ウォーエンブレムとは、アメリカで生産されたロリコン元競走馬である。
大種牡馬Mr.Prospectorと13戦13勝、ミスパーフェクトと謳われたPersonal Ensignを父母に持つOur Emblem、
あのBrigadier Gerardの血を引く父Lord at Warと、日本でも大活躍した種牡馬ブレイヴェストローマンの近親である母を持つSweetest Ladyという、見た感じなかなかの血統の両親を持つ。サンデーサイレンスよりはるかにいい血統である。
とはいえ、Our Emblemは27戦5勝という凡庸な成績で、GⅠでは善戦マン止まりな、血統がなければ去勢されて乗馬クラブ直行もありえたレベルで
Sweetest Ladyもけっこう遡らないとブレイヴェストローマンに当たらない上彼女の牝系は活躍馬が出ていない流れであった。
故に西海岸や東海岸の有力厩舎ではなく、中部の有名じゃない厩舎から誰にも知られないスタートとなった。
2歳時は3戦して2勝し、もしかしたら全米一有名なケンタッキーダービー出走が見えてきたかも知れないと思わせる鮮やかな勝ち方も見せていた。
3歳に入るとステークス競争や重賞に挑戦しだすが2戦続けて馬群に怯むなど脆さを見せて惨敗し続けていたが、次走に選んだ一般競争で11馬身ぶっちぎる大楽勝を見せた。この馬、気分よくさせてやれば猛烈に強い!と気づいた陣営は
ケンタッキーダービー出走へ一縷の望みをかけてGⅡのイリノイダービーへ向かい、ここも気分よく突っ走り6馬身1/4差で楽勝し、ケンタッキーダービーの有力馬勢力の端っこくらいには入ってきていた。
しかし、こういうメジャーじゃないところから来た馬が転売されて有力馬主の顔で出るようになるのがアメリカンスタイル、サウジアラビアのサルマン殿下率いるレース団体ザ・サラブレッドコーポレーションに90万ドルで売却され
厩舎もアメリカ屈指の腕っこきボブ・バファート厩舎へ転厩、騎手も日本でも馴染みがあるV.エスピノーザへ変わり、本命サイドへ名乗りを上げケンタッキーダービーへ出走。
先頭を突っ走り切った彼と後続馬には4馬身の差があった。中部のローカル競馬場でくすぶっていた彼は、全米のサラブレッドが目指す一度きりの大舞台でも気分よく走るとこんなにも強かったのだ。
続くプリークネスステークスも気分良くぶっ飛ばすも、さすがに他馬も楽に勝たせないと必死に向かってきたがその猛追を何とかしのぎ二冠達成。 三冠をかけたベルモントステークスの彼は…魔法が解けてしまったのか、油断があったのか出遅れてしまい8着に完敗。三冠の夢は儚く散ったのであった。
その後は同世代相手のハスケル招待ハンデを楽勝したが、古馬相手には気分よく走れずに2連敗し引退。
引退後アメリカ二冠馬としてサルマン殿下の庇護のもと、アメリカで種牡馬入りする…筈だったのだが2002年7月、彼はまだ現役だった頃にサルマン殿下は急死しており
所有する馬は遺産管財人によりすべて競りにかけられたのである。そこには、大種牡馬サンデーサイレンスを、さらに彼が残した優秀な牝馬を活かせるであろう存在エンドスウィープ、エルコンドルパサーをも2002年に立て続けに失っていた社台グループの姿もあった。
彼らの目標は、サンデーサイレンスに生き写しの姿(毛色といい本当に似てる)を持つアメリカ二冠馬、日本ではMr.Prospector以外はほぼ異系血統で埋まったウォーエンブレムを競り落とし導入することであった。
サンデーサイレンスの遺した巨額の保険金という元手があったことや、脆い時は脆いレースぶりや血統がいまいちなのも手伝ってか1700万ドル(当時のレートで約21億円)でなんとか落札。
こうして、アメリカ二冠馬が再び直接日本へ輸入されることとなったのである。社台グループの期待度はどれだけ高かったか、お分かりいただけるであろう。しかしながら…種牡馬入り後は次項参照。
日本の競馬ではヘイルトゥリーズン系並びにノーザンダンサー系の種牡馬が成功したが、逆に言うと優秀な成績を残した馬がどちらかの系統の場合が多く、配合しにくい状況になっていた。
その打開策の一環としてミスタープロスペクター系の大型種牡馬の導入に着手、社台グループが1700万ドルで購入した。サンデーサイレンス産駒の牝馬との配合が容易なため、大きな期待を寄せられて日本での種牡馬入りを果たす。
しかし、いざ種付けとなったときにウォーエンブレムは牝馬にまったく興味を示さなかった。正確には好みの牝馬以外にはアレがエレクチオンしないのよォ-!!!であった。
だが関係者の試行錯誤や努力によりなんとか種付けが出来る、彼の好みの相手を発見した。それは栗毛の小柄な馬だった。
このニュースは競馬ファンの格好のネタとなり、そうしてウォーエンブレムは金髪ロリ(ブロンドロリ)の愛称が必然的についたのだった。
社台グループもなんとかしようと、金髪ロリでやる気にさせて挿入する段に差し替える作戦(バレてへそを曲げられてしまい失敗。走る馬は人間が思うより賢いのである。)を敢行したり、
世界的な獣医を呼び様々な治療を施し一時的に改善したこともあったが、2010年と2011年はまたもろくに種付け出来ずに終わってしまった。アメリカ二冠馬だし無碍にすることも出来ないし
種付けに成功したらそれなりに走る仔を出してしまうので他に売っ払うわけにも行かず、種なしだったり完全に機能不全だったわけじゃないせいか損害保険も満額下りずとろくなことにならなかった。
ジャッジアンジェルーチのような明確な大失敗でもないため、悩ましい存在になっていることは想像に難くない。まさか種牡馬としても気分よくさせてやらにゃならんとは…。その点サンデーは不細工だろうと何だろうと焦らす余裕を持ちつつ数十秒で処理していたんだから半端ない。
ちなみにだが、現在の性嗜好は金髪ロリではなくなっているらしい。馬だって移り気です。
そういうネタを抜きにすれば、数少ない産駒からブラックエンブレムやキングスエンブレム、ウォータクティクス、ショウナンアルバ、シビルウォーらGⅠ馬・重賞馬を多数輩出するなど
まともに種付けできていれば、間違いなくリーディングサイヤー争いのトップランナーであっただろう。芝も苦にしないしダートも強いんだから本当に惜しまれる。
さらに余談だが、子供たちも充実してる時はとことん強いが少しでも歯車が狂うと惨敗を繰り返してしまうところがある。
どうやら、優れた能力のみならず気分よくさせてやることが大事なところまで子供に遺伝させているようだ。 いらんところまでそっくりとか遺伝って怖い。
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最終更新:2024/04/27(土) 16:00
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