路線バスとは、バスの運行・営業形態の一つである。
乗合バスともいい、あらかじめ定めたルート(路線)を決められた日時に運行し、運賃を支払うことで誰でも乗車できるバスである。根拠となる法律は道路運送法。都市間を高速道路経由で結ぶ高速バス、はとバスに代表される定期観光バスも路線バスの仲間である。ここでは主に一般道をルートとする一般路線バスを中心に記述する。
人々にとって最も身近な交通手段ではあるが、利用者数は1964(昭和39)年をピークに減少を続けており、地方では一般路線バスの縮小が止まらず、バスの走らない集落も珍しくない。更に2020(令和2)年に生じたコロナ禍による外出自粛が拍車をかけており、都市部ですら運行回数の削減、運行系統の短縮・整理が目立つようになっている。
割と混同されているが、実は路線と運行系統は異なる概念である。
この項目は独自研究を元に書かれています。 |
※循環区間の回転方向にもバリエーションがある。
一般路線バスは平常すべてのバス停に停車するが、中には停車しない停留所のある「優等種別」が設定されている系統もある。名称は「快速」「急行」「特急」などが付けられるが、事業者によって種別名の示す意味が異なる。
※北海道など高速道路が未整備の地域では、高速を使わない都市間バスに「特急」を設定する事例もみられる。
バスファンの記事も参照。
極端に運行回数の少ない路線を指す言い回し。廃止した方がよいのでは…と思われるにもかかわらず廃止しない理由として、バスの路線免許(認可)を返上し廃止すると当該道路における貸切バスの営業に差し支えるとか、再度の認可を得るのが大変だとか、様々な事情で路線免許を維持する必要がある、と判断されているから…らしい。
バスの記事を参照。
一般路線バスでは大型路線バス・中型バスを主に使用している。外国車の導入は連節バスなど限定的で、国産車が圧倒的シェアを占める。昭和の時代までは各社とも新車を購入・運用していたが、平成以降は都市圏を地盤とする比較的裕福な事業者のみ新車を購入しており、それ以外の事業者は放出される12~15年落ちの中古車を購入している。都市圏ではCNGバス・ハイブリッドバス等も見られるが、全体的にはディーゼルエンジン車が主流。
ノンステップバスの記事も参照。
交通バリアフリー法施行により、地方の路線バスも多くは床の低いノンステップバスになっている。昭和の時代、大都市圏では「三方シート」という、電車で言うところのロングシート車が多かったが、その後は前向1人掛シート(車両後方は2人掛)が取って代わった。地方では立ち席スペースをあまり考慮せず、2人掛を全体に設置する事例も見られた。前扉直後の1人掛シートは「オタ席」という俗称があるが、新型コロナ禍で閉鎖される事例が目立つ。
一般路線バスには片側に1~2箇所のドアを備えており、前輪の前にあるドアを「前扉」、前輪と後輪の間にあるドアを「中扉」と呼ぶ。ただし、慣習的に中扉のことを「後扉」と呼ぶことも多い。ドアを2箇所備える車両は「前中扉車」と呼ばれ、それぞれ乗車用・降車用を使い分けるが、車いす利用者は中扉を乗降兼用で使用する。また、前扉の1箇所のみ備える「トップドア車」は高速バスで圧倒的に多数派であり、定期観光バス・貸切バスにも使用されている。
かつては後輪の後ろに「後扉」を設置する事が可能で、前扉・後扉の2箇所を備える「前後扉車」や、前扉・中扉・後扉の3箇所を備える「3扉車」も存在したが、後扉は交通バリアフリー法への対応が難しいことから近年では姿を消している。さらに歴史を遡ると、バスに車掌が乗務していた時代は中扉の1箇所のみを備えるバスも存在していたが、ワンマン化により淘汰されている。
トップドアの例 | 前中扉車の例 | 前後扉車の例 | 3扉車の例 |
---|---|---|---|
運賃の支払い方法は、乗車時に運賃箱にお金を投入する「先払い」と、降車時に運賃箱にお金を投入する「後払い」の2種類がある。運賃箱は運転席の横に設置されているため、乗車時と降車時のいずれかで前扉を使用し、そのタイミングで運賃を支払うことになる。
乗降方法と運賃支払い方法の組み合わせは多岐にわたる。以下に簡単にまとめたが、この表に当てはまらないタイプもある。
扉数 | 乗車方法 | 降車方法 | 支払方法 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2扉 | 前乗り | 後(中)降り | 先払い | 均一運賃の路線に多い |
申告先払い | 距離別運賃の場合、乗車時に行先を申告して運賃を支払う | |||
後(中)乗り | 前降り | 後払い | 距離別運賃の路線はほぼこちら。均一運賃の場合もある | |
前乗り | 前降り | 先払い・後払い | 後扉(中扉)は締め切り扱い。地方に多い | |
