「三国志 中原の覇者」とは、ナムコがファミコンで発売したシミュレーションゲームである。
概要
三国志の時代に活躍した群雄の一人になりかわり、天下統一を目指す。ゲームシステムは光栄の「三國志」シリーズと同じジャンルで、その簡易版のような子供に親しみやすい造りが特徴。命令の結果によって武将が喜んだり悲しんだりと表情を変えたり、内政をすれば喜ぶ民の姿が表示され、内政の種類ひとつひとつに短いBGMが鳴らされると言った、単純作業を飽きさせない工夫が為されていた。
武将数は255人、光栄の三國志で言う「シナリオ」にあたる年代の選択は無く200年スタートのみといった小規模な造りも「シミュレーションゲーム初心者のための入門用ゲーム」という方針がうかがえる。
内政では移動、開発、徴兵などの各種コマンドの実行に命令書を必要とし、領土の拡大によって命令書の数も増えていく。最初のうちは領土の数と命令書の数が一致しており、各都市にそれぞれ一度ずつ命令をしたり、特定の都市に集中的に指示を出したりと言ったことができるが、次第に都市数よりも命令書の数が少なくなり、全土に命令を行き届かせるのが難しくなっていく。
戦争は地図上で部隊を移動させたり、遠距離攻撃として計略をかける画面、部隊が接して戦闘を仕掛けると歩兵・騎馬隊・弓隊・武将にそれぞれ前進/後退/待機の指示を出してリアルタイム進行で戦わせる画面、そこで武将同士が接触するとRPGのターン制コマンドバトルのように行う一騎打ちの3つの場面を切り替えながら進行する。
多くのシミュレーションゲームで「金」と「米」の二種類に分かれている物資の概念は「金」で一本化されており、秋の税収で納入されるのも金。戦争時の兵糧の概念は「ターンごとに米が減少していき、米が尽きたら敗北」という形では無く、代わりに戦争開始時に現金で全額前払いされており、10日間(10ターン)が経過したら攻撃側撤退となる。これもルールを簡略化して分かりやすくした措置と言える。
君主を討ち取ると残存勢力を総取りできるが、武将の忠誠度や内政値が激減するため、その回復に手間がかかってしまう。
登場君主
登場する君主は6人。自由に選択するのではなく、性格診断によって合うタイプが決められる。
設問は固定なので「この君主を選びたければ、このように回答する」という回答集を作ることは可能。
袁紹
董卓・呂布・袁術がゲームに登場しないので暴君枠を押しつけられたのか、人徳33という悲惨な数値で、捕らえた武将の忠誠度上げに苦労する。時代設定は官渡の戦いに近いはずだが顔良・文醜が存命であること、寿命による君主死亡が一律250年になっているため袁紹の死による弱体化が無いことが光栄ゲームに勝る利点。
馬騰
韓遂の他に知力の高い武将がいないのが問題だが、主力に人徳が高い武将が多いので彼らの知力を上げてしまえば内政にも困らない。特に馬超は人徳72と合格点の数字を持ち、知力を上げれば趙雲並の完璧武将となるため極めて優秀。史実での生年設定を無視してやたら早く姜維が登場するので頼りになる。
曹操
武将の能力は高いが、大陸の中央に位置しているため安全地帯を作りにくく、進行には苦労する。
どの都市も最初は武将が二人しかおらず、在野武将捜索のため情報集めに行くと武将が一人になってしまう。このため、最初の二人から三人に増やす時の隙をどうカバーするかが問題。
劉備
体力99の関羽・張飛、知力99の諸葛亮、武力99の張飛、人徳99の劉備、と能力値の最高点を全て備えている等、武将の能力が明らかに優遇されており、三国志演義や横山三国志の影響が強く見られる。
なぜか西暦200年の時点で荊州の実権を掌握しており、劉表軍が存在せず、一部の武将を(最初は在野武将扱いで)取り込んでいる。武将の忠誠度も極めて高い者が多いが、在野武将として登場する文聘はさすがに低く設定されている。
孫権
劉備軍による荊州制圧の影響か、本来なら宿敵であるはずの黄祖が甘寧ごと配下に降っている、本来は無関係な韓玄が黄忠ごと配下に降っている、同じく劉度が邢道栄ごと配下に降っている、と史実と異なる初期設定になっている。そのため諸勢力の中で領土が最も広く、戦力の集中がしづらい。「都市の数よりも命令書の数の方が少ないため指示が行き届かない都市が出る」という事態に初期状態から直面している。
劉璋
他の勢力よりも明らかに弱く設定された、高難易度向けの勢力。劉備・馬騰から見て最初の獲物となる。在野武将として南蛮の連中も登場するが、当然知力は低く、初期忠誠度も非常に低いので「籠絡の計」で引き抜かれやすい。
体力・人徳が優秀な者はいるので育てれば他勢力に対抗することも不可能では無いが、それには多額の投資と時間が必要である。
能力値
光栄の三國志では概ね「統率、武力、知力、政治、魅力」であるが、それと近いものもあれば異なるものもある。
- 体力
戦争時の部隊・武将のHP。武将の体力が0になると死亡する。街の施設「病院」で回復できるが、最大値を上げることはできない。また、病院が無い都市では回復できない。自然回復はしない。体力が低下したまま放置しても死ぬことは無いのでザコは放置されることもしばしば。
部隊の防御力と考えれば光栄の「統率」に近い意味を持つが、当然体力と統率の基準は異なる。たとえば張飛の体力は99であり、周瑜の体力は65しか無い。他にも、「光栄なら統率力が高かったはず」という軍師たちは軒並み戦闘時に不利になっている。 - 知力
