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風疹(Rubella)とは、風疹ウイルスによる感染症である。三日はしか(三日ばしか)とも。ドイツの医師が初めて麻疹と区別したため、欧米ではGerman measles(ドイツはしか)とも呼ばれる。
風疹は、風疹ウイルスに感染して起こる感染症。感染症法における五類感染症。学校保健安全法における第二種学校感染症で、発疹消失まで出席停止措置。
2~3週ほどの潜伏期間を経て、発熱、発疹、リンパ節腫脹、関節炎などを呈する。予後は良好だが、まれに血小板減少性紫斑病や急性脳炎などを合併し、入院が必要になる場合がある。とくに、妊娠初期の女性が罹患すると、出生児に重大な障害を与えうる(先天性風疹症候群)。
先天性風疹症候群(CRS:Congenital rubella syndrome)は、胎児が風疹ウイルスに暴露することで引き起こされる症候群。感染症法における五類感染症。風疹ウイルスに免疫のない母親が、妊娠初期に風疹に罹ることに起因する。出生児の三大症候は以下の通り。
ほかに緑内障、網膜症、小眼球症、糖尿病、肝脾腫、精神発達遅滞、血小板減少などをきたすことがある。
風疹ワクチンの接種を受けていない人、あるいは経年によって抗体価が低下した人を中心として、数年おきに大規模流行している。近年では2012年ごろ、2018年ごろに全国的な流行がみられた。また、風疹の流行と先天性風疹症候群の発生は相関するため、流行期はとくに注意を要する。
風疹ウイルスに感染することによる。風疹ウイルス(RuV:Rubella virus)は、トガウイルス科(Family Togaviridae)ルビウイルス属(Genus Rubivirus)に属する唯一のウイルスで、プラス鎖の1本鎖RNAウイルスである。ヒト以外に自然宿主をもたない。主に飛沫感染によって伝播する。感染後、細胞質内でそのままmRNAとして機能し、タンパク質への翻訳やマイナス鎖RNAの合成、そしてプラス鎖RNAの合成が行われ増殖する。
集団内における流行に鑑み、臨床症状、検査結果をもとに診断する。三大症候は発熱、発疹、リンパ節腫脹だが、これらの症状は必ず表れるものではなく、臨床症状のみで診断することは困難。風疹IgM抗体の検出、ウイルスの同定、ウイルス遺伝子の検出、抗体陽転、抗体価上昇などが診断に有用。ウイルス遺伝子の検出は早期診断に有用だが、実施できる医療機関が限られており、一般的ではない。
対症療法のみ。発熱や関節炎に対し、解熱鎮痛薬を投与する。重症の血小板減少性紫斑病を合併した患者には、副腎皮質ステロイドやγ-グロブリンの投与を行う。風疹ウイルス感染そのものに対する特異的な治療法は確立されていないため、ワクチン接種による予防が肝要となる。
風疹ワクチンの接種が有効。麻疹ワクチンを混合したMRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)も承認されている。海外では、さらに流行性耳下腺炎(おたふく風邪)ワクチンを混合したMMRワクチン(新三種混合ワクチン)の接種も実施されている。ただし、生ワクチンなので、免疫機能が著しく低下している場合、接種は避ける。先天性風疹症候群の防止のため、妊娠中の女性への接種は禁忌。また、接種後2か月は避妊する必要がある。風疹が流行すると、ワクチンの供給が追い付かなくなることがあるため、早めに接種すること。
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最終更新:2024/12/26(木) 03:00
最終更新:2024/12/26(木) 02:00
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