北陸新幹線とは、群馬県の高崎駅から大阪府の新大阪駅までを、長野県や石川県を経由して日本海側周りで結ぶ予定の整備新幹線である。
高崎駅~長野駅間が1997年に先行開業し、金沢開業までは「長野新幹線」と言う愛称を使用していた(詳細は該当記事参照)。2015年3月14日には長野~金沢間が開業し、ようやく「北陸新幹線」の正式名称の通りとなった。
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群馬県高崎駅から、長野県長野市、新潟県西部、富山県、石川県、福井県と、日本海側を通って、大阪府大阪市まで接続する新幹線。なお、東京駅~大宮駅間は東北新幹線、大宮駅~高崎駅間は上越新幹線と共用となる。
最終的には、東海道新幹線に次いで、東京・大阪間を結ぶ第二の新幹線となる計画。東海道新幹線のバックアップもかねている。
東京駅~金沢駅間の所要時間は速達型「かがやき」で2時間25分程度になる(東海道新幹線東京駅~新大阪駅間の最短所要時間とほぼ同じくらい)。
他にも速達駅+数駅の停車タイプ「はくたか」、「サンダーバード・しらさぎ」乗り継ぎ対応の富山駅~金沢駅間シャトルタイプ「つるぎ」、現行の「あさま」の計4タイプで運行される。
2012年8月19日より、金沢駅~福井県敦賀駅間が着工しており、2024年3月16日に開通予定。敦賀駅延伸時の大阪~金沢間の所要時間は2時間9分に短縮される予定。
なお、敦賀駅~新大阪駅間については2031年度着工、2046年度開通予定となっているが、反対運動もあり予定通り着工できるか見通しは立っていない(後述)。
並行在来線となる信越本線(軽井沢駅〜篠ノ井駅・長野駅~妙高高原駅)は「しなの鉄道」に、信越本線(妙高高原駅~直江津駅間)と北陸本線(直江津駅~市振駅間)は「えちごトキめき鉄道」に引き継がれた。
北陸本線(市振駅~金沢駅間)についても、「あいの風とやま鉄道」(市振駅~倶利伽羅駅)及び「IRいしかわ鉄道」(倶利伽羅駅~金沢駅)に経営分離された(ちなみに金沢駅は、新幹線開業を機に駅舎のみIRいしかわ鉄道の管理に変更され、JRから使用料が入っている)。
北陸本線(金沢駅〜敦賀駅)は「IRいしかわ鉄道」(金沢駅〜大聖寺駅)、「ハピラインふくい」(大聖寺駅〜敦賀駅)に経営分離が予定されている。
なお、長野駅の一つ先の駅である飯山駅は飯山線と接続しているが、飯山線は並行在来線に指定されなかったため、引き続きJR東日本が営業を続ける。
北陸には「サンダーバード・しらさぎ・はくたか・北越」というJR西日本が自社の在来線特急としては珍しく力を注ぎまくっている稼ぎ頭達がいるが、新幹線金沢延伸開業時には「はくたか」は廃止となった他、「サンダーバード・しらさぎ」も和倉温泉発着の「サンダーバード」1往復を除き金沢以東の運転が取りやめられた。「北越」もJR西日本区間が廃止されて、JR東日本区間のみ運行する「しらゆき」に置き換えとなった。「というか、既に高速・高頻度なサンダーバードがあるから新幹線(金沢以西)いらなくね?」なんて地元民の前で言ってはいけない(気がする)。
が、実際は地元民でも疑問を持っている者が多かったりする。というか、北陸全体で力入れまくって通したサンダーバードを10年チョイで蔑ろにするのはどうかという声があり、特に大きく期待している人はそういなかったりするのが現状でもある。・・・と書かれているが大雪等悪天候になる度に福井県が陸の孤島と化している現状では雪に強い北陸新幹線への期待は大きい(敦賀から南はどうすんのと言う話はあるが)。
一方、JR西日本は2015年1月28日に「サンダーバード」用の681系・683系を2015年秋からリニューアルすると発表している。
また、従来、北陸から首都圏へ鉄道で移動する場合は、「はくたか」で新潟県越後湯沢駅まで行き、そこから上越新幹線に乗り換える、というルートが使用されていたのだが、金沢までの開通以後はもちろんこのルートが使用されることは殆どなくなった。したがって、上越新幹線・ほくほく線の旅客減少、沿線への経済的打撃は避けられない。速達タイプの「かがやき」に至っては、新潟県内に停車しない。
これを、当該地域の経済団体や自治体は「2014年問題」と呼んでいる(結果的に開業は2015年になったが)。後述するとおり、新潟県が公費負担を拒否したのは、これが原因である。
