簡体字で「他妈的」、繁体字で「他媽的」とは、直訳すると「彼のお母さんの」と言う意味になる中国語である。
しかし実際にはクッソ下品な罵り言葉/強調表現であるので、中国語話者の前で軽率に言ってはいけない。性的な含意も含むあたり、英語圏の「fuck」(ファック)に近い。
発音をカタカナで表現すれば「タマダ」または「タマーダ」に近い。このせいで日本人の「玉田」さんが中国語話者の前で自己紹介すると微妙な顔をされるという。
ピンイン(アルファベットを使った中国語の発音表記)では「tāmāde」。そのため「TAMADE」と書いてある「スーパー玉出」の入り口の画像が、中国語話者の間では面白画像として扱われているらしい。
下品なのでウェブサイトなどで禁止ワードに設定されることもあるが、それをすりぬけるために「TMD」などと表記されることもあるとか。
使われ方は英語圏の「fuck」と似ていて、また日本語で言う「クソ」「クソッ」「クッソ」とか「ちくしょう」と同じような感じであるという。
つまり単なる罵り言葉というわけでなく、日常の舌打ちがわりであったり、強調的な表現として使われることもあったりと、使われ方はかなり多様である。
相手を罵るときに「このクソ野郎!」と言う意味で使われたり、失敗したときに舌打ちのように「クソッ」「ちくしょう!」と言うかのように使われたり、「今日はクッソ暑いな!」といった感じで苛立ち交じりの強調に使われたりするらしい。
「クッソうめえ!」と言った感じで、料理に対して「他妈的好吃」と使われたりもするようだ(「好吃」は「おいしい」の意)。つまりポジティブな強調の意味合いで使われる事すらある。
なぜ「彼のお母さんの」という言葉が性的な意味を持つ下品な罵り/強調になるのか?中国語話者以外には理解しがたいところである。
というわけで調べるために、中国人が日本語で記載した「中国語の罵り言葉」に関する文献を見てみよう。
この罵り言葉の詳細な意味についてはちょっと解釈が出来ない。つまり解釈することがはばかれる。まあ、“ちくしょう!”というような意味である。この罵りことばが一番多く使われているようである。
カマトトぶりやがって……。仕方ない、次行ってみよう。
「他妈的」には汚い文字がなく,他の罵詈と比べて清潔的であるように思われたのか,老若男女が独り言,口癖,罵りなど平気に口にし,「国罵」にまで昇格させた。しかし,語源を探ってみれば「他妈的」には中国の罵詈の基本が全部そろっている。その基本とは,すなわち性と性器にまつわる言葉である。
実際,「○他妈的○」は前に動詞,後ろに名詞を一文字ずつ省略している。中国人なら「○」に何を入れるかすぐ分かる。つまり「操他妈的屄(bi)」である。中国でよく耳にする「操他妈的」と「他妈的屄(bi)」もここから派生した言葉である。中国人民大学の教授で性学者の潘绥铭氏は,「操他妈的屄(bi)」の前にさらに主語の「我」があったと解説している。いずれにせよ,「他妈的」は極めて汚い罵詈雑言の省略語であって,軽く口にすべきものではない。
とのこと。「他妈的」が「(我)操他妈的屄」の略らしいことは分かったが、なぜかその翻訳を書いてくれていない。
仕方ないので「操他妈的屄 translation」でググってみると、以下のようなことを書いている掲示板が見つかった。
他妈 is an acronym/abbreviation/omission of "我操他妈的屄" which is a very bad curse.
"我操他妈的屄" can be translated in English like "I'm gonna fuck his mother's pussy."
In different situations, "我操他妈的屄" has different abbreviations like "我操他妈的", "我操他妈", "操他妈的", "他妈的", "妈的", "我操", '"操", and sometimes even "我...".
More characters, more anger.
※言語に関する掲示板「WordReference Forums」の2011年の書きこみより[3]
というわけで「我操他妈的屄」は英語で「I'm gonna fuck his mother's pussy.」という意味であるらしい。そしてこの「我操他妈的屄」は「我操他妈的」「我操他妈」「操他妈的」「他妈的」「妈的」「我操」「操」等と略され、文字数が多いほど怒りも多いとのこと。この中で一番代表的なものが「他妈的」ということだろうか。
さて、もう一息だ。「I'm gonna fuck his mother's pussy.」を日本語に訳してみよう。
「私は彼のお母さんの女性器をファックします」と言う意味になる[4]。
割と歴史がある言葉であり、かの文豪「魯迅」も1925年に以下のように記しているという。
无论是谁,只要在中国过活,便总得常听到“他妈的”或其相类的口头禅。我想这话的分布,大概就跟着中国人的足迹之所至罢;使用的遍数,怕也未必比客气用的“您好呀”会更少。假使依或人所说,牡丹是中国的“国花”,那么,这就可以算是中国的“国骂”了。
(中国で生活していたら,誰でも「他妈的」またはそれに似た口癖をよく耳にする。私の推測では,この言葉の分布は中国人の足跡の至るところに広がっており,もしかすると使用する回数は挨拶用語の「您好呀」よりも多いかもしれない。もし人々が言うように,ボタンの花が中国の「国花」だとすれば,「他妈的」を中国の「国罵」と呼ぶこともできる。)
一説によると、この罵り方の起源を辿れば、その精神は紀元前の書物『戦国策』内の記述にまで遡るとさえ言われているとか。
母を攻撃の対象にする記録は戦国時代斉王が周王に「而母婢也」(君の母は下人だ)を言ったことが最初で,それが民間に伝わって「尔母婢也」→「你妈的屄」に変わったと言われている。斉王が「而母婢也」を言った後,「卒为天下笑」という記載からその発言は王に相応しくない,下品だ,と考えられており,この見方は昔も今も変わらないことが分かる。
※上記の張新力の論文より
“他妈的”是脏话,出于《战国策·赵策》中《秦围赵之邯郸》“周烈王崩,诸侯皆吊,齐后往。周怒,赴于齐曰:‘天崩地坼,天子下席。东藩之臣田婴齐后至,则斫之!’(齐)威王勃然怒曰:‘叱嗟,尔母婢也!’卒为天下笑。”
※中国版Wikipediaみたいなサイト「百度百科」の「他妈的 (中国国骂(脏话))」の記事
より
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掲示板
6 ななしのよっしん
2022/06/03(金) 09:45:52 ID: /PKrvhmVsH
太宰治の『惜別』を読んでて、若き日の魯迅が自国の辛辣な酷い言葉として主人公に教えていたのが気になって調べたらこんな丁寧な記事が…… 「あまりに下劣で意味は言いたくない」とまで書いてあったからどんな意味だよと思ったら本当に酷かったな 助かりました、ありがとう
7 有識者
2023/07/07(金) 14:15:03 ID: U7Ntfq2VTc
日本語の"死ね"と同じように若者の間ではこの言葉の価値がインフレしてるからなぁ
8 台湾人
2023/09/15(金) 21:29:00 ID: JmAtJJFaAt
>>4
実はこの点にこそ「他の罵詈と比べて清潔的である」と思われる所以があるんだ。
あくまでも「おまえの母」じゃなくて「どっかの誰かの母」に侮辱してるのだから、実は「話し相手への侮辱」のための言葉じゃないんだよ。あくまで強いネガティブな気持ちの発露である。
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最終更新:2025/12/06(土) 02:00
最終更新:2025/12/06(土) 02:00
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