内政の効果、情報集めの結果、戦闘時の計略の成功率、計略の選択肢の多さに関わる。おおむね光栄と同じだが、実は計略を掛けられた時の回避率には影響していないらしい。
街の施設「学問所」で上げることができる。知力80以上の武将をさらに上げることはできない。知力79+上昇値9=知力88までが凡人の最高点で、知力89以上の武将は凡人が努力しても追いつけない天才たちという事になる。その「凡人には届かない頭の良さだが、知力90の大台には1点届かない、知力89」の武将は馬謖である。 - 武力
戦争時の部隊・武将の攻撃力。また、武力が高い武将ほど率いる軍勢の兵種が良いものになっていく。中原の覇者には「訓練度」や「武装度」といったパラメータは無く、武力の数値がそれを兼ねていると言える。勇将のもとに弱卒無し。
街の施設「武器屋」で武器を購入し、それを武将に与えることで上げることができる。命令書二枚が必要になり、使う金額も学問所と大違いなので、実際に猛将を育成するのはかなりの手間がかかってしまう。武力80以上の武将をさらに上げることはできない。武力79+上昇値16=武力95あたりまでは育成できる。このため武力80台前半の武将より、77~79あたりの武将の方が嬉しかったりする。 - 人徳
内政の効果、情報集めの結果に影響する。光栄の三國志で言う「政治力」に相当する(魅力では無い)が、なにぶん基準が人徳であるため「無能な善人」である劉璋が97、謀士・賈詡は65という数値になっている。これが「政治力」であれば大きく評価は違ったであろう。最高値はもちろん劉備の99だが、曹操は96、孫権は90、司馬懿は92とそれぞれ高い評価はされている。
街の施設では上げることはできず、固定値である。内政の効果や情報集めの結果で最高の結果を出すには71以上が必要で、人徳70であるために泣きを見ているのが諸葛亮。たった1点の差を埋めることはどうやってもできず、これが「政治力」であったら95以上は確実であろう彼が「何も情報は得られませんでした」と失敗報告を行う姿はあまりにも悲しい。 - 忠誠度
敵の計略「籠絡の計」で寝返る確率に影響する。褒美の金を与えることで上げることができる。君主はこのデータを持たない。
光栄の三國志と同様の扱いだが、「勝手に出奔はしない」「自発的に裏切りはしない」「内政時に他国の武将を引き抜くコマンドは無く、戦争にならないと引き抜きを仕掛けられることは無い」「つまり後方生産国に置けば安心」「戦争時にも、敵軍に籠絡の計を使える知力80以上の武将がいなければ引き抜きを仕掛けられることは無い」「城のマスには計略を仕掛けることができないので、忠誠度が低い武将を城に置けば敵は引き抜きを仕掛けられない」などの抜け道がある。
計略
戦争での遠距離攻撃、マップ兵器のような存在。
敵の城に向かって移動する攻撃側と違い、いったん布陣したら敵が来るまでヒマな守備側は機動力を全部計略に注ぎ込み、近づく敵から滅多打ちにするのが基本戦術。
- 火計
敵の兵力を削る。基本的な攻撃系の計略だが、山地にいる相手には使用できない。 - 要撃の計
敵の兵力を削る。山地の敵にはこちらを用いる。知力40以上必要。 - 乱水の計
敵の兵力を削る。水上の敵にはこちらを用いる。知力60以上必要。 - 共殺の計
対象とした部隊を中心に、隣接している部隊も同時に兵力を削る。知力80以上必要。
城に対しては計略をかけられないが、これに巻き込む形で兵力を削ることは可能。 - 虚兵の計
敵をしばらく移動できなくする。移動できないだけで戦闘や計略は可能。森や山地の敵に対して使う。 - 連環の計
敵をしばらく移動できなくする。移動できないだけで戦闘や計略は可能。水上の敵に対して使う。
知力60以上必要。上記の乱水の計もそうだが、敵軍に知力60以上の者が一人もいない場合、水上には計略をかけられない安全地帯となる。
なお、連環の計→火計のコンボはできない。乱水の計ならできるのだが、わざわざ鎖で船を繋いだ敵を激流で押し流すという謎の光景となる。 - 陥穽の計
敵の武将の体力を削る。0まで低下させて殺す事はできない。 - 籠絡の計
忠誠度の低い敵を寝返らせる。平時に他国の武将を引き抜くコマンドが無い中原の覇者で唯一の武将引き抜き手段。
知力80以上必要。上にも書いたが、敵軍に知力80以上の者が一人もいない場合、味方の忠誠度がどれだけ低くても気にする必要が無い。
余談
- 武将を捕らえると忠誠度が非常に低い状態になるはずだが、忠誠度55~57くらいの武将を捕らえた場合に忠誠度67に上昇しているバグがある。
- 住民反乱が頻発するといずれ都市人口が0人にまで低下してしまうが、その状態でも税収は入るし徴兵はできるので、わざと不自然な状況にして遊ぶこともできる。
- 戦争時にいったんコマンドを入れてからキャンセルすることで機動力を無限に使い続けられる裏技がある。
- 武将の名前は漢字ではなく片仮名で表記されており、同音の武将が登場できなくなっている例がある。
「袁紹」のために「袁尚」がいない、「張松」のために「張昭」がいない、など。 - 武将総数255人と少ない容量の中で、やけにマイナーな武将が登場している。特に有名なのが媯覧(ギラン)で、体力96、知力8、武力54、人徳10、忠誠度7という極端な能力値で話題を集めた。
続編
関連動画
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