ちなみに、JR東日本管内では一部(主に首都圏)に「北陸新幹線(長野経由)」と長野の名称が残っている。後述。
長野~金沢間開通にあたり、JR西日本のW7系も運用開始される。
E2系は、老朽化の為2017年3月31日をもって運用を終了した。
金沢開業までは「あさま」のみとなっていた。
金沢開業に伴う新列車名については2013年5月31日10時から6月30日24時まで公募が行われ、発表は2013年10月10日に行われた。応募方法はホームページまたは郵便はがきで行われた。
JR西日本は2013年5月14日に「たてやま」「つるぎ」を、8月16日に「かがやき」を商標出願していたが、列車名は「かがやき」「はくたか」「つるぎ」「あさま」となることが発表された。「たてやま」とはなんだったのか
そして、2015年3月14日の金沢開業に伴い、「あさま」に加え「かがやき」「はくたか」「つるぎ」の運行も開始された。
2013年10月2日ならびに2023年8月30日に発表された運行体系は以下の通り。停車駅については駅一覧を参照。
JR東日本・JR西日本が申請した料金(リンク)を基に計算すると、普通車指定席で、東京駅~富山駅間は12,730円、東京駅~金沢駅間は14,120円となる。現行では越後湯沢駅乗り換えで、東京駅~富山駅間は11,600円、東京駅~金沢駅間は12,710円となるため、1,000円以上高くなることになる。
これは特急料金が現行の東北・上越・長野新幹線の料金体系に加えて、JR西日本区間(上越妙高以西)に対しての加算料金が加わるためである。
便宜上、東北新幹線の東京~大宮間と上越新幹線の大宮~高崎間も含めている。
運営は高崎駅から上越妙高駅までがJR東日本、上越妙高駅以西はJR西日本が受け持つ形となるが、乗務員交代は長野駅で行われる予定。
駅名の背景が白背景区間は1997年10月1日開通区間(長野新幹線)、黄色背景区間は2015年3月14日開通区間である。
乗り換え路線のうち、太字は北陸新幹線開通時に転換された後の第3セクター路線である(並行在来線)。
以下の駅一覧は、乗り換え路線を2015年3月14日時点のものとしている。従来の乗り換え路線は「長野新幹線」を参照のこと。
運行事業者 | 正式路線名 | 駅名 | 停車駅 | 乗り換え路線 | 所在地 | |||
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つ る ぎ |
は く た か |
か が や き |
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西日本旅客鉄道 | 北陸新幹線 | 金沢駅 かなざわ |
● | ● | ● | 西日本旅客鉄道(JR西日本) | 北陸本線(転換予定) | 石川県 金沢市 |
IRいしかわ鉄道 | IRいしかわ鉄道線 (JR七尾線直通) |
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北陸鉄道 | 浅野川線(北鉄金沢駅) | |||||||
小松駅 こまつ |
▲ | ● | ▲ | 西日本旅客鉄道(JR西日本) | 北陸本線(転換予定) | 石川県 小松市 |
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加賀温泉駅 かがおんせん |
▲ | ● | ▲ | 西日本旅客鉄道(JR西日本) | 北陸本線(転換予定) | 石川県 加賀市 |
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芦原温泉駅 あわらおんせん |
▲ | ● | ▲ | 西日本旅客鉄道(JR西日本) | 北陸本線(転換予定) | 福井県 あわら市 |
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福井駅 ふくい |
● | ● | ● | 西日本旅客鉄道(JR西日本) | 北陸本線(転換予定) (越美北線直通) |
福井県 福井市 |
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えちぜん鉄道 | 勝山永平寺線 | |||||||
福井鉄道 | 福武線(福井駅前駅) | |||||||
