ダイタクリーヴァ 単語

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ダイタクリーヴァ

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ダイタクリーヴァ(Daitaku Riva)とは、1997年生まれの日本競走馬栗毛

2000年クラシック2000年2002年マイル戦線で役……になるはずだったダイタク軍団の代表の1頭にして、いろいろな「初めて」をあと一歩贈り損ねた惜しい「男」。

な勝ち
2000年:スプリングステークス(GII)シンザン記念(GIII)鳴尾記念(GIII)
2001年:京都金杯(GIII)
2002年:京都金杯(GIII)

概要

フジキセキスプリングヴァーサクラユタカオーという血統。
は圧倒的な内容で4戦4勝しながらクラシック前に故障で引退した、サンデーサイレンス初年度産駒の「三冠馬」。ダイタクリーヴァはその2年産駒である。
*ネヴァービートの3×2というなかなか強クロス持ち。自身は3戦未勝利で、ダイタクリーヴァはその初。半(ダイタクリーヴァから見ると伯父)にダイタク軍団の筆頭であるダイタクヘリオスがいる。3代ミスナンバイチバンの牝系からは、狂気二冠馬カブラヤオーが出ていることでも知られる。
1986年天皇賞(秋)の勝ちで、サクラバクシンオーとしても知られる。

1歳下の半(ダンスインザダーク)に長距離重賞戦線で活躍したダイタクバートラムがいる。

1997年3月24日取町の牧場で誕生。オーナーは「ダイタク」の冠名を用いていた大拓株式会社中村で、ダイタクリーヴァはダイタクヤマトバートラムと同じく、中村運営していた育成牧場の「太陽ファーム」名義であった。牧場太陽ファームに隣接しており、ダイタク軍団牧場産のが多くを占めていた。

名の「リーヴァ」はイタリア北部の地名。養蚕で知られる。2000年日本ダービーのレーシングプログラムによると「蚕は買いに通じ、買い頃。迷って買わずに=をひそめることなき養。」とのこと。

※本の活躍時期は2001年齢表記変更を挟んでいますが、煩雑なので記事内では現表記(満年齢)に統一します。一部レース名のみ旧表記(数え年)。

蚕の買い頃

世紀末クラシックの本命、だったんだけど……

東の名門・橋口次郎厩舎に入厩したダイタクリーヴァは、1999年11月6日京都・芝1600mの新馬戦デビュー。ここでは後の2歳王者にして「香港魔王エイシンプレストン人気を分け合ったが、当時まだ所属だった安藤勝己上に、逃げエイシンプレストンを4身ちぎり捨てて圧勝デビューを飾る。なお2020年アンカツちゃんねるの動画exitでは、アンカツはこの新馬戦に乗ったこと自体を忘れていた。

続く藤田伸二の騎乗した菊賞(500万下)は逃げて差されて2着に敗れたが、12月北九州3歳S(OP)では、の落事故で頭蓋骨折と硬膜外血腫の怪から復帰したばかりの、橋口厩舎所属の高橋に乗り替わると、ここを後方からの差し競馬で上がり最速の脚を繰り出し、1.7倍の支持に応えて快勝。以降は高橋戦を務めることになる。この1週間前の朝日杯3歳Sでは新馬戦で下したエイシンプレストンが勝っていたこともあり、ダイタクリーヴァの評価もますます高まった。

明けて3歳、初戦のシンザン記念(GIII)でも2.0倍の1番人気に支持されると、中団追走から4コーナーで大外から一気に進出、直線半ばで抜け出すとあとは後続をちぎり捨てて3身差で圧勝。フジキセキ産駒の初重賞制覇を飾る。
続くトライアルスプリングS(GII)でも1.8倍という断然の支持を受けると、前走のリプレイのごとく中団から勝負所で外を回って一気に進出、逃げったパープルエビスをきっちり3/4身差し切って重賞連勝。
後に「マル外世代」と呼ばれることになる2000年クラシック世代だが、既にこの頃からその傾向は現れており、朝日杯エイシンプレストン共同通信杯勝ちイーグルカフェきさらぎ賞毎日杯を勝ったシルヴァコクピットらはみんなマル外。はっきり言って内産のクラシック補は手薄だった。そんな中で朝日杯こそ出られなかったが新馬戦でその朝日杯をちぎり、前戦とトライアルをきっちり連勝してきたダイタクリーヴァがクラシックの本命となるのは自然な流れだった。

