下(3年) 無死一塁0B1Sから、レフト場外HR②、6-8
- 8番虎谷(1年)→代打相原(2年) 2B0Sからファーストフライ
- 9番横山(3年) 0B1Sからセンターオーバー二塁打
- 1番谷川(2年) 初球センター前ヒット
キャッチャーがマウンドへ駆け寄り、間をとる
世間の反応
星稜OBの松井秀喜は「最後まであきらめなかった選手たちがすばらしいです」と8点差をひっくり返した驚異の粘りを評価。
同じく星稜出身のプロレスラーで衆議院議員・馳浩氏もブログで「8回までわずか2安打の打線が、ここまで爆発するものか。逆に言えば、小松大谷高校の投手も選手も、かわいそう。でも、こんな残酷な結果をも見せつけてしまうのが、真剣勝負の野球。」と語った。
また海を越えアメリカの全国紙でも「松井の母校が0-8の逆境に打ち勝った。最もワイルドといえる9回だ」などと報じるなど、多くの人に衝撃を与える試合であった。
その後
勝った星稜のエース・岩下大輝は同年のドラフト会議で千葉ロッテマリーンズに3位で指名され入団。敗れた小松大谷のエース・山下亜文も福岡ソフトバンクホークスに育成3位で指名されプロ入りした。なお、山下は支配下登録を勝ち取れず、読売ジャイアンツ移籍(育成)を経て2019年限りでNPBを去っている。
翌2015年夏の石川県大会では準々決勝でこのカードが実現。今度は小松大谷が0-3から9回裏に4点を取って星稜に逆転サヨナラ勝ち、1年前のリベンジを果たした(ただし小松大谷も準決勝で金沢高校に敗れ甲子園出場はならなかった)。
関連動画
関連項目
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