越前たけふ駅 えちぜんたけふ |
▲ | ● | ▲ | 接続路線無し | 福井県 越前市 |
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敦賀駅 つるが |
● | ● | ● | 西日本旅客鉄道(JR西日本) | 北陸本線 (敦賀以東転換予定) |
福井県 敦賀市 |
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北陸本線(湖西線直通) | ||||||||
小浜線 |
※仮称は公式発表されたものではないため、便宜上の名称を使用。
運行事業者 | 正式路線名 | 駅名 | 乗り換え路線 | 所在地 | |
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西日本旅客鉄道 | 北陸新幹線 | 敦賀駅 つるが |
西日本旅客鉄道(JR西日本) | 北陸本線 (敦賀以東転換予定) |
福井県 敦賀市 |
北陸本線(湖西線直通) | |||||
小浜線 | |||||
東小浜駅(仮称) ひがしおばま |
西日本旅客鉄道(JR西日本) | 小浜線 | 福井県 小浜市 |
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京都駅 きょうと |
西日本旅客鉄道(JR西日本) | 東海道本線(琵琶湖線) (湖西線直通) |
京都府 京都市 下京区 |
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東海道本線(JR京都線) | |||||
山陰本線(嵯峨野線) | |||||
奈良線 | |||||
東海旅客鉄道(JR東海) | 東海道新幹線 | ||||
近畿日本鉄道 | 京都線 | ||||
京都市交通局 (京都市営地下鉄) |
烏丸線 | ||||
松井山手駅(仮称) まついやまて |
西日本旅客鉄道(JR西日本) | 片町線(学研都市線) | 京都府 京田辺市 |
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新大阪駅 しんおおさか |
西日本旅客鉄道(JR西日本) | 山陽新幹線 | 大阪府 大阪市 淀川区 |
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東海道本線(JR京都線) (JR神戸線・JR宝塚線直通) (関西空港・和歌山方面直通) |
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おおさか東線 | |||||
東海旅客鉄道(JR東海) | 東海道新幹線 | ||||
西日本旅客鉄道(JR西日本) 南海電気鉄道 |
なにわ筋線 (2031年度末開業予定) |
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大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) |
御堂筋線 |
駅名 | 発車メロディ | 作曲者 | 備考 |
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東北新幹線・上越新幹線(東京駅~高崎駅間)は、発車ベル使用 | |||
安中榛名駅 | 近郊地域17番 | - | |
軽井沢駅 | JR-SH1-1 | 塩塚博 | 接近メロディは「海の駅(作曲者:福嶋尚哉)」 |
佐久平駅 | |||
上田駅 | |||
長野駅 | 信濃の国 | 北村季晴(原曲) | 長野県の県歌 |
飯山駅 | ふるさと | 岡野貞一(原曲) | 作詞者の高野辰之が長野県出身 |
上越妙高駅 | 夏は来ぬ | 小山作之助(原曲) | 作曲者が上越市出身 |
糸魚川駅 | 春よ来い | 弘田龍太郎(原曲) | 作詞者の相馬御風が糸魚川市出身 在来線メロディとして使用中 |
黒部宇奈月温泉駅 | 煌~水の都から~ | 高原兄(原曲) | 作曲者が富山県出身 |
富山駅 | オリジナル曲 | 須藤晃 | 作曲者が富山県出身 |
新高岡駅 | オリジナル曲 | 太田豊 | 作曲者が富山県出身 |
金沢駅 | オリジナル曲 | 中田ヤスタカ | 作曲者が金沢市出身 |
