カーレ・ウィロック(Kahle Wilock)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
フェザーン自治領の民間人航宙士。目の色は黒。石黒監督版OVAでは、強いウェーブの掛かったボリュームある金髪と青みがかった目の持ち主としてデザインされている。
ボリス・コーネフが船長を務める商船に航宙士として雇われ、しばしばボリスや事務長マリネスクとタッグを組んで活躍した。商人としてよりはむしろ航宙士としてよく知られた人物であり、不敵で誇り高く、独立不羈を信条とするフェザーン人として、自身が”自由の民”であることに格別の感情を持っていた。
最初の登場は帝国暦489年(宇宙暦789年)末、フェザーンの酒場『ドラクール』の一室でのこと。”神々の黄昏”作戦の発動によってフェザーンが帝国軍の占領下におかれたことに衝撃を受け、その憤懣を酒場で吐き出すしかなかった独立商人たちのなかで、ひとり演説調で語りはじめたのがウィロックであった。
いいか、おれたちは自由の民だ。自由惑星同盟などとえらそうに称する奴らじゃない、おれたちこそが自由の民なんだ。おれたちに慈悲深い皇帝など必要ない
さらに彼は、つづく長老的な老商人の「フェザーンが滅びるなどと考えもせんかった」という悔悟の言葉を受けて沈み込む一同を励ますように再び口を開く。
そう、残念だがフェザーンは一時、滅びるかもしれない。だが、かならず再興するぞ。おれたち独立商人の、自由の民の城をつくりなおすんだ。いいか、さっきも言ったが、おれたちには皇帝など必要ないんだ
この時、ちょうど部屋にマリネスクが入ってきた。マリネスクは拍手で旧知のウィロックの演説をたたえると、「お前さんは演説より宇宙船をうごかすほうが好きだろう」と仕事に勧誘した。ウィロックは仕事の内容も聞かずに引き受けてマリネスクを呆れさせたが、本人は「こんなところでくすぶっているくらいなら、悪魔の依頼だってひきうけるさ」と不敵に笑っていた。
こうしてウィロックは、船長ボリス・コーネフ不在ながら事務長マリネスクにより運航されていた独立商船ベリョースカ号に航宙士として迎えられる。ベリョースカ号は同盟弁務官ヘンスロー、駐在武官ユリアン・ミンツ少尉らを客として乗せて同盟領にむかっており、フェザーン回廊同盟側を封鎖する帝国軍の哨戒網をくぐりぬけなければならなかった。
この途中、ベリョースカ号は帝国軍の駆逐艦に捕捉されるが、ユリアンの策で駆逐艦を逆に拿捕することに成功した。この時、ウィロックは帝国軍警備兵のひとりを横合いから射撃し、みごと右ふくらはぎを撃ち抜いて制圧に貢献している。
当時、哨戒にあたる帝国艦にはニコラス・ボルテック代理総督の命でフェザーン人が乗艦して監視・臨検・摘発に協力していた。ウィロックは、”帝国軍の走狗となった”当のフェザーン人に殺意すらいだいている(結局はユリアンの判断で駆逐艦の乗員ともども救難シャトルで艦を追放されるにとどまった)。
上記の経緯から、ベリョースカ号は偽装のためやむなく破壊された。代償としてマリネスクらは同盟軍より新造の輸送艦を獲得し、ボリス・コーネフ船長のもと、親不孝号として再出発を果たす。ウィロックも、今度は親不孝号の航宙士となった。
最初の航宙で、親不孝号はハイネセンよりユリアンたちを乗せ、メルカッツ独立艦隊が潜む浮遊補給基地ダヤン・ハーンを経て地球へと向かった。地球では、地球教本部へ向かうユリアンやボリスたち一行には帯同せず、ことあらばすぐに発進できるよう、ナム・ツォ湖に停泊する親不孝号にマリネスクともども残留している。
以後も親不孝号の航宙士として活動し、エル・ファシル独立政府やヤン艦隊の諜報活動に関わった。ヤン・ウェンリーの死後、イゼルローン要塞を離れハイネセンに到着した離脱者のなかにもボリス、マリネスクともども混ざっており、「内国安全保障局にたたかれれば、埃の二、三キロは出そうな顔ぶれ」などと評されている。この時はボリスが発見した地球教徒を三人して尾行し、ヨブ・トリューニヒトの邸宅に入っていくのを見届けている。
掲示板
4 ななしのよっしん
2020/04/22(水) 11:47:22 ID: UAQ9zDUisy
@KS60さんへ
家族扱いすると田中先生はお気に召さないかも知れませんが、「悪たれどものボリス・キッズ(ペテンじみた命名)」の記事も充実して来ましたね。
もうふた踏ん張りして頂くとして、『親不孝号』には振り仮名『アンデューティネス』が不可欠でしょう。
ttps://ejje.weblio.jp/content/dutifulness『dutifulnessの意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書』
表記は“undutiness“にせよ、正しくは“undutifulness“であり対義語として上記に由来します。
『義務に対する献身に基づいた孝心』との訳語から、孝心を忠誠に読み替えて同盟政府に当て嵌めると、「レベロ本部長は殉職によってそれらを守ったが、ヤン提督は逃亡によって貫徹出来ず、ロックウェル統合作戦本部長は叛逆によって蹂躙した」という評価になるでしょう。
しかし悪たれ氏は政府への忠誠という柄ではないので、「『独立商人の連帯による自由商業』への義務~誠意(孝心)」を果たせなかった悔恨を、改名する羽目になった艦名に込めた
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
5 ななしのよっしん
2020/04/24(金) 22:33:30 ID: asFN01PGjv
ボリスもだけど、フェザーン人こそが本当の意味で愛国心(敢えてこの言葉を使う)を持ってる人が多いのかもな
その根っこにあるのが「栄光にしろ失敗にしろ、俺たちの運命は俺たちの器量が決めている」という
競争平等主義的イデオロギーだと思う
6 ななしのよっしん
2020/05/08(金) 10:30:34 ID: UAQ9zDUisy
>>5
個人レベルでは、自らの才覚への信頼とバランタイン・カウフ総帥一族及びカウフ財団の趨勢から読み取った運命への達観とを保障して商活動に専念させてくれるのが、フェザーン政府が提供する自由主義経済だったかも知れない。
とは言え、ローエングラム朝銀河帝国軍の占領によって(介入的に?)改変されたそれを敢然と放棄したところから、悪たれどものボリス・キッズは自由商人としての新たなる1ページをひもとき始めたのだろうか…
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/25(木) 03:00
最終更新:2024/04/25(木) 03:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。