未知への飛行/フェイル・セイフ(原題:fail Safe)とは、米合衆国の映画である。
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』と同様に米ソ冷戦を題材にとっており、同作とおなじく1964年に公開されている。日本での公開は1982年。モノクロ112分。
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』からコメディ成分を完全排除したような作品といえばわかりやすいだろうか。
米ソの緊張、手違いと事故から一気に現実化する最悪の事態。全面核戦争を回避するべく奔走する政府首脳と軍関係者の奮闘と苦悩を描く。主人公ともいえる米大統領をヘンリー・フォンダが熱演している。
ときは米ソ冷戦時代。米空軍はいつソ連から攻撃を受けても即座に報復措置をとれるよう、水爆を搭載した爆撃機部隊を帰還可能ライン(フェイル・セイフ)内で巡回させていた。
しかし、コンピュータの誤作動と、本来なら自己診断を行うはずの故障探知機ユニットの故障、さらには通信妨害が重なったことにより、この爆撃機部隊にモスクワへの核攻撃命令(と受け取れる電文)が下されてしまう。ソ連へ急行する4機のB-58爆撃機。当該編隊が帰還可能ラインを越えていることが空軍司令部のレーダーで捉えられ、ここでようやく彼らに誤った指令が出されていることに軍が気づく。
電子妨害で爆撃機編隊のパイロットと交信ができない以上、ソ連にたどり着くまえに撃墜するほかない。戦闘機部隊に追跡させるが、爆撃機の航続力には勝てず、燃料切れで次々と墜落していく。
米大統領がモスクワにホットラインを入れ、わが国の爆撃機が核攻撃せんと貴国に向かっているがそれは手違いであり、わが国に攻撃の意思はないこと、報復攻撃をしないでほしいこと、ついてはそちらで撃墜してほしいことを伝える。
しかしソ連の撃墜作戦も失敗。とうとう編隊がソ連の国境線を越える。
ことここにいたってソ連が通信妨害の事実を認め、米大統領の働きかけもあって妨害電波の発信を停止させる。やっと回復するパイロットたちとの通信。
だが、あらかじめ決められていた規則により、核攻撃命令を令達された爆撃機部隊は、敵の偽装工作を考慮し、米大統領を名乗る者から攻撃中止の連絡が入っても無視することとなっている。規定に忠実な機長はこれにしたがい、本物の大統領の帰還命令であるにもかかわらず聞く耳を貸さない。
もはや何者もモスクワへの核攻撃を止められない。
“わが国の首都に水爆が落とされたとして、それは事故だと? そんな主張を認めろと?”
ソ連側の当然の言い分に、米大統領は懊悩する。むざむざ首都を焼爆されてなにもしないというのでは、ソ連の政権は国内、とくに軍部からの求心力を失う。ソ連は核をもって報復せざるをえなくなる。そうなれば全面核戦争の幕開けとなってしまうだろう。
ソ連の手により核での報復がなされれば、双方とも引くに引けなくなり、だれも望まぬ核戦争となる。
これを避けるためには、なんとしてもモスクワへの核攻撃が事故であることを証明しなくてはならない。その事故に対して誠意を見せなくてはならない。大統領はホットラインで伝える。
“40メガトンの水爆がモスクワへ落とされるとき、その高温で電話機からは高周波が響くだろう。それと同時に、わが国はわが国の手でニューヨークに同規模の水爆を落とす”
やがて投下される水爆。モスクワに駐在している米大使が電話の向こうで叫ぶ。
直後、轟音。そして悲鳴のように響く高周波。米大統領はニューヨークへの核攻撃を命じるのだった。
| 監督 | シドニー・ルメット |
| 脚本 | ウォルター・バーンスタイン ピーター・ジョージ |
| 原作 | ユージン・バーディック ハーヴェイ・ホイラー |
| 製作 | マックス・ヤングスタイン |
| 撮影 | ジェラルド・ハーシュフェルド |
| 編集 | ラルフ・ローゼンブラム |
| 制作会社 | コロンビア映画 |
| 配給 | 同上 |
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↓2000年にテレビ映画としてジョージ・クルーニーが製作・出演を務めたリメイク。
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最終更新:2025/12/14(日) 18:00
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