小松駅 | オリジナル曲 | 松任谷由実 松任谷正隆 |
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加賀温泉駅 | オリジナル曲 | ||
芦原温泉駅 | オリジナル曲 | 堀田庸元 | 作曲者があわら市出身 |
福井駅 | Symphonic 「悠久の一乗谷」 |
葉加瀬太郎 | 一乗谷のテーマ曲 |
越前たけふ駅 | オリジナル曲 | 細川俊夫 | |
敦賀駅 | 来い来い敦賀 (オリジナル曲) |
佐淡豊 |
1972年6月に基本計画が決定。
しかしオイルショックの煽りを受けて整備はめっきり遅延し、本格的に計画が固まったのは80年代も末のことであった。
またこの間に、運行費削減などを理由に、一部区間のスーパー特急方式での整備が決められた。
なお、当初ルート案は軽井沢は通過し、小諸を通るルートであったが、小諸市の反対で、小諸から佐久を通ることになった後に、国鉄側から「観光地である軽井沢を通過するのはおかしい」との意見で軽井沢を経由する現在のルートに変更されている(北陸新幹線に最急勾配30‰と言う急勾配が生まれたのはこのため)。
また、基本計画では経由先は高崎・長野・富山・金沢とだけ書かれていたため、経由地が明記されていない長野~富山間は北アルプスの直下をトンネルで貫通し、最短経路を経由する案も浮上した。しかし、最急勾配を12‰とした時、トンネルの長さが約70km(青函トンネルが約53kmであることを考えればどれだけ長いかがおかわりだろう)となってしまうことや火山地域を通過することによる高い地熱、土被り(最大2,000m)で発生する湧水や強い地圧、土はね(岩盤崩壊)などと言った問題点が浮上し、難工事になることが予想されたため、こちらも上越・糸魚川を経由する現在のルートに決定した。
1988年、運輸省から建設費の削減を理由に高崎駅~軽井沢駅間をフル規格、軽井沢駅~長野駅間をミニ新幹線に計画変更が発表され、1989年にとりあえず高崎駅~軽井沢駅間だけが着工された。しかし、1991年に長野オリンピックの開催が決定すると結局軽井沢駅~長野駅間もフル規格で整備されることになった。このフル規格への計画変更で、新幹線が通るはずだった小諸市が怒ることになるのだが、そのあたりは「佐久平駅」を参照。
1997年10月、先行する形で、高崎駅~長野駅間が部分開通。
しかし北陸まで開通していないのに「北陸新幹線」と名乗るわけにもいかず、当初は便宜上長野方面行き列車を「長野行新幹線」と名付けたが(反対に東京方面行き列車は単に「新幹線」としていた)、これも定着しなかった。結果的に「行」が取れて、現在の長野新幹線になった(なお、東京駅のJR東海・東海道新幹線ホームでは最初から長野新幹線と表記していた。マスメディアも当初よりこの名称を用いていた)。
このときには、同年3月より東北新幹線に導入されていたE2系新幹線車両が導入された。オリンピック開催時には、200系が臨時導入されていたこともあった。
その後も、主に金沢駅~富山県石動駅間などを中心に徐々に整備は進められた。
2000年頃には、富山までの区間の着工が決定。
2004年には、結局、石川県白山市の白山総合車両所に至るまでの区間全てをフル規格で着工することになり、鉄道・運輸機構による本格的な工事がスタートした(この裏では政府・与党内部でいろいろと揉め事があり、その末の出来事であった)。金沢駅や富山駅など、通過する駅の大規模な改装や、新駅の建設なども進められはじめた。
2009年頃に、他県の知事達の説得にもかかわらず新潟県知事が建設費用の負担増に難色を示し、予定通りの開業が可能かどうかがかなり微妙になって、JRと他県が困惑するという事態が発生した。このため、開業時期の前倒しが不可能となった。
2014年8月、長野駅~金沢駅間の開業日が2015年3月14日に正式に決定した。
試運転を経て、2015年3月14日長野駅~金沢駅間が開業した。
2012年には、上述の通り、金沢駅~敦賀駅も着工しており、2024年春開業予定。金沢開業から10年足らずで開業することになる。
当初は2023年春に開業する予定であったが、トンネル工事の遅れにより延期され2024年3月16日に開業する。
