ストアード・フェア・システムとは (ストアードフェアシステムとは) [単語記事]

「サイエンス・フィクション」の略であるSFは、当該項を参照ください。

ストアード・フェア・システムとは、鉄道・路線バス・定期船舶などの乗車船にあたって、IC カードや磁気カードにあらかじめ運賃充当額を貯めておき、構内への入出場・車両の乗降など、運賃判定を行う際に即時処理（後述）を行うシステムのことである。

概要

日本においては、使い切りタイプの磁気カード方式（接触式）の「イオカード」（JR東日本の東京近郊路線・自動改札機での取扱いは終了）・「バス共通カード（車載機での取扱いは終了、券面発行社局有人窓口における規程の払戻し額による、現金払戻し扱いのみ。源流は『神奈川中央交通』のバスカードシステム。東京・神奈川を中心とした首都圏バス社局で共通使用でき、紙券式回数券の代替的な意味もあったため、発売額以上のプレミアム【いわゆる「おまけ額」】も付いていた）」、「ラガールスルー」（阪急電鉄など。このシステムは、関西民鉄・バス社局共通カードシステム「スルッとKANSAI」に飛躍）などが嚆矢。これらを、技術革新によって繰り返し使用可能なIC カード方式（非接触式）の「Suica」・「PASMO」・「PiTaPa（基本システムはストアード・フェアでないが、搭載はしている）」・「ICOCA」などが置き換えつつある。

基本システムは、入場確認と出場時の運賃引き去り。この部分は各事業者によって若干の差異がある。カード残額がその駅からの初乗り相当額を下回っていた場合に入場不可設定としている事業者（「Suica」「PASMO」など、鉄道社局の大多数）、残額0円でも入場可能としている事業者（JR東海の「TOICA」【同社の改札外機器は、現金チャージに対応しない旧型機種を数多く更改せず残し、自動精算機を精力的に更改していることなどから推察できる】、「スルッとKANSAI」で改札外乗り継ぎ、地下鉄←→バス相互の乗継割引判定時、叡山電鉄・宝ヶ池駅での乗り換え時などの際に残額がたまたま0円になった場合など）、残額が10円あれば入場（後扉からのバス・路面電車乗車）を認める事業者など、社局の事情に応じてさまざまである（「後乗り・前降り・運賃後払い」方式の路線バス【または車載機で処理を行う交通】などの場合、乗客の乗り間違い【内部用語であれば「誤乗」】にシンプルかつ迅速に対応すべく、結果として誤乗となった乗車判定については、その次の乗車判定がこれまた単純に上書きされ、カード所持者に特段の手続きを求めない【運転士に誤乗や乗車取り消しなどを申し出ると、発車前でさえあれば「あ、そう、乗り間違い、カードそのままでこのまま降りて」という趣旨の回答をなされる】方式を取る社局がほとんどである）。

なお、これらカードは、改札機のある駅構内に「入場券」としての直接使用をすることは、定期乗車券機能でも搭載していない限り、ほぼ100％に近い確率で使用できない（ほとんどの社局で、カードでの同一駅入出場はエラーとなる設定とされている。残額などから自動券売機などで紙製の入場券に引き換えを要する）。これは、カードでの入構（改札内立入り）が「移動の手段としてこれから輸送役務を受けようとしての入構」なのか、それとも単に「家族・友人など近しい人などの見送り・出迎えなど、何らかの理由で料金を支払ってまで受けたい用務」なのかの判定、およびそれに付随する「旅行の中止」なのであるのかは、カード本体でなく、利用者自らがその意志を事業者に申し出ない限り判別できない、という理屈である（IC カードの各種規則や約款では、入構後の旅行者都合による運送契約の解除にあたっては、原則、入場券相当額を残額から差し引いても異議は申し立てないでくださいね、という内容を定めている場合がほとんど。ただし、高松琴平電気鉄道のIC乗車カード「IruCa」には、運行時隔が開く時間帯がある同社線の性格上、例外的な取扱いが別途規定されている）。

また、上記で「乗船」と述べたが、日本国内において実例はわずかではあるが、中国地方・四国地方の船舶事業者である「宮島松大観光船」・「JR西日本宮島フェリー」（以上は「PASPY」「ICOCA」を取り扱う）、「石崎汽船」（「ICい～カード」「PASPY」「ICOCA」を取り扱う）・「中島汽船」（「ICい～カード」を取り扱う）、桜島フェリー（乗船券の販売所が物販加盟店）、国外であれば香港の「スターフェリー」（「オクトパスカード」を取り扱う）などが存在する。