チアズグレイス(Cheers Grace)とは、1997年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
父サンデーサイレンスにクラシック完全制覇を贈った2000年の桜花賞馬。
父*サンデーサイレンス、母チアズフラワー、母父Al Nasrという血統。
父は説明不要、日本競馬を根底から変えた大種牡馬。チアズグレイスは6年目の産駒。
母はNorthern Dancerの3×3持ちの持込馬で1戦0勝。3代母Dumkaは1974年のフランス1000ギニー勝ち馬である。
母父アルナスルは1982年のイスパーン賞の勝ち馬。日本では*ナスルエルアラブの父……ということぐらいしか書くことがない。
2歳下の全弟に、2002年の共同通信杯と毎日杯を勝ったチアズシュタルクがいる。
1997年3月30日、門別町(現:日高町)の白井牧場(主な生産馬にミスタートウジンやグルメフロンティア、最近だとハクサンムーンやサトノレーヴ)で誕生。しかしオーナーサイドの意向で、生後10日ほどで母とともに同じ門別町のナカノファームに移ったそうである。
オーナーは「チアズ」の冠名を用いた北村キヨ子。なお「チアズ」の馬主はその素性に関して一部メディアが黒い噂を報道しているが、馬には罪はないのでこの記事ではそれについては触れないでおく。
※本項では当時の表記に合わせて、年齢を旧表記(現表記+1歳)で表記する。
チアズ軍団の先輩・チアズサイレンスも所属した、栗東・山内研二厩舎に入厩。仕上げの早さに定評のある山内厩舎らしく、彼女も1999年6月12日、この年の新馬戦開始初日の函館・芝1000mでデビュー。松永幹夫を鞍上に、見事逃げ切り勝ちを収める。以後、引退まで一貫して松永が騎乗した。
2ヶ月空けて8月の札幌・芝1200mの平場500万下は4着に敗れたが、中1週で向かったコスモス賞(OP)を2番手追走から逃げ粘る道営馬キムタツオフェンスをアタマ差差しきって2勝目を挙げた。
そこから3ヶ月休んで阪神3歳牝馬ステークス(GⅠ)へ直行。直行ローテが嫌われたか25.2倍の9番人気に留まったが、中団から脚を伸ばし、逃げ切ったヤマカツスズランの4着。馬券圏内は逃したものの、1番人気-3番人気-2番人気のカチカチ決着の後ろで評価以上の走りは見せた。
明けて4歳となり、紅梅ステークス(OP)から始動したが、前目でレースを進めるも前にいたサイコーキララに1馬身振り切られて2着。続くエルフィンステークス(OP)もサイコーキララとはち合わせ、同じ位置で進めたがまた3/4馬身競り負けて2着。賞金が積めない。
優先出走権を獲りにチューリップ賞(GⅢ)に向かったが、1.8倍の1番人気という断然の支持を集めながら不良馬場に脚をとられ、まさかの10着大敗。桜花賞出られるのこれ?と心配な状況になってしまったが、幸いこの年の桜花賞はボーダーが500万下勝ちのラインになったので、オープン勝ちのあるチアズグレイスは抽選も回避して無事に出走できることになった。
というわけで迎えた桜花賞(GⅠ)。初年度産駒が1995年にいきなり皐月賞・優駿牝馬・日本ダービーを制して以降日本競馬を席巻していたサンデーサイレンス産駒だが、なぜかここまでクラシックで桜花賞だけは勝てていなかった(ダンスパートナーとフサイチエアデールの2着が最高)。この年も本命クラスの馬は送り出せておらず、SS産駒で最上位人気はクイーンCを勝ったフューチャサンデーの5番人気。チアズグレイスは前走の大敗に加えて-16kgも懸念されてか、それに次ぐ15.9倍の6番人気であった。ちなみに1.8倍の断然人気だったのは、デビュー4連勝で乗りこんできた前述のサイコーキララである。
しかしこの-16kgはガレたのではなく、この一戦に向けた陣営の渾身仕上げであった。4番人気エアトゥーレが大きく出遅れ、ジョーディシラオキが逃げるのをチアズグレイスは外の3番手で追走。同じ4枠のグロウリボンと馬体を併せて4角を回りジョーディシラオキを捕まえると、直線で2頭を悠々と振り切って先頭へ。後ろからは阪神3歳牝馬S3着のマヤノメイビーや同じ山内厩舎の3番人気シルクプリマドンナ、そして1番人気サイコーキララが追いかけてきたが、チアズグレイスはそれを歯牙にもかけず、悠々と1馬身半差振り切ってゴール板を駆け抜けた。
かくしてサンデーサイレンスは6年目で産駒クラシック完全制覇を達成(戦後4頭目)。北村オーナーはGⅠ初勝利。松永幹夫は3年前のキョウエイマーチに続く桜花賞2勝目で、「牝馬の松永」の異名をまた高めた。
続く優駿牝馬(GⅠ)は前走究極仕上げの反動が懸念され、混戦ムードの中で8.1倍の5番人気。1番人気は同僚のシルクプリマドンナである。しかしレースは稍重で1000m63秒5のスローペースの展開を前目で進め、直線では馬群の中から先にスルスルと抜けてきたシルクプリマドンナを猛追。クビ差まで迫ったものの振り切られて2着。敗れはしたものの桜花賞馬として意地を見せ、山内厩舎ワンツーを達成した。
秋はローズステークス(GⅡ)から始動したが5着に敗れ、シルクプリマドンナに次ぐ2番人気に支持された秋華賞(GⅠ)は逃げるヤマカツスズランを2番手で追走したものの、直線でティコティコタックにあっさりかわされてしまい4着。この年1勝ながら、牝馬三冠での堅実な走りが評価され、JRA賞最優秀4歳牝馬を受賞した。
しかしチアズグレイスはその後屈腱炎を発症してしまい、復帰を目指したものの再び脚部不安が出たため、秋華賞を最後に現役引退となった。通算11戦3勝 [3-3-0-5]。
重賞勝ちが桜花賞のみという戦績から桜花賞だけの一発屋と思われがちだが、オークスではシルクプリマドンナを追いつめたし、秋華賞も完敗ではあるものの4着には残してるので、古馬でも走っていればもう少し勲章を積めたかもしれない。
引退後はナカノファームで繁殖入りしたが、その後は繋養者が転々としたのち、2005年から浦河町の三嶋牧場に落ち着き、9頭の仔を産んだ。直仔からはこれといった活躍馬は出なかったが、初仔チアズガディスの産駒マイティティーが2017年のブリーダーズゴールドカップを勝つなど、牝系の血は繋がっている。
チアズグレイスは2017年2月21日に死亡。受胎していた*アイルハヴアナザーの仔の出産予定が2月28日になっており、その仔は出生登録もされていないため、おそらくは出産時か出産直前に何らかのアクシデントがあって母子とも助からなかったものと思われる。20歳だった。
| *サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
| Nothirdchance | |||
| Cosmah | Cosmic Bomb | ||
| Almahmoud | |||
| Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
| Pretty Ways | |||
| Mountain Flower | Montparnasse | ||
| Edelweiss | |||
| チアズフラワー 1992 鹿毛 FNo.21-a |
Al Nasr 1978 黒鹿毛 |
Lyphard | Northern Dancer |
| Goofed | |||
| Caretta | Caro | ||
| Klainia | |||
| *デュカイナ 1981 鹿毛 |
Northfields | Northern Dancer | |
| Little Hut | |||
| Dumka | Kashmir | ||
| Faizebad |
クロス:Northern Dancer 4×5(9.38%)
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最終更新:2025/12/05(金) 22:00
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