上述の通り、長野県としては、思わぬ形で県名を冠した新幹線が誕生することになったが、金沢開業後の名称に関してはJR東日本及びJR西日本ともに「北陸新幹線」となっている。
もちろん長野県としては、この変更は痛手である。そのため、経済団体や自治体を中心に、「北陸長野新幹線」などといった形での「長野」の名称維持を求める声が上がった。これにより、日本海側の県と長野県との喧々諤々の議論がしばらく続くことになった。
結局、2013年、JR東日本が長野県側の声にこたえて、「北陸新幹線(長野経由)」という形での表記を首都圏などの一部区間で採用することを発表。これに長野県側も納得し、名称に関する議論は終結することになった。
北陸新幹線は最終的に大阪まで開通する予定だが、敦賀駅までは順調に整備が進んでいるにも関わらず、それより先の区間に至っては、繰り返すが、ルートすら決まっていない状態である。
現在、この3ルート4パターンが想定されており、自治体間での協議も行われている。
どのルートにも長所・短所があるものの、現在のところ、京都駅や(スイッチバックで)名古屋駅に直接向かう事が出来る米原ルートが有力視されている模様(但し、米原で接続するとJR東海の収益となり、運営主体のJR西日本にとっては不都合が生じる可能性がある)。
しかし、2014年現在も議論は固まっておらず、むしろ工費の面で実現可能性すら怪しくなってきたことから、国土交通省が、サンダーバード区間である大阪~富山間及びしらさぎ区間の名古屋~富山間へのフリーゲージトレイン導入による、在来路線活用を提案する事態にまで至っている。JR西日本などはフリーゲージトレインの導入には消極的とされるが、サンダーバード区間に関してはJR西日本及び関係6府県が「暫定措置」として導入を容認している。なお、敦賀開業時はフリーゲージトレインの開発が間に合わない事から敦賀駅での乗り換えとなる。但し、JR西日本は九州での開発が遅延する場合はフリーゲージトレインの導入費用と大阪延伸までの期間との兼ね合いから導入を見送り大阪延伸まで敦賀乗り換えを継続する。
ちなみに、京都府などは3ルートの比較検討の際は湖西ルートもミニ新幹線やフリーゲージではなくフル規格として計算している(湖西ルートをフル規格とした場合は京都駅付近で東海道新幹線に合流する)。
米原ルートが支持されているのは、主に、東京~北陸の運輸ではなく、「しらさぎ」が開拓した名古屋~北陸の運輸という視点からである。米原駅を経由すれば、現行の「しらさぎ」同様、乗り換えなしで名古屋と北陸を結べるわけである。
大阪府の橋下徹前知事が米原ルートを推進していたのもこれが理由であり、仮に米原ルートに決定した場合は受益者負担の観点から北陸新幹線の終着となる大阪府も建設費の一部負担を行う模様である(※なお、米原ルートになると東海道新幹線への乗り入れが必要となるが、JR東海は「リニアが開業すれば乗り入れは可能」としている)。
関西広域連合も米原ルートを推進しており、乗り入れ先となる東海道新幹線が、リニアの新大阪駅到達までは過密ダイヤである事もあり米原駅乗り換え案を公表している。2013年には政府に対して米原ルートでの着工認可を正式に提案した。ちなみに、広域連合案での米原ルートの建設費は最も安い場合で約3,600億円(若狭ルートが約9,500億円、湖西ルートが約7,700億円)(下記表も参照)。
石川県の首長らも米原ルートを要望する決議を2015年7月21日に採択している。
なお、このルートは東海道新幹線(や山陽新幹線)に乗り入れることは可能ではあるが、東海道新幹線の1号車は新大阪駅・博多駅寄りであるのに対し、北陸新幹線の1号車は東京駅寄りであるため、そのまま乗り入れすると東海道新幹線内で1号車の位置が逆になった車両が走行することになる(両数は違うのでこれは問題では無いとも言えるが)。また、この米原ルートは基本計画にある北陸・中京新幹線(敦賀駅~愛知県名古屋市)とも一部が重複しており、米原ルートで決定した場合は実質的に北陸・中京新幹線の一部区間が建設される事となる。
当初の整備計画案で想定されていたのは若狭ルートであった。
これに伴い、敦賀~名古屋間に現行の特急「しらさぎ」とほぼ同じルートを走る「北陸・中京新幹線」が計画されたのだが、米原ルートとなった場合は大半の区間(敦賀~米原間)で重複する為「北陸・中京新幹線」が別途建設される事は無くなると考えられる。
