ボリス・コーネフ 単語


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ボリスコーネフ

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ボリス・コーネフBoris Konev)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。

CV.安原義人石黒監督OVA)、菊池正美Die Neue These)。

概要

宇宙769年(帝国460年)の生まれ。フェザーン自治領公民であり、独立商人にして自治領府職員。商人としては独立ベリョースカ号、のち“不孝(アンデューティネス)”号の船長、自治領府では自由惑星同盟駐在フェザーン弁務官事務所書記官を務めた。

行動的な雰囲気と辛辣な表情をたたえた、気概と気には不足しない青年であり、国家の軛も金銭の手綱もけして肯んじない「独立不羈の自由人」たるを自らの存在価値として自治領消滅後に至っても底した。ヤン・ウェンリーの幼い頃の友でもあり、特に同盟を離脱して以降のヤン一党に対しては組織外部の独立商人という立場から積極的に支援を与えた。

同盟軍ヤン艦隊のスパルタニアン・エースであるイワン・コーネフ従兄にあたる。

経歴

遅くとも祖父の代から独立商人として身を立ててきた系の出。自身も幼いころから父親に連れられ間航行の日々のなかで育ち、累代の気をうけついだ。

宇宙797年当時、28歳の彼はフェザーン独立ベリョースカ船長として20人ばかりの乗員を従える身であった。おりしもゴールデンバウム朝銀河帝国リップシュタット戦役の戦地となるなか、客の運賃を支払えない貧しい地球教徒を帝国領内の聖地地球へと貨物扱いで輸送する仕事を請け負い、辺定中の帝国キルヒアイス艦隊に遭遇している。

しかし同年の頃にフェザーンに戻ると、自治領アドリアン・ルビンスキーから呼び出され、ベリョースカ号への燃料供給の保障と引き換えにハイネセン駐在フェザーン弁務官事務所への派遣という不本意な任務を押し付けられる。ベリョースカ号はマリネスク事務長を船長代理として任せ、同盟で生じていた救国軍事会議のクーデターも収まったころに書記官名義の情報工作員としてハイネセンに赴任する。

やがて宇宙798年末に帝国フェザーン侵攻が起き、ベリョースカ号は同盟駐在武官ユリアン・ミンツ中尉らを乗せ同盟領方面への密航を企図するが、帝国軍に発見され隠匿のため自ら破壊する始末となった。ハイネセンに留まっていたボリスは翌年のバーラトの和約後に運命を知ると、旧友ヤン・ウェンリーの口利きで同盟軍から輸送を譲り受け、“不孝(アンデューティネス)”号と名づけて自由独立商人に舞い戻った。

この際のヤンの頼みで、“不孝”号にユリアンルイ・マシュンゴを搭乗員扱いで乗せ、地球教の調のためまたも地球へ赴くこととなる。途上では帝国軍の形式的な臨検を想よく切り抜け、立ち寄ったメルカッツ独立艦隊からオリビエ・ポプランを旅に加えつつ地球に到着。現地ではボリス自身もを部下に預け、カンチェンジュンガ山の教団本部まで随行、巡礼の教徒を装って潜入する。

潜入10数日ののち、教団本部を攻撃したワーレン艦隊とともに地球をはなれ、オーディンを訪問。紆余曲折を経てエル・ファシルで同盟離脱後のヤンと合流し、今度はフェザーン独立商人たちへの工作を引き受ける。以後はヤン艦隊のために軍資金と情報を収集するため奔走し、翌800年の回廊の戦いの直後にはアンドリュー・フォークがヤン暗殺を企んでいることをイゼルローン要塞に急報、結局ヤンの暗殺を防ぐには間に合わなかったが、ユリアンたちの救援部隊が送られるきっかけとなった。

