スウェプトオーヴァーボードとは (スウェプトオーヴァーボードとは) [単語記事]

スウェプトオーヴァーボード(Swept Over board)とは、1997年生まれの米国産の競走馬。

薄命の父の跡を継いだ孝行息子である。名前がクッソ長い
名前を直訳すると「盤上を一掃する」、転じて賭け事においてベットを「総取り」するという意味。
父エンドスウィープ(一掃、一蹴)からの連想である。

概要

父 End Sweep、母Sheer Ice、母父 Cutlassという血統。よくあるアメリカ血統である。

父の*エンドスウィープはカナダのローカルグレードだがGIを制し、種牡馬入り後は2歳戦からバリバリ走る産駒を送り出した。本馬はその2年目の産駒である。母は米国で43戦17勝、リステッド競走を2勝。母父のカットラスは競走馬としては一流半だが、叔母に米国殿堂馬ゲイムリーがいる良血馬。
本馬の近親には特に活躍馬は見当たらず、さほど良血というわけでは無い。

競走馬としては米国で20戦8勝。少頭数が多い北米競馬とはいえ4着以下になった事は4回と非常に堅実な短距離馬であった。主な勝ち鞍はメトロポリタンハンデ、エンシェントタイトルブリーダーズカップハンデ (長い)、共にGIである。芝のGIIIでも優勝経験があり、またGI2勝はどちらもレコード勝ちである。
2002年、5歳のBCスプリント8着をもって引退した。

本馬が競走生活を送っていた2002年の種付けシーズンに、日本にいた父・*エンドスウィープが背骨の骨折を原因とする脊柱圧迫により安楽死を余儀なくされ、エルコンドルパサーも腸捻転で失った社台グループにより、小柄無地牝馬スキーの*ウォーエンブレムと共に日本での種牡馬入りが決定した。
因みに祖父*フォーティナイナーも日本に輸入された為、*フォーティナイナー、*エンドスウィープ、*スウェプトオーヴァーボードと3代続けて種牡馬として日本に輸入されるという中々のレアケースが起きている。

初年度から100頭以上の牝馬を集めたものの、4年目のシーズン終了後に社台スタリオンステーションから日高のブリーダーズスタリオンステーションに移動。まあ、悪く言えば島流しである。
種付け料も大分落ちたが日高でも80～100頭ほどの牝馬を集める人気種牡馬となった。丁度引っ越したシーズンにドリームスカイが東京ダービーを勝ち、翌年には初年度産駒のアーバンストリートが中央でシルクロードSを勝つなどようやく波に乗り始めた。ちょっと変わったところではラインクラフト半弟のフロレンティーノがダーレーに買われて米国のGIIを勝利している。

そんな中登場したのがアイビスSDなど短距離重賞を3勝したパドトロワ、そしてスプリンターズステークスを連覇したレッドファルクス である。産駒の特徴として仕上がりが早く2歳戦から戦い、短距離が中心だが芝ダートを問わない活躍を見せる馬が多い。中央地方を含めた勝ち上がり率も7割を超えている。芦毛の馬体からも、アドマイヤコジーンと割と似る。
面白いのはステイヤーズSを勝ったリッジマン、東京大賞典と帝王賞を勝ったオメガパフューム など、血統からは予想も出来ないような産駒が誕生した事である。これだから競馬は面白い。

しかし、2017年 11月、レッドファルクスが史上3頭目となるスプリンターズステークス連覇を達成したのを見て僅か1月後に病気で死亡した。前述したパドトロワが種牡馬入りして、中央→サウジアラビア(!?)→地方で重賞を三連勝しているダンシングプリンスを筆頭に地方でそこそこ頑張っており、またレッドファルクスも社台スタリオンで種牡馬入りが決まった。芝の短距離戦線ではセイウンコウセイやファインニードルを輩出した同父のアドマイヤムーンがいるが、さてさて。