レンティア国家(Rentier state)とは、経済学の用語である。
レンティア国家には2つの定義が考えられる。
1.は広義のレンティア国家で、資源の呪いが発動して国内の有力産業が天然資源を生産する産業だけになった国家のことを指す。
2.は狭義のレンティア国家で、普通の国家のように国内の住民からの徴税や国内の金融市場からの借り入れによって政府の収入をまかなうことをほとんどせず、国有企業が天然資源を輸出して得た利益を政府に向けて配当金として支払うことで政府の収入をまかなう国家のことを指す。言い換えると、国内からの富の吸い上げをせずに国外からの富の吸い上げだけで政府の収入をまかなう国である。日本の財政の言い方でいうと、租税収入や公債金で政府の収入をまかなわずに税外収入だけで政府の収入をまかなう国である。
レンティア国家の日本語版Wikipedia記事では1.の定義を採用している。一部の学者は2.の定義を採用している[1]。
天然資源に恵まれていても、天然資源を生産する産業の他に有力な産業を抱えているのなら、その国家は1.の定義のレンティア国家に当てはまらない。
アメリカ合衆国やロシアや中国やインドやブラジルやオーストラリアやイランは天然資源に恵まれているが、農業や工業が有力な規模になっているので、レンティア国家と表現されない。
1.の定義に当てはまって2.の定義に当てはまらない国家というと、ベネズエラやザンビアである。
ベネズエラは石油以外の産業が貧弱であり、ザンビアは銅などの鉱業以外の産業が貧弱である。
2.の定義に当てはまる国家というと、サウジアラビア・カタール・UAE・クウェートなどである。
いずれも中東の産油国で、イスラム教の国家である。国民への経済的支援が手厚い。その反面として国民に対して選挙権や被選挙権といった参政権を基本的に与えない。民主主義の気運が薄く、権威主義の気運が強い。
レンティア国家のレンティア(rentier)とは「利子や地代などの資本レンタル料だけで生計を立てている不労所得者」という意味のフランス語であり、その意味のまま英語に輸入された言葉である。
国家が天然資源だけで国家財政をまかなっている様子と、不労所得者が資本レンタル料だけで生計を立てている様子に共通点を見出し、レンティア国家という表現を生みだした。
レンティア国家という表現は20世紀初頭の経済学者たちによって使われた。ウラジーミル・レーニンもレンティア国家という表現を使っている。
1970年代にはホセイン・マハダヴィ(Hossein Mahdavy)というイランの経済学者がレンティア国家という表現を使った。
1980年代になってエジプトの経済学者ハゼム・エル・ベブラウィ(Hazem Al Beblawi)とイタリアのエネルギー地政学者ジャコモ・ルチアーニ(Giacomo Luciani)がレンティア国家という表現を広めた。彼らは1987年に『レンティア国家(The Rentier State)』という論文を発表している。
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最終更新:2025/12/11(木) 01:00
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