迎えた本番、皐月賞(GI)では当然ダントツ人気……というわけではなく、距離不安説が囁かれ、弥生賞サイゼノンの回避とかもあって弥生賞2着のエアシャカール人気を分け合う格好となったが、最終的にダイタクリーヴァは3.3倍の1番人気に支持される(シャカールは3.4倍)。ともあれ、高橋騎手はこの頃橋口厩舎のエースとして活躍していたがGIは未勝利。自厩舎ので悲願のGI勝利へ、まさに千載一遇の機会だった。
そしてレース本番、3番人気ラガーレグルスゲートから出られなくなり競走中止というアクシデントのどよめきが残る中、23番のダイタクリーヴァと高橋騎手はそのまま内の4番手という最高のポジションを確保。そのまま折り合いをつけて経済コーススムーズレースを進めると、直線で逃げパープルエビスを捕まえて抜け出す。まさしくお手本のような、完璧な先行抜け出しのレース。あとは中山の短い直線をこのまま押し切るだけ――。
そう思った間、大外からなんかとんでもない脚でカッ飛んで来るがいた。武豊エアシャカール
そこから内にもたれたエアシャカール体を併せての追いべになったが、クビ差競り負けて念の2着高橋騎手とダイタクリーヴァは完璧レースをしたとしか言いようがなく、3着は2身半ちぎっただけに、これで負けたらどうしようもない。

ともあれ皐月賞の走りで距離不安は大丈夫そうとみられ、続く日本ダービー(GI)でもエアシャカールに次ぐ4.8倍の2番人気に支持されたダイタクリーヴァと高橋騎手は、橋口師に悲願のダービーを届けるべく大舞台に挑んだが……2000mまでは保ってもそこから2ハロンの壁は高かった。1番人気エアシャカールと3番人気アグネスフライトが後方に構える中、中団待機から直線勝負に賭けたものの、全く伸びず12着撃沈。クラシックタイトルを贈ることはできなかった。結局、フジキセキ産駒クラシック勝利はこの14年後、イスラボニータ2014年皐月賞でのことになる。

「ダイタクリーヴァ、ダイタクヤマト、おんなじ勝負服!」

ダービーの惨敗で距離適性がはっきりしたダイタクリーヴァは、マイル路線へと向かうことになった。復帰戦の富士S(GIII)では直線でフラフラしてしまい、逃げた8歳ダイワカリアンを捕まえきれず3着に敗れたものの、休み明けで-12kg、古との初対決という諸々を考えれば上々の結果。

というわけで+14kgと前走でガレた体を戻し、万全の態勢で乗りこんだマイルチャンピオンシップ(GI)ダイタクとマイルCSといえばなんといっても伯父ダイタクヘリオスが連覇したレースだが、ここでは前スプリンターズS大穴を開けた、ヘリオス息子ダイタクヤマトも一緒に出走してきていた。
それはさておきこの年のマイルCSは本命不在の混戦ムード。ブラックホークシンボリインディ同期エイシンプレストンあたりが人気を集めていたがも彼も決定打に欠ける感じである。そんなわけでダイタクリーヴァも人気の一だったのだが、ここで思わぬアクシデントが襲う。なんと当日の9Rで高橋騎手が落負傷。急遽安藤勝己に乗り替わることになったのである。
……普通騎手が負傷して急遽の乗り替わりとなれば不安要素のはずだが、ダイタクリーヴァはアンカツが乗るということでむしろ大きく人気を上げ、最終的に単勝4.8倍ながら1番人気に支持されることになった。アンカツは当時まだGI勝利だったので、悲願の中央GI勝利の期待もあったのだろう。この出来事をきっかけに橋口厩舎はトップジョッキーへの乗り替わりを積極的に進めるようになったらしいので、なんというか高橋騎手は二重の意味で泣いていいと思う。ちなみにアンカツ当人はというと、まさか騎乗依頼が来るとは思ってもおらず、そもそもこの日GIがあることすら意識していなかったらしい。

ともあれレース本番。スタートで後手を踏んだダイタクリーヴァは後方待機となるが、安藤勝己は慌てず内ラチ沿いに誘導、インコースで追走する。中盤もペースが落ち着かず先行勢に厳しい展開となり、コーナーで最内の経済コースを通ってするすると上がっていくダイタクリーヴァ。
直線を向き、逃げヤマカツスズランと2番手のダイワカリアンが苦しくなったところで、4番手にいたダイタクヤマトが抜け出す。そこへぴったりと後ろからついていったダイタクリーヴァは、アンカツが入ると鋭く加速。一気にダイタクヤマトを捕まえにかかった!

