アンソロジーコミック、またはコミックアンソロジーとは、特定の題目について複数の作家が寄稿して作られる漫画本のことである。
アンソロコミックと略されることもあり、本のタイトルが 作品名 + アンソロコミック などということも珍しくない。
大別して2種類あり、一方は漫画・ゲーム・小説・アニメなどの特定タイトルに関するパロディを扱う本、もう一方は特定のワードが主題のオリジナル短編作品を扱っている本である。
前者はメディアミックス作品を広く扱っている出版社程よく発行する。
前者は既存タイトルのパロディ・二次創作であるという点で、いわゆる「同人誌」と似通った部分がある。同人誌でも複数作家が集まって作った「合同本」であれば、言葉の意味だけとらえれば「アンソロジーコミック」と言えるが、一般的には「商品」として商業流通しているものをアンソロジーコミックと呼ぶことが多い。逆に描き下ろし作品のみを収録した場合は本来の「アンソロジー」という言葉の意味に合わないのだが、描き下ろしか否かを問わずにアンソロジーコミックと呼ぶことが多い
アニメパロディが商業流通に載る初期の例としては、サブカルチャー雑誌「月刊OUT」やその増刊から始まった漫画雑誌「アニパロコミックス」があり、それらが源流と言えるかもしれない。
1980年代は一般向けなアンソロジーコミックはほとんど刊行されておらず、少年ジャンプを中心とした作品の腐女子向けのパロディ本が出版されていた。もちろん一般人はほとんど知る由もない本屋の特殊な一角で扱われておりなおかつ権利的にグレーあるいはブラックなものばかりであった。
1990年に入るとSNKの格闘ものを中心としたゲームのパロディ本が許諾を得てタイトルごとに出版されるようになり、中頃にはガンダムWのパロディが中小様々な出版社から大量に出版され、後半からはペルソナシリーズやTo HEARTなどの有名ゲーム作品のパロディがジャンルを問わずによく出版されるようになった。
2000年になると不況から出版社が淘汰されるようになる。この頃になると版権元による出版の管理が行き渡るようになっていた。格闘ゲームはゲームセンター市場の冷え込みの影響を受けアンソロジーコミックの数は激減している。その代わりに家庭用ゲームやアニメ作品のパロディの割合が大きくなる。
作家によっては純粋なオリジナルの作品が世に出ることがまったくなく、こういったアンソロジーコミックでパロディ漫画ばかり描いていることもある。これは酷な言い方をすれば漫画家として大成していないということであろう。そしてそのまま消えていく作家も数知れず。
アンソロジーコミックの常連は上の通りであることが多いが、中にはアンソロジーコミックへの参加と中規模連載をずっと続けている作家もいる。
例)内村かなめ
また、普段は自身のオリジナルの連載作品を描いている中堅や大御所の作家がまれにアンソロジーコミックに参加することもある。
例)コンノトヒロ、高河ゆん
仕事は極力断らない、出来る限り引き受けるという作家は多いそうだからその辺の事情もかんでいるのかもしれない。また、元々同人誌やアンソロジーコミック出身であるためパロディの気風に親しんでいるというケースもあるようだ。
概要でも述べたが、アンソロジーコミックには「同人誌」と似通った部分がある。そのためか主に同人誌の分野で活動している作家が参加する事もある。特に小さめの出版社からのアンソロジーコミックでは同人作家が参加することが多く、それどころか同人誌で発表済みの漫画が再録されているケースもある(そもそもアンソロジーという言葉の意味をとらえれば発表済みの漫画の再録本のはずであり、それがアンソロジーコミックの名前で商業ベースに載ったことで、パロディコミック全般がアンソロジーコミックと呼ばれるようになった可能性はある)。
版権物のパロディコミックは本来であれば版権元に許可をとった上で出版しなくてはならない。これは同人誌でも商業流通でも同じである。同人誌は無許可でも慣例的に黙認されていることが多いが、アンソロジーコミックという一般書店にも並ぶ「商品」として扱う場合はさらに慎重な扱いが必要である。
もちろん、大手出版社がアンソロジーコミックを出す場合は、版権元から許可手続きを取り権利表記を付けたうえで、元ネタ作品の正式名称を使っている。
しかし小さめの出版社から出版されるものでは、同人誌の延長線上の感覚なのか許諾を受けていないとみられるものも多い。例えば「商品紹介で元ネタ作品の正式名称が使用されておらず略語や愛称のみで記載されている」などの点があれば許可を取っていない可能性が高くなる。(ただし「元ネタの作品と間違って買わないように」という配慮であえてそうしている可能性もあるため、決めつけることはできないが)。
2009年から2010年にかけて無許可でアンソロジーコミックを出していた出版社が、著作権元から名指しで「謹告」を受けた実例もある。
女性向けのパロディアンソロジーコミックでは、週刊少年ジャンプに代表される少年漫画をパロディ元としていることが多い。そして、中にはいわゆる「腐向け」な内容を含むものも多い。
同人誌であれば「わかっている」人しか入手しようとしないため「原作と間違って買った」ということはまずありえないが、アンソロジーコミックは一般書店に流通してしまう。そのため、「原作漫画ファンの少年少女が外伝か何かだと勘違いして購入」「子どもや孫に買ってあげようと母親やおばあちゃんが購入」といった悲劇が起こってしまう事がある。
そういったコレジャナイの洗礼を受けた子らの一部では、それをきっかけとして腐の道に目覚めてしまうこともあるらしい。
掲示板
21 ななしのよっしん
2021/12/21(火) 15:23:02 ID: cdZ4JUJnxj
2000年代前半くらいまでは公式漫画や二次創作の乏しい中堅RPGの補給成分として重宝したけど
以降はRPGのシリーズ自体さっぱり出なくなりましたとさ
22 ななしのよっしん
2022/06/28(火) 15:10:34 ID: FwA+zoSmT2
「アンソロジー」でも書き込んだこと(+α)だけど
本当に玉石混淆な路線だったなあ。
ファン愛や作品理解も深くて補給成分になるものもあれば、
ガワを借りただけの別物(作者の願望丸出し人形劇)や
ヘイト創作物すらあったりする。
23 ななしのよっしん
2023/12/04(月) 20:35:42 ID: o718aGsoO+
格ゲーのコミックアンソロジーでシリアスバトル路線のを読みたかった
なくはなかったけど数が少なすぎる
急上昇ワード改
最終更新:2024/11/08(金) 14:00
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