ジャイアンツコーズウェイ 単語


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ジャイアンツコーズウェイ

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ジャイアンツコーズウェイ(英:Giant's Causeway)とは、以下のものを指す。

1. 北アイルランドにある世界自然遺産。火山活動によってできた奇妙かつ豪壮さを感じさせる列石群である。当地の神話であるケルト神話の大英雄フィン・マックールがスコットランドに攻め入る時に作ったといわれる。

2.上記した世界遺産から名前を頂いた1997年産の競走馬。本稿で詳述する。

概要

父はアメリカが生んだ早熟の星・Storm Cat、母は彼女のエピソードを書くだけで大百科の項目ができてしまう、ハリウッド映画の「夢駆ける馬ドリーマー」の主役・ソーニャドールのモデルにもなったMariah's Storm、母父は直仔からSerena's Song(GI11勝)や*ファンタスティックライトを出している大種牡馬のRahyという良血である。
母が大活躍し引退後の繁殖牝馬セリでクールモアグループの牧場に買われたこともあり、彼もクールモアのエース候補として育成されるようになった。 

父が仕上がりの早さに定評があるだけあって本馬のデビューも早く、2歳の夏、1999年の7月にデビュー。これを7馬身ぶっちぎって圧勝すると次走でGⅢを制覇し重賞タイトルを獲得。その次走でフランスのGⅠサラマンドル賞を勝利し無敗のGⅠ馬となった。
この頃の2歳戦線では圧倒的内容で無敗街道を驀進中だった5戦全勝のクールモアの同輩*ファスリエフがいたため、同じ路線を行く彼は直接対決で勝たない限りトップにはなれないと思われたのだが、件の*ファスリエフがサラマンドル賞のしばらく後に致命的骨折を発症し引退・種牡馬入りしてしまったため、自動的に翌年のギニー路線エースに繰り上がった。
ちなみに*ファスリエフ、初年度産駒勝ち上がりの世界記録を作るなど種牡馬入り後すぐは絶好調だったがその後尻すぼみになり日本に輸入されている。 

3歳春の始動戦は古馬混合戦だったが古馬を一蹴し英2000ギニーへ。センスよく抜け出し後続をきっちり抑え込む……かに見えたのだが、ケタ違いの瞬発力で並ぶ間もなく駆け抜けた*キングスベストの末脚に屈し2着に終わる。
アイリッシュ2000ギニーで捲土重来を期すも、末脚を過度に警戒したか不良馬場が災いしたか今度は*バチアーの逃げを捉えられず2着。 このままでは終われないとギニー路線の総決算セントジェームズパレスステークスに出走。
今度は逃げた*バチアーを叩き潰し、猛追してきた後続に一瞬抜かれたがド根性で差し返してGⅠ2勝目を挙げる。ここから、欧州世紀末の伝説が始まる。

続くレースは中距離戦線夏のビッグタイトルの一つであるエクリプスステークス。ゴドルフィンが英ダービー2着馬Sakheeと売り出し中の*ファンタスティックライトを、アガ・カーン陣営がやはり売り出し中のKalanisiを、ニアルコスファミリーが日本生まれのShivaを送り込むなど当時のオールスター的な出走メンバーとなった。初の10ハロン戦となったことや、ここまで騎乗してきたマイケル・キネーン騎手がケガでジョージ・ダフィールド騎手に乗り替わった(次戦では復帰している)こともあり、ここでジャイアンツコーズウェイは初めて1番人気を他馬に譲って5番人気となった。
レースはペースメーカーが引っ張りつつの激戦となり、直線SakheeとShivaをねじ伏せ抜け出すが外からKalanisiが凄まじい末脚で強襲。このままKalanisiが千切るかと思われたのだが、彼のど根性が物理法則でも捻じ曲げたのか、Kalanisiは2着に敗れていた。ジャイアンツコーズウェイ大勝利である。それと引き換えにダフィールド騎手(Kalanisiのパット・エデリー騎手も)はムチの使いすぎで騎乗停止になったけど。

この次走はマイルのサセックスステークス。ここもDansili(Rail Link、*ハービンジャーの父)の追い込みを待ち構えて叩き合いに持ち込み勝利。極東の歌劇王よろしく僅差圧勝で勝ち鞍を積み重ねていく。
英インターナショナルステークスでは離れて追い込む策をとってリベンジを期したKalanisiに音を上げさせ、寄ってきたところを根性で叩き潰しGⅠ4連勝。 
続くアイルランドチャンピオンステークスでは出走予定だったクールモアの古馬エースMontjeuが不調で回避し、その名代として調整不足ながら強行出走。
ここではランフランコ・デットーリ騎手のBest of the Bestsが超ロングスパートで並ばせない策を取りにいったところに付いて行き、きっちり競り落としGⅠ5連勝。当時の欧州記録であるMill ReefのGⅠ6連勝の更新を期待されるようになった。

ちなみにこの5連勝、起点が6/20→7/8→8/2→8/22→9/9とわずか12週の中でGⅠばかり5戦して5連勝、しかも一切使い減りする様子もなしというすさまじさであった。
この様から、畏敬の念を込めて付けられたあだ名が彼の代名詞ともいえる"The Iron Horse(鉄の馬)"。 彼もSecretariatのようにガソリンが血の代わりに流れているのではなかろうかと軽口も叩きたくなるほどの、一線級のGⅠを走る競走馬らしからぬ頑健さを誇った。

そして中13日で秋のマイル王決戦クイーンエリザベスⅡ世ステークスに向かう。相変わらずの無茶な使い方を一切意に介さず抜け出すも、直線コースの大外ラチ沿いを並んでたまるかとばかりにたった1頭爆走したObservatoryに半馬身先着を許し、連勝が止まった。
*キングスベストもObservatoryもミスタープロスペクター系の父を持つ馬で、キレという点では彼らに一歩遅れを取ってしまうようである。

