アップルトン(銀河英雄伝説) 単語

アップルトン

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私はいい……

アップルトンAppleton)とは、『銀河英雄伝説』の登場人物である。

CV.石森達幸石黒監督OVA)、宝亀克寿Die Neue These

概要

自由惑星同盟軍第8艦隊官。階級は中将
石黒監督OVAでは朱色がかった赤毛に同色のを蓄えた壮年の姿で、旗艦は<クリシュナ>。
Die Neue These』においてはひげがより印的だが、白色が少なからず混じっており年齢を感じさせる貌。旗艦は<ジャガンナータ>。

帝国領侵攻作戦に従軍し、帝国軍の攻勢(アムリッツァ前戦)に際してメックリンガー艦隊と交戦、艦隊の三割を失いつつも追撃を振り切ることに成功する。しかし直後のアムリッツァ会戦においてビッテンフェルト率いる黒色騎兵艦隊の攻撃を受け、艦隊は壊滅。以後登場せず、このとき戦死したものと思われる。

石黒監督OVAにおいては、アムリッツァ会戦での黒色騎兵艦隊の猛攻に旗艦<クリシュナ>が被弾。総員退艦をするも自身は退艦を拒否し、記事冒頭の言葉を残して恒星アムリッツァに沈んだ。『Die Neue These』ではアムリッツァ会戦での登場はなかったが、旗艦<ジャガンナータ>は黒色騎兵艦隊の攻撃を受けた際に艦首に直撃を浴びて爆発を起こしている。

また、石黒監督OVA外伝『千億の、千億の』中、第六次イゼルローン要塞攻防戦直前の総旗艦アイアース」内での作戦会議において、アル・サレム中将およびホーウッド中将と思われる提督と並んで出席している姿が確認できる(実際の戦闘中の登場シーンはなし)ほか、同「第三次ティアマト会戦」でも作戦会議に出席している。

アップルトン提督の能力考察

原作では第一巻明篇、石黒監督OVAでは実質15話のみの登場(一応12話の作戦会議にも列席)かつ戦死と、登場シーンがごく少ないうえ、同じ話で戦死したウランフボロディンのように後々登場人物からのフォローいため、彼のは正当に評価されているとは言いがたい。

ゆえに、この場を借りて彼のについて考察してみたい。

艦隊司令官としての能力

第一に、彼は同盟軍全体で最大12個しかない正規艦隊の官であり、(年以上も前ではあるが)ダゴン域会戦時の最高評議会議長マヌエル・ジョアン・パトリシオの言を借りると

同盟軍は、とりえのない人物を三〇代で提督の地位につけるほど、いいかげんな組織ではない

のである以上、彼は無能とは言いがたい。パストーレやホーランドの例を挙げて反論する諸卿もいるであろうが、前者はパエッタ中将をして「歴戦の勇士」と言わしめる程度には戦歴を重ね、後者少将時代の第六次イゼルローン攻防戦において確かに相当の戦果を上げている。政治やコネによる贔屓はあるにしろ、少なくとも無能では艦隊官にはなれないし、アップルトンも一個艦隊の官として相応なを有していると考えてよいだろう。

アップルトン提督の戦歴

次に、彼の参加が確認できる数少ない戦いである帝国領侵攻作戦での活躍について検証する。
帝国軍の逆襲においては、メックリンガー艦隊の強襲に対し、補給不足で士気も低いと散々な状況下で応戦、敗走での損を三割に抑えてアムリッツ域まで撤退することに成功する。三割という犠牲は決して少なくはないが、オスカー・フォン・ロイエンタールの追撃を受けたビュコック中将揮下の第5艦隊と同程度の損であり、圧倒的に不利な当時の状況下では間違いなく優秀といってよい。なぜならば、帝国領侵攻作戦に従軍した八名の艦隊官の内、事アムリッツァまで撤退できたのは前述の宿将アレクサンドル・ビュコック魔術師ヤン・ウェンリー、そしてアップルトンのわずか三名だけであったのだから。

