丘珠空港

基礎データ
空港種別	共用
所有	防衛省
IATA	OKD
ICAO	RJCO
滑走路	1500m(14/32)
開港日	1942年9月
設置場所	北海道札幌市 [GoogleMap]

丘珠空港とは、北海道札幌市東区にある空港である。札幌丘珠空港とも呼ばれる。
「丘珠空港」とは空港の通称あるいは民間施設の名称で、正式名称は札幌飛行場。防衛省が所有し、陸上自衛隊と民間の共用となっている。

概要

札幌市の中心部から北に約6kmの場所に位置する、札幌市唯一の空港である。都心部から30分程度と良好な立地だが、札幌市を含め北海道の空の玄関口としての役割は南に40km程離れた新千歳空港が担っている。

アクセスが新千歳空港に比べて格段に良いにも関わらず運航路線が少ない理由として、以下の問題がある。
まず、3000m滑走路が2本ある新千歳に比べて丘珠は1500m滑走路1本しか持たないために、大型機の離着陸は不可能。それに加えて、近隣の住宅地への騒音公害防止のため、小型ジェット機の就航についても見送られてきた。他にも、陸上自衛隊と施設を共用しているために発着枠が限られている事などが挙げられる。

全日本空輸(ANA)が2010年6月30日を以て撤退したことで、運航会社が北海道エアシステム(HAC)のみとなった時期は、ただでさえ少ない発着枠を持て余す状態だった。さらには経営危機に陥った日本航空(JAL)が自らのグループからHACを切り離したことによる経営問題もあり、空港の存廃も取り沙汰されたが、道や札幌市、道内財界の支援によりHACはとりあえず存続。丘珠空港もひとまず危機を免れ、札幌市も2011年5月に「丘珠空港活性化プログラム」を発表して利用促進に本腰を入れ始めた（HACはJALの経営再建後、2014年10月にJALグループへ復帰）。

そんな中、2013年7月にフジドリームエアラインズ(FDA)がリージョナルジェット機ERJ170-100を使用して、丘珠空港初の民間ジェット機離発着テストを行った。更に、11月には小牧空港(愛知県)との間で同機による旅客チャーター便をテスト運航。付近住民の意見も概ね肯定的であり、騒音なども問題ないと判断されたため、2014年6月より定期チャーター便の運行が開始された。クルーズ船のツアー客輸送であった。

更に2016年6月からは静岡空港(静岡県)との間でFDAの定期便が就航した。ただし、降雪により制動距離が大きくなる冬季はFDAの保有するリージョナルジェット機の離着陸の安全が確保できないため運休となる。2018年8月には同月中の期間限定で静岡空港発着便の増便と信州まつもと空港への直行便が開設され、松本線は定期運航路線となった。

丘珠空港発着便が増加することで、前述の都心部からの良好なアクセス性を活かせるようになり、同時に発着枠が逼迫している新千歳空港の補助的役割も本格的に担えるようになる。まだまだ問題は残っているが、丘珠空港がイギリスのロンドン・シティ空港のような立場になる日もそう遠くは無い……かもしれない。

事実、2023年になって、3月にFDAが名古屋・小牧空港への路線を新規就航、10月には従来3機体制だったHACが4機体制へ拡大して根室中標津空港への便を13年ぶりに復活させ、日本航空（ジェイエア）がそれまで新千歳空港との間で就航していた秋田便をHACに移管したうえで丘珠 - 秋田便に変更した。翌2024年1月には新潟空港を本拠地として発足したトキエアが初就航路線として新潟 - 丘珠便を飛ばし、7月からは1日2往復だった小牧便が3往復へ増便された。これによりかつては閑古鳥が鳴いていた丘珠空港は、搭乗時の手荷物検査に行列ができるほどの混雑ぶりが見られる日も出るようになってきている。これに伴い2024年には待合室の拡張が行われ、2030年までに通年でのリージョナルジェット旅客機の運用を可能とする滑走路の1800mへの延伸、およびそれに合わせたターミナルビルの移転または増築による床面積倍増化も計画されている。

なお、2014年7月の航空ページェントにて、V-22 オスプレイが初飛来している。初めての来道ということもあり、イベント当日は過去最多の約5万人が丘珠に詰め掛けた。

就航路線

2024年7月現在

※HAC運航便は運送の共同引受によりJAL便名で運航。
※FDA運航便はJALとコードシェア。

運航会社	出発地/目的地	本数
JAL(HAC運航)	函館空港	5～7往復(特定日運休便あり)
JAL(HAC運航)	釧路空港	3～4往復(特定日運休便あり)
JAL(HAC運航)	女満別空港	1～2往復(特定日運休便あり）
JAL(HAC運航)	根室中標津空港	2往復
JAL(HAC運航)	利尻空港	1～2往復(特定日運休便あり）
JAL(HAC運航）	奥尻空港	1往復（原則金曜・日曜限定）
JAL(HAC運航)	三沢空港	1往復(原則金曜・土曜・日曜限定)
JAL(HAC運航)	秋田空港	2往復
FDA(JALコードシェア)	信州まつもと空港	1往復(冬期運休)
FDA(JALコードシェア)	富士山静岡空港	1往復(冬期運休)
FDA(JALコードシェア)	名古屋空港(小牧)	2往復(繁忙期3往復、冬期運休)
TOK	新潟空港	2往復

アクセス

空港連絡バス

北都交通が運行する空港連絡バスがある。経路は札幌駅前〜地下鉄栄町駅〜丘珠空港。ただし冬期間は札幌駅 - 栄町駅間は運休となる。

なお、乗り換えの手間を厭わないのであれば、札幌駅と栄町駅の間は地下鉄東豊線を利用するほうが料金が安くなり、所要時間も短くなる場合がある。丘珠空港は札幌市の北側にあるにもかかわらず、連絡バスは札幌駅南口側に発着し、途中でANAクラウンプラザホテルに立ち寄るためである。

一般路線バス

北海道中央バスが運行する路線バス2系統が丘珠空港へのアクセスに利用できる。

• [麻26]麻生東苗穂線　経路は地下鉄麻生駅〜地下鉄栄町駅〜丘珠空港〜豊畑またはモエレ沼公園
• [栄21]栄町篠路線　経路は地下鉄栄町〜北37条東21丁目〜篠路10条4丁目

栄21は丘珠空港に乗り入れないが、空港の敷地入口付近にある北37条東21丁目に停車するので空港アクセスに利用できる。

徒歩

栄町駅から徒歩1.5kmで丘珠空港に向かうことができる。歩道のある市街地の道路なので、荷物の量と体力と時間が許せば徒歩でのアクセスも可能ではある。

ちなみに

空港のある丘珠地区は、開拓期より玉葱栽培が盛んな地域。特に「札幌黄」という品種はその味の良さと栽培の手間から幻の玉葱と呼ばれている。丘珠空港の食堂でも、名産の玉葱をふんだんに使った「丘珠カレー」が提供されている。

関連動画

関連項目

• 空港の一覧
• 札幌市
• 新千歳空港

外部リンク

• 札幌丘珠空港