E331系(2006年~2014年4月2日)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)において元ニートレインであり、今は亡きにかつて在籍・存在した直流一般形電車である。
概要
旅客用としては国鉄・JRを通して初めて連接台車が採用された車両。E993系「ACトレイン」の試験結果では特に問題無かったことから、京葉線の201系を置き換えるために、量産先行車として1編成が東急車輌製造と川崎重工業で2006年3月に製造された。
E993系の試験結果はすでにE231系やE531系の改良に一部反映されていたが、本形式はE993系のシステムを本格的に反映した量産車であり、E993系から受け継がれた連接構造と動力台車に採用された新機構・ダイレクトドライブモーター(DDM)が特徴となっている。
※DDMとは??→通常の電車の駆動機構の場合、モーターと駆動軸の間には歯車とギア、あるいは継手などが存在し、間接的に駆動する機構となっているが、DDMはその名の通り、モーターの駆動軸が直接車軸につながって駆動する方式である。身近なモーター関係の機械で言えば換気扇や扇風機などの電動ファン、ハードディスクなどと同じような感じでモーターが電車の車輪を回している状態を想像してもらえば理解しやすいのではないだろうか。部品点数の削減による信頼性向上、歯車を介さないことによる騒音減少・効率向上が主なメリットである。実際にE331系に乗車した人の証言では、とにかく走行中の駆動音の静かさに驚いた人が多い。
…ただし、モーターが回転させている物体(鉄道車両の場合は車輪)にかかった負荷が歯車やギアなどでワンクッション置かれずに直接モーターにかかるというデメリットを見逃してはならない。また上記のメリットは、主にモーターがある程度一定の回転数・一定の負荷で回り続ける機械において得られるメリットであり、鉄道車両のような停止から最大回転数まで様々な回転速度を頻繁に使い分ける上、乗客の多寡・平地路線と勾配路線・気象条件などによる負荷の大きな変動がある用途でメリットを発揮できるとは限らず、また回転の精度が保てないと様々な問題が発生する。PCの冷却ファンにケーブルなどが当たって止まったり減速した状態のまま放置すると、過負荷がかかってモーターがダメージを受け、いずれは焼き切れる、というのは説明するまでもないだろう。
事実、E993系では早々にDDM駆動をあきらめ、試験開始から1年程度で通常のカルダン駆動車に改造されていたのだ。この事実がありながら何故量産形式のE331系に採用したのか、大いに疑問の残るところであり、実際にこの駆動機構がE331系の致命傷となった。
また先頭車の運転台寄りのドア間座席はロングシートとセミクロスシートに可変できる構造になっている。7両+7両の3ドアとなっており(計14両と言っても、長さは201系・205系の10両と同じ)、ドア位置が異なるため、専用の乗車目標が設置された。
2007年3月18日から営業を開始。当初は土曜・休日ダイヤのみ運用に入り、将来的には平日ダイヤにも運用に入る予定となっていた。だが、並ぶ位置が他の車両と異なるために邪魔者扱いされたとかされてなかったとか。
しかし部品改良を行うことになったことから、わずか1ヶ月で運用を離脱。しばらく、幕張車両センターなどでニートレインしていたが、ようやく10月に川崎重工業製の7両が部品改良され、2008年3月に同じく東急車輌製の7両が部品改良された。2008年12月に営業運転に復帰したが、車両故障を起こしたため、2009年5月にまたもや営業運転から離脱。
2010年4月に再び営業運転に復帰し、運用が何度かあったようだが、2011年1月に3度目の営業運転離脱。以後京葉車両センターの片隅に放置されたままになった。
なお、製造する目的となっていた201系の置き換えは、E233系5000番台が行うことになり、205系とともに2010年7月から全車置き換えられた。一応、E331系は置き換え対象に含まれていないとは発表されていたのだが、E233系が量産された以上、E331系が量産される可能性はこの時点でほぼ無くなり、営業運転離脱以降は復帰すら望み薄となった。と言うか実質置き換えられたようなものである。
2014年3月25日、長野総合車両センターへ配給回送され、4月2日付けで全車廃車となり、5月に入ってあっさり解体された。ありがとう、E331系。お疲れ?様、E331系。もしかしたら生涯で累計5万キロも走っていないんじゃないだろうか。
わずか8年少々の生涯に終わり、各JR旅客会社が開発した旅客用電車としては初の廃形式となった。
疑問点
E331系がこの世から姿を消し、全てが終わった今、そもそも本形式は一体何のために開発されたのかふと考え直すと、この電車の開発過程、システム、存在そのものを含めたあちこちにツッコミどころ疑問点があることに気づく。
- 京葉線は高規格・直線主体の高速高架路線であり、カーブに強いが保守が面倒な連接車を通勤用車両として導入する理由が特にない。中央東線の特急用車両として連接車を導入するならまだ話は分かるのだが。
- 京葉線の通勤快速には編成の一部が東金線方面に直通する分割併合運用が存在し、201系時代から6+4両の分割対応編成が存在していた。しかし連接構造で柔軟な編成が組めないE331系はそのような運用に対応できない。
本編成9車体+付属編成5車体ぐらいの分割併合運用対応編成を製造すれば対応できないことはないが、そんな規格外れな編成を少数作るぐらいなら初めから分割併合運用にはE233系を導入すれば話が早い。結局201系置き換えにはたとえE331系がまかり間違って量産されていたとしてもE233系も併せて導入することは避けられない。 - 朝から晩まで毎日休み無く使用される通勤用車両は、安全性は言うに及ばず耐久性・整備性・機械的信頼性・部品の互換性を最重視すべき鉄道車両である。JR東日本も当然この考えに則り、これまで過剰なまでに車両の規格統一を進めてきた経緯がある。しかしE331系は信頼性未知数の駆動方式を採用しており、当然モーター・台車ともE231系やE233系と互換性が全くなく、これまでのJR東日本の車両開発方針と、営業用車両としてのE331系の存在は明らかに矛盾している。
- E331系は度々駆動系などの不調で運用を離脱し、最終的に自走不能になった状態で廃車された。本当に量産・継続運用するつもりがあるなら通常のカルダン駆動車に改造するなどの根本的対策を取るはずだが、そのような対策を試みた形跡はない。
これら疑問点を総合すると、本形式は「量産車」という名目で製造され、営業運転に投入されてはいたものの、実態としてはE993系の増加試作車と呼ぶべき代物で量産するつもりなど最初から一切無く、実際の乗客を乗せた状態の試験データを収集するために「量産前提の車両」という名目で造られたものだった、と考えるのが自然ではないだろうか?
993という数字を3で割ると・・・?
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関連項目
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