ドーソンとは、
この記事では1.の人物について記述する。
CV.島田彰(石黒監督版OVA)、黒田崇矢(Die Neue These)。
自由惑星同盟軍人。宇宙暦797年の原作初出時に大将で、当時50代後半。石黒監督版OVAでは口ひげを蓄えた茶髪の中年軍人として、Die Neue Theseでは角張った頬と割れた顎を持つ黒髪の軍人として描写されている。
軍内ではヨブ・トリューニヒトの派閥に属し、同盟末期に統合作戦本部長を務めた。事務処理に関しては一定の能力を示したものの、神経質で粘着的な性格のため人望がなく、軍部トップとしての戦略指導能力にも欠けていた。のちに元帥。
時系列順では、宇宙暦785年の時点で同盟軍士官学校教官の任についていたことが『ユリアンのイゼルローン日記』と『螺旋迷宮』に記述されており、同年の新入生担当生活指導主任を務めていた。この年の新入生にはダスティ・アッテンボローがおり、10月に彼が門限を破って塀を乗り越え寮に戻ろうとした時、偶然当番兵を務めていた三年生ヤン・ウェンリーがこれを見逃したのが両者の交友関係の始まりである。
当時の担当は軍隊組織論。教官時代から生徒をいびっていたようで、試験で悪い点を取った生徒には「きみは勉強したのかね」と厭味ったらしく問いかけ、した、と答えれば「勉強してこの程度」、していない、と答えれば「なぜしなかった」、とねちねちいじめる、というアッテンボローの証言がある。ちなみに彼は「勉強したが不足だったらしい」と答えてドーソンを黙らせることに成功した。
他に時系列不明(おそらく教官職より後)だが第1艦隊後方主任参謀、憲兵隊司令官、国防委員会情報部長などを歴任。第1艦隊後方主任参謀の地位にあった時には各艦の調理室のダストシュートを調べ、無駄に捨てられていたじゃがいもの分量を発表して兵士を辟易させ「じゃがいも士官」の渾名を付けられている。また国防委員会部長級は中将以上の相当職であり、情報部長在任時のドーソンは当然中将以上の階級にあったと考えられる。その後、三人いる統合作戦本部次長の一人となる。
宇宙暦797年3月末、統合作戦本部長クブルスリー大将の暗殺未遂に伴い、次長中の最年長だった故に統合作戦本部長代行となる。この時あいさつに訪れた宇宙艦隊司令長官アレクサンドル・ビュコック大将を「こっけいなほど肩肘を張って」相手し不必要に組織内の上下関係を言い立てて辟易させている。
就任直後に発生した連続辺境叛乱に際しては「帝国が内戦状態にあり侵攻の恐れがない」ことを理由としてイゼルローン要塞駐留艦隊に対し4つの叛乱全てを鎮圧させる旨の命令を発した。この時、同盟のクーデターそのものが「帝国内戦中の同盟の侵攻を予防する」意図で仕組まれたものだったにもかかわらず、結果的にその内戦を理由として首都の部隊を温存する形になった。それにより予想されていたクーデターが未発に終わってしまう可能性が考えられたため、予想した当人であるヤン・ウェンリーからは「原因と結果、アクションとリアクションがみごとに逆転している」とある意味での感歎を受けている。
しかし結局のところクーデターは発生してしまい、彼もなすすべなく銃を突きつけられることとなる。叛乱中は軟禁状態にあったが、ヤンがハイネセンを奪回した直後に、ビュコックなどとともに彼も助けだされた。その後はクブルスリー大将が本部長に復帰したため、役職は次長に戻る。
銀河帝国皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世の亡命に際してはトリューニヒト議長の直接命令を受け、幼帝を首都防衛司令部に匿う。この幼帝擁立を受けて帝国ローエングラム体制側が同盟を明確に敵と名指ししたことで追い詰められた政権側、すなわちトリューニヒト派は急速かつ強引に軍部の掌握を進め、その圧力と軍部内での孤立に嫌気が差したクブルスリー本部長が病を理由に退任すると、代わってドーソンが正式に統合作戦本部長に任じられた。
宇宙暦798年、“神々の黄昏”作戦の発動によるフェザーン占領に際しては「顔色も食欲も失っ」て軍を指導する力を失い、ビュコック司令長官、ウォルター・アイランズ国防委員長の二頭が迎撃を主導し作戦を決定する形となった。ただし、ビュコックの督励もあり、統合作戦本部ビルにおいて帝国軍迎撃のための予算執行など統合作戦本部長として軍令に関する最低限の職務に関しては遂行し続けたため、統合作戦本部の秩序と機能自体はかろうじて維持された。
この時期、元帥に昇進。おそらく序列としては下位のビュコックが元帥を昇進させた余波を受けたものと思われる。なお、石黒監督版OVAにおいてはついでのような元帥昇進になにか思うところがあったのか、ビュコック同様に軍服の元帥飾緒を着用していない。
バーミリオン星域会戦直前、ハイネセンを出撃するヤン艦隊に本来ヤンの指揮下にないモートン、カールセンの両艦隊が追随したときは、申請は出ていたものの承認する前に出撃されてしまい、結局事後承諾する形になっている。その後ミッターマイヤー、ロイエンタール両艦隊のハイネセン侵攻を受けて開かれた国防調整会議ではビュコック、ロックウェルらとともに列席したが、軍部からはビュコックのみが発言し、おそらく直前までいたであろう本来の仕事場、統合作戦本部ビルを消滅させられて憔悴しきった彼は、結局なんの発言もないまま地球教徒による拘束を受けたのだった。