イゼルローン共和政府の成立にあたっては、ユリアン依頼で離脱者にまぎれて帝国統治下のハイネセンへと潜入。「封鎖突破グループ」を組織し、物資の密輸や情報収集の面でイゼルローン軍への協力を続ける。むろん彼の情報収集力にも限界はあったが、ヨブ・トリューニヒト地球教徒の関係を察知したり、ロイエンタール元帥叛逆事件の発生や“オーベルシュタイン刈り”での拘禁者リスト通報するなど、イゼルローン軍の情報収集・分析においてバグダッシュとならぶ重要な立場を築いた。

結局、一年後にシヴァ星域の会戦イゼルローン共和政府ローエングラム朝銀河帝国との講和が成立するまで付き合い、講和後には無料奉仕のつもりはないと情報代を取る算段を表明しているが、その日はイゼルローン軍首部との三次元チェスにあけくれ言い出せなかった(2勝2敗)。「おれは情報を売買して、あたらしい時代にふさわしい商人になってやる」との将来展望を息巻いてもいたが、その後の彼がどんなを歩んだかはわからない。

人物

先祖同様に己の意思と才覚のみをたのみにする独立貿易商人人生を追いめ、“自由の民”たることを誇りとする。今は細でもいつか倉に金属ラジウムダイヤ原石を満載して“今年のシンドバッド賞”の栄誉にく大商人となる日を見、権力や軍事力にかしずく気など一切ない独立不羈の持を持ちながら、必要ならば想はフェザーン人にとって第二の性である」という箴言にも忠実という、商業国家としてのフェザーン自治領の精神を体現するかのような若き生フェザーン乗りである。

自由独立商人」を信条とする独立心旺盛な人物だけに、組織や制度への依存とは縁。本来属するフェザーン自治領の滅亡を見てもなんら気にかけるところを見せず「まず彼があって、法律などはそれにをつけるだけ」と評される。他者と上下関係を築くよりも対等の友人たることに価値を見出す明朗な人となりだが、しばしば狷介で不従順なところも垣間見え、相手の言葉を受け入れていてもひねた答えを返さずにはいられない悪がある。

過去200年にわたり犯罪者と役人を出していないのがコーネフの自慢[1]だと語し(フェザーンでは役人は才覚と気概を欠く者が就く職業扱いである)、ゆえにハイネセン赴任時には同時に双方だといたく自尊心を傷つけられた。現地でも「協調性と勤勉さに欠け、なによりも致命的なまでに意欲にとぼしい」と苦情が上がるような、底して不な勤務態度であった。

商人への立身を見るようなことはあっても、価値観じたいは世間なれした商人らしくシビアなもので、時に冷笑的なほどだった。地球教徒を顧客に運航費用を稼ぎはしても、宗教や神など笑い飛ばし、時に支配と蓄財の具とみなして悪意を隠さなかった。属するフェザーンに対してすらも、帝国や同盟を宿とする寄生虫であるにすぎないとみていた。

しかしそうしたドライな言動の一方で、「物質的な利益よりも心の利益がだいじさ」くとおり、行動ではしばしば損得勘定より自由意志を優先する。情報工作員の地位などいますぐ捨てたいと願いながら、フェザーン侵攻で実際に抛擲する好機となると「沈みかけたを見捨てるのは彼の好むところではなかった」という理由で弁務官事務所に居残った。イゼルローン軍のために生命がけの封鎖線突破や情報収集も辞さず、それが命や義務でなく自己の意思ひとつでの行動であることに快感をおぼえてすらいた。

このように、彼の人生の根幹にはたんなる独立商人とはいえない冒険者的な生き方も色濃く現れている。たとえ“今年のシンドバッド賞”ものの成功は手にしなくとも、彼は権力よりも金銭よりも自分の心のコンパスを信じ金属ラジウムダイヤ原石よりだいじな宝物の存在を知る宇宙シンドバッドだったのかもしれない。お供はかわいい虎じゃなくて老け顔の30代なんだが……

人間関係・人物評

部下

事務(オフィサー)を務めるマリネスクどう見てもボリスより10歳は歳上に見える4つ歳上の心。気心の知れた間柄であり、堅実でリアリストな性格で事務と経理をつかさどり、時には資金繰りの危機からを守った。そのマリネスクフェザーン脱出にあたり勧誘した航宙士カーレ・ウィロックも、合流以後は部下として信を置いている。