内から内からダイタクリーヴァ! 安藤勝己の左が飛んでいる!
ダイタクリーヴァ、ダイタクヤマト、おんなじ勝負服

――カンテレ 馬場鉄志アナ

ダイタクヤマトを捕まえてかわし、先頭に躍り出た間、中継の画面内にいるの脚色では間違いなくダイタクリーヴァが一番だった。今度こそ完璧な抜け出し。このまま押し切り。
勝った。これはダイタクリーヴァが勝った。安藤勝己悲願のGI勝利! フジキセキ産駒も初GI! もう間違いない。シンボリインディは後ろでもがいているし、すぐ後ろのエイシンプレストンブラックホークも脚色は同じで届きそうにない。内のメイショウオウドウが伸びてきたがそれも大丈夫。これ以上後ろから飛んで来るなどいるはずがない。いるはずもないのだ。

だってそんなこと、あるわけないじゃないですか。

芝未勝利13番人気同期が、大外からワープしたみたいな脚で一気にブチ抜いてくるなんて――。

大~外からアグネスデジタル!!
大外アグネスデジタル! 内からメイショウオウドウだ!

アグネスデジタル的場均ィ――!!!

かくしてアグネスデジタルレコードタイムで半身差しきられてまたも念の2着皐月賞に続いて完璧レースをしたのに、2番人気エアシャカールにやられた皐月賞はともかく、なんで芝実績ほぼゼロダートがこの大一番でカッ飛んでくるのか……。後々から考えれば相手が悪かったということになろうが、アンカツも抜け出した間には勝ちを確信したそうで、相当ガックリきたそうである。アグネスデジタル変態伝説、その序章の引き立て役になってしまったダイタクリーヴァであった。

そして高橋騎手はこれ以降ダイタクリーヴァに騎乗することはなく、この不運以降成績を落としていき、結局GI勝利のまま引退2013年調教師に転向している。

冬男・ダイタクリーヴァ

あと一歩でビッグタイトルを逃したダイタクリーヴァは、上に新たに松永幹夫を迎え、GIIIに降格した12月鳴尾記念(GIII)へと向かった。この年からハンデ戦に変わったことで3歳なのに56.5kgを課されたダイタクリーヴァだったが(同期菊花賞3着エリモブライアンは54kg)、1.7倍の断然人気に応え、先行抜け出し押し切りの王道レースっぷりで快勝。重賞3勝を挙げる。

明けて4歳(この年から現表記に変更)、引き続き松永騎手と中3週で京都金杯(GIII)に参戦。ここでは因縁のアグネスデジタルとの再戦となり、同じトップハンデ58kgを背負うことになったが、向こうがまだフロック視されていたか、ダイタクリーヴァが2.1倍の1番人気に支持される(デジタルは4.8倍の3番人気。2番人気エイシンプレストンの4.0倍)。
ここも大外から3番手で先行したダイタクリーヴァは、抜群の手応えで直線を向くと、めに抜け出して松永騎手が振り返ってアグネスデジタルの位置を確認する余裕を見せながら、追い出しに応えて鋭く加速、あとは後ろを全く寄せ付けず2着エリモセントラルに2身半差で勝。3着アグネスデジタルにきっちりリベンジを果たす。

重賞連勝でめて実を見せつけたダイタクリーヴァ。この年の古マイル戦線の中核を担うの間違いなく、安田記念で昨年の悔しさをらす……はずだったのだが……。

1.7倍の断然人気を集めた中山記念(GII)で、アメリカボスに1も差をつけられる3着に敗。しかもこのレース中に左前脚を骨折していたことが発覚。当然安田記念には出られず、念の休養に入ることになってしまった。

幸い競走生命に関わる骨折ではなく、8ヶ休み、上に河内洋を迎えて富士S(GIII)で復帰。2番人気に支持されると、後方からのレースになったものの、上がり最速タイの脚で2着に好走、が衰えていないところを示す。

そして迎えたマイルチャンピオンシップ(GI)では2.8倍の1番人気。2番人気エイシンプレストンが6.5倍だったので断然人気である。河内洋と昨年のリベンジを果たす! ……はずだったのだが、スタートで出負けして後方からのレースとなり、スローペースの展開で外を回され勝負とどうしようもなく展開が向かず、見せ場なく9着に撃沈。マイルでは初めて馬券を外す惨敗になってしまった。