その後登場はなく、バーミリオン会戦の後、ヤンとラインハルトの会談において「軍事の最高責任者たる統合作戦本部長を収監することはやむをえないが……」とラインハルトに言われていることから戦争責任者として帝国軍に逮捕されたと考えられる。ちなみにこの発言、ヤンがビュコックのみに責任を負わせないようにと要請したのを受けたもので、ビュコックの責を問わないと約束した直後の言葉であることを考えるとなんとも微妙な気分になる。しかも話はそのままサラッと流されてしまい、彼の収監に関して誰も何もリアクションが無いままである。誰かちょっとは同情してやれよ。これを最後に消息不明。
戦術・戦略的指揮能力はきわめて凡庸だが、後方事務に関してはある程度の能力を持つ。しかし、2巻『野望篇』に「まじめというより小心で神経質」と記述があるように、職務には忠実だが上司としては極めて面倒な小役人。
ただし(あるいは、だからこそ)事務処理能力はそれなりのものを持っているようで、幼帝を匿った際にも「ドーソンは実戦家としての手腕はとかく疑問視されたが、秘密保持の必要なこの種の任務には無能ではなかった」とある。また、“神々の黄昏”作戦の時も、同盟軍全体が混乱状態にあり、宇宙艦隊総参謀長オスマン中将、司令長官附副官ファイフェル少佐と過労で倒れる人間が続出する中でも、小心者の彼が心労に耐え、職務を滞らせつつも本部長の地位を投げ出さなかったことは認めるべき点である。投げ出す勇気も無かったのかもしれないが。
士官学校で僅かに上位の成績を修めた同窓が偶然部下になった際に散々いびったという噂もあり、 私怨を忘れない人物であるとされているほか、弱冠29歳で同格の大将に昇進したヤンに嫉妬している(ただしこの件に関してはユリアンも「これほど年齢がちがうのに、階級はおなじ大将でしょう?ビュコック提督のようなかたでもないかぎり、嫉妬しますよ」と言っているように、さほど不思議なこととは言えない)。
基本的に評価、特に人物についてのそれはあまりよろしくない。
2巻で初登場、統合作戦本部長代行になった際の宇宙艦隊司令長官ビュコック大将の反応は「これはわしがやったほうがましだったかな」であり、地の文にも、クーデターの可能性など伝えたりしたら「小心者の代行は泡をふいたかもしれない」とまで言われ、Die Neue Theseでは「やや人格的な評価にとぼしい」という婉曲的かつド辛辣なナレーションが入れられている。
フォークを利用してクブルスリーを負傷させ、ドーソンが代行に就任する原因を作った側である救国軍事会議からは「大将に昇進したのさえおかしいていどの男」「事務能力はともかく、人望がない」との評価であり、もともと大将の器とみなされていなかったようである。その一方である程度の事務能力を認めているのは、救国軍事会議がドーソンと同じ統合作戦本部次長であったドワイト・グリーンヒル大将をトップとし、情報部長ブロンズ中将といった軍政寄りの人物を構成員としているからであろうか。なお、人望についてはお察しである。
いっぽう、ある程度下の階級、というかヤン艦隊からの評判は散々としか言い様がない。「いやな野郎」「口やかましい、せこい、いやみなドーソン教官」(共にアッテンボロー)や「建国後、三〇年か五〇年くらいで、外敵のない時期だったら、ドーソン大将で無難につとまった」(アレックス・キャゼルヌ)はまだ良いほうで、「同盟軍も人材の畑が荒廃してしまった」(カスパー・リンツ)、はては「仕事さえしなきゃ、無能とはいえない男」(オリビエ・ポプラン)など、面識があるとも思えない人間からも酷評を受けている。毒舌とはいえ直接な罵倒は珍しいイワン・コーネフさえ「たいした武勲をたてたわけでもない」「トリューニヒトとはいいとりあわせ」というのだから大概である。
ところで、それらを聞いていたユリアン・ミンツは「たいした武勲もたてずに大将になれるとしたら、それこそたいしたことかもしれない」と述懐している。たしかにそれもそうではあるが。
掲示板
85 ななしのよっしん
2024/08/28(水) 07:19:16 ID: K39truO5DL
>>84
そうだったのか。
だとするとOVAの台詞の意図はドーソンの就任自体を嘆くというより、自分以外に司令長官か本部長をちゃんとこなせる人材がいなくて困ったという意味合いの方が強いってことかな。
ヤンはイゼルローンに張り付けとかないといけないし、チュン・ウー・チェンも軍の顔でもある統合作戦本部長にするには問題ありそうだし。
86 ななしのよっしん
2024/08/28(水) 13:12:11 ID: 00uya3Sk3P
>>85
うーん、まあドーソンが代行するのを嘆いてるのは確かなんだよね
軍部ナンバー1、2が同一人になるのを避けるために代行就任を辞退したけど
それで選ばれたのが(次長中の最年長とはいえ)よりによってドーソンかー、みたいな
ちなみにチュン・ウー・チェンはクーデター時おそらく同盟軍士官学校戦略研究科の教授で
階級的にも間違いなく中将以下なので候補にはならないはず
ドーソンでなければ他の二人の次長のどちらか、次いで他の大将陣ってことになると思う
87 ななしのよっしん
2024/11/24(日) 01:24:04 ID: Zlo+2gR0nz
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最終更新:2024/11/26(火) 11:00
最終更新:2024/11/26(火) 11:00
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