景浦将とは (カゲウラマサルとは) [単語記事]

景浦将(1915年 7月20日～1945年 5月20日)とは、戦前の日本プロ野球における伝説の選手である。

プロ野球では大阪タイガース（現・阪神タイガース）に所属し、投手としても野手としても活躍、また東京巨人軍の沢村栄治とはライバルされ、両名とも日本プロ野球黎明期の代表として名を挙げられる。

概要

OB
景浦将
基本情報
出身地	愛媛県
生年月日	1915年 7月20日
身長体重	173 cm 75 kg
選手情報
投球･打撃	右投右打
守備位置	三塁手、外野手、投手、一塁手
プロ入り	1936年
引退	1943年
経歴
選手歴旧制愛媛県立松山商業学校立教大学大阪タイガース(1936年-1940年,1943年)
プロ野球選手テンプレート

景浦は高校時代からその実力を存分に発揮し、1931年には春夏ともに甲子園に出場、32年には春の大会にて優勝、夏は延長11回にわたる激闘の末惜敗するが準優勝を決める。
その後一度は立教大学に進学し、1年生時からレギュラーとして活躍するが、1936年に大学を中退すると、この年発足したばかりの日本プロ野球の球団の一つである大阪タイガースに入団する。

タイガースでは三塁兼外野兼投手としてプレーし、投手としては1936年秋季（この頃は1年で春季・秋季に分かれており、1シーズン制は1939年から）に6勝0敗、防御率0.79、勝率1.000という成績を残している。
そしてこの年行われた巨人との優勝決定戦において巨人の大エースであった沢村栄治から東京湾に飛び込んだと言われたほどの特大ホームランを放ち、当時の人々を大いに驚かせる。
優勝決定戦自体はタイガースが1勝2敗で巨人に敗れたものの、以降景浦は沢村の永遠のライバルと認識される。

1937年は春に打者としては打点王、投手としては11勝、防御率0.93という成績を残すが、ライバルの沢村栄治が24勝、防御率0.81という景浦以上のとんでもない成績を残し、総合成績で巨人が41勝13敗2分け、タイガースは41勝14敗1分けと惜しくも優勝を逃す。
しかし秋には景浦の首位打者を獲得するほどの活躍の他、藤村富美男、松木謙治郎らの奮闘もありタイガースは初優勝を決め、優勝決定戦では4勝2敗で巨人を倒し初の日本一を決めた。

1938年も春に打点王を獲る活躍を見せ、タイガースは2年連続で優勝・日本一を決めている。

40年にはリーグ２位の記録となる9本塁打を放つが、この年戦争による応召を受ける。
43年に復帰するが、ライバルの沢村栄治同様に手榴弾の投げ過ぎによって肩を痛めてしまい一塁に転向、そしてこの年限りで現役を引退する。

その後44年に再び応召された景浦は、1945年 5月20日、フィリピンにおいて米軍の銃撃を受け壮絶な最後を遂げたと言われている。

沢村栄治と共に日本プロ野球黎明期の代表とされた景浦は、沢村と同様に戦争によってその命を奪われ、二度とプロ野球の舞台に戻る事は叶わず、多くの人たちにその死を惜しまれた。

1965年、野球殿堂入り。

人物・プレースタイル

元々景浦は大学時代からレギュラーとして活躍しており、そんな景浦がいきなり大学を中退することを言い始めたときは周囲は本気にしなかった。しかし景浦は実家の材木業の経営が思わしくないと知ると、契約金で家族を助けるために創設されたばかりのプロ野球に飛び込んだのである。
このため契約時には給料の一部を実家に自動的に送金されるようになっていたのだが、この仕組みを理解していなかったのか、景浦は「後輩の釣常雄や朴賢明の方が貰ってる」とむくれたことがあった。
またのちに広島の監督も務めることになる石本秀一とはそりが合わなかったようで、試合中に守備を放棄したり、明らかなボール球を空振りすることがあったため、後年野球殿堂入りの際に「真摯に野球に取り組んでいない」として反対意見が出たこともある。

投手としては戦争で肩を痛めるまでは重いストレートとシュートで、野手としては自慢の怪力で打点王の他2度本塁打数で2位を記録している。

ライバル・沢村栄治

「職業野球は沢村が投げ、景浦が打って始まった」と言われる程、景浦を語るうえで引き合いに出されるのが沢村栄治である。
二人がライバルと認識されるのは上述の通り1936年の優勝決定戦であるが、二人の初対決は1936年 9月25日、沢村は投手として、景浦は5番右翼として対決、試合はなんと沢村が日本プロ野球第一号となるノーヒットノーランを達成し、景浦は3打数無安打2三振と完敗している。
投手同士の対戦としては12月1日に両者が先発し、景浦自身が沢村から打点を挙げる活躍もあり、両者完投ながらスコアは2-1で景浦が勝利している試合がある。

両者は先発・リリーフなどの対戦を含めると21度対戦しており、チームとしてはタイガースが10勝、巨人が11勝、このうち沢村が勝利投手となったのが10回、敗戦投手となったのが9回であり、景浦は基本的に打者としての出場が多いが、勝利投手が3回、敗戦投手が4回ある。