年末は昨年同様鳴尾記念(GIII)へ。新たに武豊を迎えたダイタクリーヴァは58.5kgのトップハンデを背負うことになり、それでも2.3倍の1番人気に支持されたが、この阪神2000mには滅法強いメイショウオウドウの逃げをクビ差捕まえきれず2着。とはいえ実は決して衰えたわけではないところは示す。

明けて5歳初戦も前年同様に京都金杯(GIII)へ。ここも58.5kgのトップハンデながら1.7倍の断然人気に支持されたダイタクリーヴァは、4番手先行から直線で抜け出す王道レースで、2番人気ミレニアムバイオ(54kg)と3番人気ゴッドオブチャンス(53kg)の猛追を寄せ付けず勝。歴史ある金杯も連覇はレース史上初であり、2023年現在もダイタクリーヴァが一である。

酷量もなんのそのでめて実を見せつけたダイタクリーヴァ。今度こそビッグタイトル獲得へ……のはずだったのだが、どうしたことか、これが最後のきだった。松永幹夫に戻った読売マイラーズカップ(GII)で59kgを背負って8着に沈没すると、初の1400m戦に挑んだ京王杯スプリングカップ(GII)も後方からのレースになってしまい9着。そして安田記念(GI)ではブービー17着に撃沈。このレース中に屈腱を断裂していたことが判明、念の現役引退となってしまった。通算19戦7勝[7-5-2-5]。

GIで2度にわたって完璧レースをしながら敗れ、への初クラシックも、高橋騎手安藤勝己騎手への初GIも贈り損ねたダイタクリーヴァは、結局アグネスデジタルマイルCSでの「おんなじ勝負服!」の実況と、ハンデ戦に滅法強かった「男」として記憶されることになった。なお、アンカツの中央GI勝利2003年高松宮記念ビリーヴでのこととなる。

4歳の京都金杯を勝った頃には、先にGI勝利していたがどっちかといえばフロック視されていたアグネスデジタルエイシンプレストンより間違いなく競馬ファンからの評価は高かった。2001年1月の時点で、当時の競馬ファンに「デジタルは芝ダート反復横跳びの変態ローテでGIを6勝するし、エイシンプレストン香港GIを3勝して魔王と呼ばれるよ。ダイタクリーヴァはGI勝てないよ」と言ってもおそらくも信じなかったのではないだろうか。未来のことは全くわからないものである。

引退後

GIは勝てなかったダイタクリーヴァだが、サンデーサイレンス孫世代の重賞としては初めての種牡馬入りを果たした。

ブリーダーズ・スタリオンステーションに繋養され、1年は42頭に種付け。3年以降は繋養先を転々としながら毎年1桁~10頭ちょっとぐらいの種付け数だったが、2010年マーメイドSを勝ったブライティアパルスと、2014年2015年京都ハイジャンプを連覇し2歳から10歳まで9年連続勝利という記録を作ったルールプロスパーと、15年間で98頭の産駒から2頭の中央重賞を送り出した。
地方では南関東重賞4勝を挙げたリアライズリンクスが1億円以上を稼ぎ、のエレーヌはデビューから13ヶで26戦を走って重賞8勝を挙げたが3歳心不全で急死し過密ローテが物議を醸した。

2017年8月31日、20歳で死亡。後継種牡馬は残せなかったが、ブライティアパルスの産まれた牧場で繁殖入りして牝系でダイタクリーヴァの血を繋いでいる。他にも数頭のが繁殖入りしたが、他は牝系でも残る望みは薄そうで、ダイタクリーヴァの血が残るかどうかはブライティアパルスファミリーにかかっている。はたして大物は現れるだろうか。

血統表

フジキセキ
1992 青鹿毛
*サンデーサイレンス
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
*ミルレーサー
1983 鹿毛
Le Fabuleux Wild Risk
Anguar
Marston's Mill In Reality
Millcent
スプリングヴァー
1992 栗毛
FNo.8-g
サクラユタカオー
1982 栗毛
*テスコボーイ Princely Gift
Suncourt
アンジェリカ *ネヴァービート
スターハイネス
ネヴアーイチバン
1971 黒鹿毛
*ネヴァービート Never Say Die
Bride Elect
ミスナンバイチバン *ハロウエー
*スタイルパツチ

クロス:ネヴァービート 4×3(18.75%)、Nasrullah 5×5(9.25%)

主な産駒

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