その後、久々にゆっくり立て直し、アメリカの大一番であるブリーダーズカップ・クラシックへ。メンツが凄まじいことになっていた20世紀最後のBCクラシックで、初ダートながら実績と血統を買われ3番人気を背負った。ちなみにこの時の1番人気は当年のケンタッキーダービー馬Fusaichi Pegasusである。 
レースは2番手から抜け出した上がり馬Tiznowを3番手から急襲。並びかけて得意の叩き合いに持ち込む。コレを見たジャイアンツコーズウェイを知る全世界の競馬ファンは「Tiznowとかいう奴も頑張ってるけどここまでだな、彼の根性に勝てるはずはない、叩き合いからの敗北でおしまいだ」 などと思ったことであろう。
しかし、この年限りでの引退が決まっていたジャイアンツコーズウェイは最後の最後で、瞬発力による出し抜けっぽい手段ではなく、得意の叩き合いで完全な敗北を喫することになった。
あらゆる強豪を並びかけられれば根性でねじ伏せてきた彼が逆に完全にねじ伏せられ2着。しかし初ダートを克服したことや、キネーン騎手が直線でムチを落とす不運もあったため彼の評価には傷は付かなかった。 
この後、Tiznowは前人未到のブリーダーズカップクラシック連覇を達成し引退。Tiznowもまた凄まじい馬だと世間は知ることになったのだが、それはまた別の話。 

引退後は種牡馬となり、世界中でGⅠ勝ち馬を輩出。後継もShamardalがLope de Vegaを輩出するなど順調でStorm Catのサイアーラインを広げる存在として活躍中。
父の直仔がGⅠに届かなかった日本でもエイシンアポロンがGⅠを勝ち、スズカコーズウェイ、エーシンジーラインが重賞を獲得、アンコイルドが2000~2400のクラシックディスタンスで活躍するなど適応力の高さを見せている。 
ただ大物感のある産駒は初年度産駒のShamardalくらいで最近はやや頭打ち気味にも感じなくもない。彼のような鋼の肉体と心を兼ね備えた存在を輩出することはできるであろうか。と思いきや、2019年に*ブリックスアンドモルタルがペガサスワールドカップターフ、ブリーダーズカップ・ターフなどアメリカの主要芝G1を5勝し、その年のエクリプス賞年度代表馬に選出された。社台ファームの吉田照哉氏が購入し、2020年から日本で種牡馬入りしている。

2018年4月16日に繋養先の米国アッシュフォードスタッドで死亡した。21歳だった。

血統表

Stotm Cat
1983 黒鹿毛
Storm Bird
1978 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
South Ocean New Providence
Shining Sun
Terlingua
1976 栗毛
Secretariat Bold Ruler
Somethingroyal
Crimson Saint Crimson Satan
Bolero Rose
Mariah's Storm
1991 鹿毛
FNo.11
Rahy
1985 栗毛
Blushing Groom Red God
Runaway Bride
Glorious Song Halo
Ballado
*イメンス
Immense
1979 黒鹿毛
Roberto Hail to Reason
Bramalea
Imsodear Chieftain
Ironically

主な産駒

  • Footstepsinthesand (2002年産 牡 母 Glatisant 母父 Rainbow Quest)
    • 主な勝ち鞍 '05 2000ギニーステークス(英GI)
  • Maids Causeway (2002年産 牝 母 Vallee des Reves 母父 Kingmambo)
    • 主な勝ち鞍 '05コロネーションステークス(英GI)
  • Shamardal (2002年産 牡 母 Helsinki 母父 Machiavellian)
    • 主な勝ち鞍 '04デューハーストステークス(英GI)、'05プール・デッセ・デ・プーラン(仏GI)、'05ジョッケクルブ賞(仏GI)、'05セントジェームズパレスステークス(英GI)
  • Frost Giant (2003年産 母 Takesmybreathaway 母父 Gone West)
    • 主な勝ち鞍 '08サバーバンハンデキャップ(米GI)
  • Rite of Passage (2004年産 騙 母 Dahlia's Krissy 母父 Kris S.)
    • 主な勝ち鞍 '10ゴールドカップ(英GI)
  • *スウィフトテンパー (2004年産 牝 母 Glasgow's Gold 母父 Seeking the Gold)
    • 主な勝ち鞍 '09ラフィアンハンデキャップ(米GI)
  • Ghanaati (2006年産 牝 母 Sarayir 母父 Mr. Prospector)
    • 主な勝ち鞍 '09 1000ギニーステークス(英GI)、'09コロネーションステークス(英GI)
  • Giant Oak (2006年産 牡 母 Crafty Oak 母父 Crafty Prospector)
    • 主な勝ち鞍 '10クラークハンデキャップ(米GI)、11ドンハンデキャップ(米GI)
  • *エスケンデレヤ (2007年産 牡 母 Aldebaran Light 母父 Seattle Slew)
    • 主な勝ち鞍 '10ウッドメモリアルステークス(米GI)
  • *エイシンアポロン (2007年産 牡 母 Silk and Scarlet 母父Sadler's Wells)
    • 主な勝ち鞍 '11マイルチャンピオンシップ(GI)
  • *ブリックスアンドモルタル (2014年産 牡 母 Beyond the Waves 母父 Ocean Crest)
    • 主な勝ち鞍 '19ペガサスワールドカップターフ(米GI)、'19ターフクラシックステークス(米GI)、'19マンハッタンステークス(米GI)、'19アーリントンミリオンステークス(米GI)、'19ブリーダーズカップ・ターフ(米GI)

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