Monotype(Monotype Imaging, モノタイプ・イメージング)は、アメリカに本社を置く、国際的なデジタル組版と書体デザインの専門会社(タイプファウンドリー)である。多数の企業を買収してきた歴史があり、欧文を中心とする書体ライブラリーの分野で世界最大手とされる。HGGC子会社。
概要
1887年、アメリカのフィラデルフィアでTolbert Lanston氏によって創業された。Lanston氏は、金属の帯から文字を切り出して印刷用の活字にする機械を発明し、1896年には熱金属組版機を特許取得した。1899年には、初めての書体であるModern Condensedを発表した。
1897年頃には、資金調達のためにロンドンに支社を設立し、モノタイプ・コーポレーションとなった。その後、サリー州のサルフォードに新しい工場を建設し、長年にわたってそこが本拠地となった。モノタイプ社の組版機は、溶けた金属から活字を鋳造する機械で、文字単位で修正が可能だった。これは、本や雑誌などの高品質な印刷に適していたという。以来、熱金属組版から写真組版、レーザー組版、デジタル組版へと技術の変化に対応してきた。
一方でハードではなく書体の開発の功績も大きく、特に20世紀に多くの重要な書体を開発した。代表的なものには、Times New Roman, Gill Sans, Arial, Bembo, Albertusなどがある。これらの書体は、多くの新聞や雑誌や書籍や広告などで使われており、現在でも広く親しまれている。デジタルフォントとしても多くの開発を行っており、近年では和文フォントとしてたづがね角ゴシック、松籟サンズをリリースしている。
また、実に多くの他社の書体やフォント販売サイトを買収して、書体のラインナップを拡大してきた。2010年から2016年にかけて、Helveticaなどで知られるLinotype GmbHや、International Typeface Corporation, Ascender Corporation, Bitstream Inc., FontShop, Fontsmith, MyFonts.comなどを相次いで買収している。
2019年には、HGGC社というプライベート・エクイティ・ファームによって買収され、非公開会社となった。
以降も、2021年には、ニューヨークに拠点を置きGothamなどで有名な人気書体メーカーであるHoefler&Coを買収。また、2023年には、日本のタイプファウンドリー大手であるフォントワークスを買収するなど、規模を肥大なものとし続けている。
代表的な書体
- Times New Roman
- セリフ体の書体で、1931年にStanley MorisonとVictor Lardentによってデザインされた。タイムズ紙の依頼で制作されたもので、書籍や雑誌や新聞などの本文に広く使われるようになった。
- Gill Sans
- サンセリフ体の書体で、1926年にEric Gillによってデザインされた。イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動やロンドン地下鉄の文字デザインに影響を受けた。見出しや本文の両方に使える多用途な書体である。
- Arial
- サンセリフ体の書体で、1982年にRobin NicholasとPatricia Saundersによってデザインされた。ライノタイプ社の人気書体であるHelveticaと寸法的に互換性のある代替品として作成したものである。中庸で現代的な書体で、デジタルメディアや企業ブランディングで広く使われている。
- Bembo
- セリフ体の書体で、Stanley Morisonが15世紀のイタリアの活字職人Francesco Griffoの作品に基づいてデザインした。1929年にモノタイプ社から発表され、本印刷のための古典的な書体となった。人文主義的な書体で、優雅なコントラストと繊細なディテールを持つ。
- Albertus
- セリフ体の書体で、1932年にBerthold Wolpeによってデザインされた。ローマ時代の碑文や初期ルネサンスの文字形に触発された。鋭いセリフやふくらんだ筆画や三角形の終端を持つ特徴的な書体で、看板やタイトルやロゴなどによく使われる。
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