このルートは、「田中角栄が鉛筆を引いて決めただけ」とさえ呼ばれている通り、旅客流動に配慮していないと言われる。
しかし実は、大阪側終着駅として基本的に設定されている新大阪駅には、若狭ルートが採用された場合の北陸新幹線専用ホームのスペースが、東海道本線(JR京都線)と地下鉄御堂筋線の間に既に確保されている。米原ルート・湖西ルートの場合はこの限りではなく、米原ルートの場合は現行の東海道・山陽新幹線ホームが、湖西ルートの場合は東海道本線(JR京都線)ホームが共用されるものと思われている(湖西ルートをフル規格とした場合は米原ルートと同じく東海道・山陽新幹線ホームを共用する予定)。
湖西ルートの場合は、現在も湖西線を苦しめる冬季の比良おろし(比良山系から吹き降ろす強風)や、フリーゲージトレインの乗り入れ問題などもあって、若狭ルート程ではないにしても実現の可能性が低いと言われている(冷蔵庫さんは地下に断層があり不可とも言っている)。
湖西ルートの場合もフル規格となった場合は、前述の通り京都で東海道新幹線に合流する。
但し、JR西日本の真鍋精志社長は2015年7月10日に都内で行った会見で湖西フル規格を有力候補の1つと位置づけている。
※余談だが、若狭ルートが外れ米原ルートもしくは湖西ルートが採用された場合には湖西線近江今津駅~小浜線上中駅間を結ぶ若江線が代替路線として湖西線並みの高規格で建設されるとも言われている。同線(若江線)は鉄道省時代より地元が建設を要望している路線でもある。
ルート | 距離 | 建設費 | 所要時間 (敦賀~新大阪) |
若狭 | 123km | 9,500億円 | 33分 |
米原 |
44km |
3,600億円 ~ 5,100億円 |
45分 |
湖西 | 81km | 7,700億円 | 35分 |
2015年8月29日、JR西日本は北陸新幹線の第4の案となる「小浜・京都ルート」を検討していることを発表した。
福井県小浜市を通ることは従来の小浜ルートと同様だが、新たに京都駅を経由して新大阪駅に接続する案となっている(京都~新大阪間は大深度地下を想定)。
同年12月18日、自民党の西田昌司参議院議員が突如として第5の案となる「小浜市-舞鶴市-京都市-大阪・天王寺-関西空港」ルートをぶち上げた。
2016年1月26日、JR西日本の真鍋精志社長は北陸新幹線の未着工区間に関する与党検討委員会で、同社が検討する福井県小浜市と京都駅を経由する新案が望ましいとの考えを示し、「米原ルート」について「(乗り入れる東海道新幹線の)ダイヤの問題やシステム統合など技術的課題がある」として否定的な見解を述べた。
真鍋社長と同席したJR東海幹部も「乗り入れは困難」との見解を示し、JR東海が公式に北陸新幹線の東海道新幹線への乗り入れを否定する機会となった。
2016年3月10日、自民党と公明党の検討委員会は「米原」「小浜」「小浜と舞鶴」を通る3案の検討を進めることを確認した。京都駅を通らない「小浜ルート」と、京都駅を通るが支持が広がっていない「湖西ルート」は検討をやめる。さらに終点とする駅などを決めた上で来年度、国土交通省に建設費や採算性などの調査を求める方針。「小浜と舞鶴」案については、関西空港までの延伸は検討しないことにした。
2016年11月17日、自民党と公明党の検討委員会は「小浜・京都ルート」とする方針を固め、12月14日に敦賀駅~京都駅間は小浜(東小浜駅)経由とすることで決定した。残る京都駅~新大阪駅間は北回り案と南回り案(南回り案はさらに3ルート)が存在していたが、2017年3月7日に松井山手駅を経由する方針となり、3月15日に正式決定した。国土交通省の想定では2031年に着工し、2046年に開通予定としている。
今後は並行在来線の経営分離が行われるか、地元の着工の同意が得られるかどうかが争点となる。前者については湖西線が主な並行在来線になるが新幹線の恩恵を受けない滋賀県は経営分離を認めていない。後者については京都府北部の一部から反対の声が出ている状況であり、2022年時点では同意が得られていない状況である。
予定が順調ならば、2024年春に北陸新幹線は敦賀駅まで延伸される。そして、そうなった場合は石川県の全区間はIRいしかわ鉄道に、福井県の区間も新たな第三セクターによる鉄道会社に経営分離が予定されている。そうなった場合、問題となっているのは関西方面から北陸方面、または北陸方面から関西方面に向かう際、在来特急「サンダーバード」の路線をどう扱うのかという点である。