1扉 | 高速バスに多い |
不特定多数の乗客を乗せる場合、当然のことながら二種免許が必要である。路線バス車両は法令上大型車の扱いとなるので、運転手が持っている免許は大型二種免許である。
大型二種免許に対するハードルの高さ、勤務時間の不規則さ、過酷な労働環境、ネガティブキャンペーンなどが原因で多くのバス会社が運転手不足に悩まされている。運転手不足を解消するため、普通免許取得3年以上の人であれば会社で大型二種免許取得費用を負担する制度が多くの会社で実施されている。また鉄道系の会社では高卒でバス運転手候補を採用し、大型二種が取得できるようになるまでは鉄道業に携わせるところもある。
運転手は出勤と退勤時に点呼を行うことが義務付けられている。点呼は運行管理者(補助者)の前でアルコールチェック、健康状態の確認、その日の運行で注意するべき点の伝達、ダイヤ表の受け渡しなどを行う。
同じバス会社・グループ会社のバス同士が離合する場合、運転手同士が手を挙げて挨拶する場合がある。これはお互いに異常が起きていないことを確認する意味合いなどが込められているが、中には事故防止を理由に挨拶をしない会社もある他、長距離高速バスなどでは異なる会社同士でも挨拶することがある。
一般的な路線バスの運転手は日勤が基本で、休日はシフト制である。
勤務時間は様々で朝の始発からラッシュの終了まで乗務した後、昼間は休憩し夕方の帰宅ラッシュから終バスまで乗務する中休勤務、朝出勤して夜退勤する通し勤務、始発から昼まで乗務する早番、逆に昼から終バスまで乗務する遅番などがある。
高速バスの場合も日勤が基本だが、距離の長い路線だと宿泊を伴う事もある他、JRバス関東・西日本JRバスの新東名新城インターやWILLER EXPRESSの新清水インターなど路線の途中で交代して運転手だけ出発地に戻るという形態もある。
近年はかなり少なくなったが、現地出退勤というものもある。多くの場合、運転手は自分が所属する営業所で出勤・退勤の点呼を行うが、中長距離路線だと終バス到着後に営業所へ帰ること、始発に間に合うように営業所を出庫する事が現実的でない場合もある。
そういった場合、路線の終点近くに現地出退勤用車庫が確保され、そこで滞泊する行路を担当する運転手は車庫の近隣に住んでいる人から選ばれ、出勤・退勤を営業所ではなく現地の車庫で行う。
現地出退勤を行わない場合、宿泊勤務を設定して対応していることもある。
都市部・地方含めて路線バスの利用者は減少傾向にあり、かなり苦しい経営状況に立たされている。公営バスを中心に営業係数(100円の収入を得るのにいくら費用がかかるか示した値)が公開されているのでそれを見てもらうと赤字路線の多さをうかがい知ることが出来る。
一般路線では利用者の減少傾向のところが多いが、長距離高速バスでは利用者数が安定しておりそちらの収益で赤字路線を支える構造のバス会社も多い。また自前の自動車整備工場を持っているところでは自動車整備業や各種保険の代理店業務などで設備・人員の有効活用と収益確保を兼ねていることもある。
掲示板
6 ななしのよっしん
2020/06/08(月) 09:33:09 ID: VbcnLvm+fJ
コロナ禍で廃止の危機に遭ってるところもありそう。鉄道以上に体力ないところ多いから。観光バスは既に大量解雇あるし。
生活の足、路線バス窮地 静岡県内4~5月、コロナ禍で収入半減 「走るほど赤字」回復見えず
https://
7 ななしのよっしん
2022/12/08(木) 05:24:17 ID: BBaQL/0btT
電車には勝てない
8 ななしのよっしん
2023/08/05(土) 06:08:41 ID: 0L/sXn2xGg
夢がある話だね。
スト実施のバス会社、非正社員にも夏賞与 「同じ仲間」労組の要求で
https://
>今春に24時間ストライキを実施した千歳相互観光バス(本社・千歳市)は4日、4年ぶりに夏のボーナスを支給した。金額は20万円と多くはないが、非正社員にも正社員と同じ金額が支給された。「同じ職場で働く仲間」として同額の支給にこだわった労組員たちの思いがある。
>夏の賞与が支給されたのは社員約130人のうち、入社1年未満の社員などを除いた約110人。うち正社員や契約社員、嘱託社員ら約50人には一律20万円を支給し、パートらには10万円~数万円を支給した。
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最終更新:2025/01/23(木) 19:00
最終更新:2025/01/23(木) 19:00
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