最後に、彼の最後の戦いとなったアムリッツァ会戦を見てみよう。
会戦中盤、第13艦隊からみて二時方向、帝国軍の艦列から突出したある艦隊が、第13艦隊と第8艦隊のあいだ、D4宙域に割り込んだ。後に帝国最強の勇名を馳せる事になる、黒色騎兵艦隊である。第13艦隊はヤンの防御揮によりかろうじて危地を脱したが、進撃速度に対応しきれなかった第八艦隊は側面から攻撃を受ける形となり、そのまま壊滅。第13艦隊も乱戦に陥ってもろともに壊滅する危険から介入できず、第8艦隊は瓦解した。

アムリッツァ会戦において同盟軍各艦隊がどのように並んでいたかの記述はないが、この時、第13艦隊の二時方向から突進して第8艦隊とのあいだに割り込んだ黒色騎兵艦隊が第8艦隊の側面を直撃していることからしても、もともと第8艦隊は第13艦隊の左舷側にあり、それゆえに同盟軍右舷側前方から突進した黒色騎兵艦隊に側面をさらす形になってしまったのではないかと思われる。おそらくは、第13艦隊が受けたよりも強大な圧を、それも側面に受けることになったであろう。対応の遅れはあったにせよ、そのことが第8艦隊の崩壊に直結したのではないだろうか。

石黒監督版OVAの描写からの考察

石黒監督OVAアムリッツァ会戦においては、彼の率いる第8艦隊は艦隊の中央部を担った。通常の艦隊戦では最も重要な部分であるが、アムリッツァ会戦は敗走後に急遽再編成した故に実戦の総司令官を決める暇もなく、3つの艦隊が個々に判断して動くことを余儀なくされた戦いであるから、彼の艦隊が中央に配置された事自体への論評は差し控える。

会戦の序盤において、帝国軍の容は、ローエンラム元帥の直卒艦隊を除くとミッターマイヤーロイエンタールケンプ、メックリンガーの四個艦隊であった。そのうちメックリンガーミッターマイヤーの二個艦隊はヤン・ウェンリー率いる第13艦隊と交戦していたことを考えると、第8艦隊と交戦したのは残るケンプあるいはロイエンタールであろう。この時、ヒューベリオン艦の戦況図では第8艦隊が交戦していた(と思われる)艦隊はV字形に展開した帝国艦隊の中央、同盟軍から見て若干左舷方向にいるように見えるが、このことが第8艦隊の運命を決することとなる。

戦のさなか、同盟軍から見て2時方向に突如として黒色騎兵艦隊が現れた。前述のごとく遠距離に位置する敵と交戦すべく前進した第8艦隊と、二個艦隊の攻撃を受けているところに黒色騎兵艦隊の突撃を受け後方に押し込まれた第13艦隊の動きが最悪のタイミングで合致し、第8艦隊は防備な側面に圧倒的破壊による突撃を受けることとなった。第13艦隊の阻止攻撃も虚しく第8艦隊中央部を文字通り粉砕した黒色騎兵の攻撃により、アップルトン中将は旗艦と共に戦死した。

結論

アムリッツァ星域会戦においては最終的に黒色騎兵の横撃には対処し得なかったものの、アップルトンがそれまでラインハルト麾下の名だたる将帥を相手に一歩も引かず戦いを繰り広げていたことはたしかであろう。前戦においてメックリンガー艦隊から逃げきる事に成功したことも考えると、彼のは相当なものといっていいのではないだろうか。

以上のことから、
アップルトンは後の獅子のの七元帥しうる戦術を持つ有能な将官だった
という結論を導き出したい。

とてつもなく地味で、のちのち思い返されることすらい第8艦隊アップルトン中将は、同盟の名将と名高いウランフボロディンに勝るとも劣らないの持ちであったのだ。実際問題、戦闘ではボロディンよりは立ってるし。
しかし、彼があの戦いを生き延びていたら、銀河の趨勢はどうなっていたのか。ヤンはもう少し怠けていられたか。
アップルトンが生きていたら」、そう人々に言われるような日が来ることを願って、ここに筆を置く。

悲運の名将、アップルトン
彼が艦隊の壊滅を生き延びたのか、それともアムリッツァに沈んだのか、それすらも定かではない……。

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    最終更新:2024/04/24(水) 20:00

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