もともとサンダーバードの前身、特急「雷鳥」は大阪と新潟を結ぶ特急列車であり、大阪と北陸、または北陸の中心都市同士を結ぶ大切な交通網であった。しかし、首都圏と関西圏のバランスが崩れ、北陸新幹線延伸が実現化したことにより、特急という貴重な収入源を失う地方路線は第三セクターに切り離されてしまい、現在新潟県は「えちごトキめき鉄道」、富山県は「あいの風とやま鉄道」、石川県は「IRいしかわ鉄道」と分断されてしまっている。また、富山県まで延伸されていた特急「サンダーバード」が、前述の理由により金沢市以北への相互乗り入れを許可しなかったために、金沢止まりとなった。
しかし、言い方は悪いが、現在も関西と密接な関係を持っているのは金沢市までであり、富山県も現在もなお関西との関係は強いものの、逆に関西から富山に出向くという人はそこまで多くない(それが富山県経済界が関東へなびこうとしている遠因でもある)。だが、これが大阪や名古屋から金沢まで特急一本で行けないとなれば話は別である。それどころか、敦賀までしか「サンダーバード」が延伸されない場合、福井までも特急一本で行けなくなれば、大幅に「サンダーバード」利用者は減ることは必至で、関西経済界からの反発も予想され、JR西日本としてもドル箱路線をみすみす失うことになる。
そうなれば、現在特急乗り入れを頑なに拒否しているIRいしかわ鉄道も軟化の姿勢を示す可能性はあるが、同時に福井県に新たに誕生するであろう「福井県の三セク鉄道」(→「ハピラインふくい」)にも共同で働きかける必要がある。また、宙ぶらりんとなっている金沢以北への乗り入れが復活するかどうかも不透明のままであった。
尤も、北陸新幹線自体の乗車率も決して良くはなく、首都圏とを結ぶ「はくたか」より金沢と富山を結ぶ「つるぎ」の方が混雑していることが多く、長野以北は金沢~富山間以外閑散としている(首都圏財界も、信州以北はそこまで経済的関係は持っていないため)。もし、特急区間が重複した場合、速いが高い上に、停車駅が市街地へのアクセスが悪い北陸新幹線と比較的遅いが安い上、市街地へのアクセスに優れた在来特急とのパイの奪い合いになり、現状関西からの方が交流人口が多いため、北陸新幹線の経営状況を更に圧迫させる恐れもある。
最終的にハピラインふくいは収支悪化を理由に特急乗り入れを断念したこともあり、「サンダーバード」や米原駅・名古屋駅に乗り入れる「しらさぎ」については敦賀駅乗り換えとなることが確定している。
東北・北海道・上越・北陸新幹線及び山形・秋田新幹線の車両 |
200系 - 400系 - E1系 - E2系 - E3系 - E4系 - E5系/H5系 - E6系 - E7系/W7系 - E8系 |
東北・北海道・上越・北陸新幹線及び山形・秋田新幹線の列車 |
東北・北海道: はやぶさ - はやて - やまびこ - なすの - あおば 上越: とき - たにがわ - あさひ 北陸: かがやき - はくたか - つるぎ - あさま 山形・秋田: つばさ - こまち ※下線付きは現在不使用 |
掲示板
370 ななしのよっしん
2023/08/17(木) 02:39:08 ID: OGe8AGnUrd
ルートは決定済みなのは承知の上で
米原を経由しつつ米原新大阪間を別線で建設すれば、
・中京圏と北陸との行き来も比較的保たれる
・東海道新幹線のダイヤは現状維持できる
・大阪と北陸の行き来は従来と変わらず
となって収まりは比較的良さそうに思えるけど
371 ななしのよっしん
2023/08/24(木) 01:26:17 ID: QbziSfti1O
>>370
金沢駅からの目的地利用者数が東京:大阪+京都:名古屋で5:4:1
福井からだと東京:大阪+京都:名古屋で2:7:1になる
利用実態知ってれば北陸本線に沿って作るなんて思わないぞ
ソース:都道府県間旅客流動調査(国土交通省)
とっとと新大阪まで作りやがれ&直江津・上越妙高から新潟方面に
新幹線作る方がまだマシなんだわ
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最終更新:2023/11/29(水) 02:00
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