その他の乗組員に対しても船長として相応の責任感を有しており、彼らを食わせる立場として不本意な仕事も受け、ハイネセン赴任中にフェザーン侵攻が起きた際にも安否を心配していた[2]地球行の際、地球教本部で乗組員(おそらく姓名が装飾過剰なナポレオンアントワーヌ・ド・オットテール)を乱戦のなかで死なせてしまったときなどは、相当に不機嫌な様子を見せていた。

ヤン艦隊

ヤン・ウェンリーは2歳年上で、ボリスが11、2歳のころ、宇宙を旅するなかで出会い意気投合した間柄。ヤンいわく、大いに悪戯をしかけてまわった“悪たれのボリスキッド”には大いに迷惑させられた……そうだが、そこには優秀な共犯がいたとはユリアン・ミンツマリネスクから伝え聞いた話である。

そのユリアンとは、フェザーン脱出の奇縁をきっかけに地球行以降いろいろと世話を焼くことになった。両者との縁ゆえかヤンとユリアン子関係を俯瞰的に眺めており、ユリアンの素質を認めつつもむほん気のなさを心配し、ヤンの忠実な子であるかぎり縮小再生産品にしかなれないとヤン相手に忠告している(ユリアン本人にははずかしくて言えないとのこと)。ユリアンがヤンの後を継いでからも、才はあるがもうすこし横着になるべきだ、いつまでもヤンを教本にしているな、とこぼしていた。

従弟イワン・コーネフとは、おそらく終生面識をもたなかった[3](彼の戦死はバーラトの和約後にヤンと再会した際に聞いている)。イワンの戦友オリビエ・ポプランとはイワン戦死後が初対面らしいが、互いに斜に構え、辛辣な皮を応酬する間柄になっている。「コーネフという姓とは相性が悪いとはポプランの言だが、ポプランはイワンの遺族の安否をボリスに尋ねるようなこともあった。

その他

ジークフリード・キルヒアイスに出会った際には、「いい人」というマリネスクの論評に「いい人間は長生きしないよ、とくにこんなご時勢にはな」などと縁起でもない言いようで気の毒がり、さらば、遠き日へのフラグ立てに一役買った。わざわざ顔まで向けてきたボリススルーしたマリネスクの評では、「うちの船長は、必要もないところでかっこうのよい台詞を言いたがるさえなければ」とのこと。

いわゆる「情報工作員」の役職を与えてきた自治領アドリアン・ルビンスキーに対しては、自身の誇りをかるがると踏みにじっただけでなく、悪意ではなく恩恵のつもりでそれをしているから性質が悪い、と嫌悪していた。なお、シヴァ星域の会戦ののち、ルビンスキーハイネセンの病床で死期にあるという情報病院関係者から入手してイゼルローン軍首部に伝えたのもボリスだった。

皇帝ラインハルト・フォン・ローエンラムに対しては、軍人としての有能さにとどまらずフェザーンを政軍の中枢にしてしまう政治的視野の広さにかわいげがない、と断じて「あれだけ顔がいいんだから、それで満足して、才だの器量だのは他人に分けてやればいいんだ」と、ずいぶん体な言い様。ある意味あんただって独占が好きとも思えない」というヤンのボリス評どおりといえなくもないが、これは単にラインハルトを素直にほめたくないだけだと思われる。

関連動画

関連項目

脚注

  1. *従弟イワンは同盟の職業軍人となっているが、「役人」という口語的な名詞がボリス当人の意図として軍人まで含んでいるかは明瞭でない。いずれにせよ、当時のボリス従弟が軍人と知らない可性が高い。
  2. *とはいえ力な彼がしていたことは、ベリョースカ号と合流するため同盟軍が一刻も敗北するよう祈る、というひどくドライな神頼み程度である。
  3. *イワン宇宙798年の時点ではボリスと面識がないことを言しているが、その後イワンが戦死する799年4月までに対面する機会がなかったとは言い切れない。
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