ミニ四駆版のアバンテJr.及びその後継機についてもここに記す。
概要
1980年代、田宮模型はタミヤRCカーグランプリや月刊コロコロコミックなど巧みなメディア戦略により、爆発的なラジコンブームを引き起こした。
しかし、オフロードバギーは徐々に「空き地で走らせて遊ぶもの」から、次第に競技色を強めていく。
誰でも組み立てられることと美しさをポリシーとしたタミヤ車は、全日本選手権のような本格的なレースの場において京商のオプティマ、ヨコモのドッグファイターなどの他社モデルに大きく遅れを取ってしまう。
この時代の競技用モデルは「見た目」より「速さ」を追求し、整備性や強度を優先。さらに危険なバッテリーなどを使用し、一部のマニア以外には太刀打ちできない世界に足を踏み入れていた。
1988年。そのような状況下で、田宮模型が総力を結集させて作り上げた初めてのレース専用マシン…それがアバンテである。
他社とは異なり、美しさも視野に入れたそのシャープなフォルムは多くの少年の心を掴み、高い駆動効率と様々な新機軸が盛り込まれたシャーシは全日本選手権で上位入賞も果たした。
名前は英語及びフランス語で「前衛的な」を意味する「avant」に由来する。
廉価版にバンキッシュ、上位機種にイグレス、後継機にアバンテ2001がある。2WDになるとアスチュート。
2011年に「アバンテ(2011)」として改良版が再販された。
ウィングには「Being nuts is NEAT!」と書かれている。「NEET」ではなく「NEAT」であり、直訳すると「夢中になることは素晴らしい」という意味。
ちなみに「TRF(タミヤレーシングファクトリー)」は、元々このアバンテのテストチームとして設立されたものだった。
ミニ四駆版
アバンテJr.
当時第1次ブーム真っ直中だったミニ四駆にも弟分であるアバンテJr.が発売された。こちらも初のレース用シャーシであるTYPE2シャーシを採用したモデルで、発売当初はどの小売店でも入荷待ちとなるほど大人気となった。
TYPE2はTYPE1で発覚した多くの問題点を解決し、VSシャーシに至るまでの基礎を確立させたといっても過言ではない。コロコロ読んでフルチューンしたファイヤードラゴンが、ノーマルのアバンテにブッちぎられたという逸話すらあるほど。
漫画では樫本学ヴ作『爆走!ダッシュクラブ』で主人公のマシンとして登場している。
バリエーションに「アバンテJr.ブラックスペシャル」、21世紀に入ってシャーシをVSに変更してリメイクされた「アバンテRS」、限定品の「アバンテRSムラサキスペシャル」、コクピットのみクリヤー化した「アバンテJr.スモークキャノピー」がボディ単体でGUPとして発売。
また、「ア前テ アメリカン」という、前ちゃんプロデュースの肉抜きボディ(肉抜きだけでなくサスなども省略)が販売されていた。こちらは「アゼンテプログレス」という名前で2012年にリメイク予定だったが、何故か急に販売停止になってしまった。
小学館発行のミニ四駆ヒストリカルガイドによれば、ミニ四駆の中で一番売れた車らしい。
アバンテ2001Jr.
発売年は2001年・・・ではなく1990年。「2001」は新世紀を標榜するマシンという意味でつけられた。
こしたてつひろ作『ミニ四駆RC伝説 燃えろ!アバンテ兄弟』で、現実と同じくRCカーの弟分として活躍した。
『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』内では「アバンテまこと」こと、こひろまことのマシンとして印象深い。
バリエーションに「アバンテ2001Jr.ブラックスペシャル」、シャーシをVSに変更したリメイク版がある。
通称「ニセンテ」
スーパーアバンテ
RCカーのJr.版ではなく漫画からの立体化。アバンテJr.のサスペンションがサイドウィングになり、コックピットのエアインテークが初めから開口されている。
漫画&アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』でフルカウルの原型として登場。特にプロトセイバーはフロントカウルを除くとよく似ている。
バリエーションに「スーパーアバンテ(VSシャーシ)」、「スーパーアバンテ(VSシャーシ)ホワイトスペシャル」、「スーパーアバンテRS」がある。
通称「スパンテ」
アバンテMk.Ⅱ
シャーシ:MS
アバンテJr.やアバンテ2001Jr.を思わせる深いメタリックブルー、従来のアバンテとは一線を画した直線的なデザインが特徴。ホイールはゴールドの専用カラー。ちなみに、N-01を装備した最後のマシンである。
少年アクセルの「吉祥寺フェニックス」や小学館学年別雑誌の「ミニ四レーサー カケル」で初期の主人公マシンとして活躍。
バリエーションに、「アバンテMk.II ブラックスペシャル」、「アバンテMk.II Vスペシャル」、GUPでポリカーボネイトボディ。また、ラメブルーの塗装を施したバージョンやシルバーメッキの物もある。
通称「ニバンテ」
ミニ四駆オリジナルのアバンテであるが、後に1/10RCバギーとして逆輸入されている。4WDバギーとしては中堅モデル。
アバンテX
シャーシ:MS
アバンテMk.2の強化版として登場。
ブラックスペシャルなどを含め、アバンテの10番目として「X」の文字が宛がわれている。
ボディ形状に差異は無いが、素材をホワイトカラーのポリカABSに変更し、ステッカーも炎をあしらった専用のものに変更。
ノーズユニットはT-02とし、ホイールも専用の蛍光グリーンになった。まんまマグナムセイバーカラーである。
少年アクセルの「吉祥寺フェニックス」で主人公の二代目マシンとして活躍。
アバンテMk.III アズール、アバンテMk.III ネロ
シャーシ:MS
アズールとネロのボディの違いは成型色とシール、ウィングのみ。ネロの方はシャーシに軽量センターシャーシを採用している。タイアップ商品など、バリエーションが非常に多いため以下に列挙する。
- レッドスペシャル(アズール)
- クリヤースペシャル(アズール)
- コンペティションパック(アズール)
- 東北楽天ゴールデンイーグルス ホームカラーエディション(アズール)
- 東北楽天ゴールデンイーグルス Mr.カラスコエディション(アズール)
- エヴァンゲリオン初号機Special(アズール)
- エヴァンゲリオン初号機覚醒Ver.(アズール)
- ホワイトスペシャル(ネロ)
エアロアバンテ
シャーシ:AR
ミニ四駆誕生30周年を迎えた2012年、新シャーシを採用した新しいミニ四駆REVシリーズがいよいよ発進。
以前のアバンテのイメージを受け継ぎつつ、より流麗なデザインが特徴。フロントウイングの整流板やリヤウイングなど、フォーミュラカーのデザインも取り入れている。
リヤウイングは、従来の上からはめ込む方式ではなくボディ裏からはめ込むようになっている。
ボディには3箇所エアインテークがあり、コックピット両脇の物は初代やMk-2と違いちゃんと開いている。また、フロントノーズの物はシャーシ側のエアインテークと連動していて、効率よく空気を取り込めるようになっている。
新規設計のARシャーシはモノコック構造で強度十分かつ素組でもなかなか速く、早速オータムカップ2012で結果を出している。
通称「エロンテ」
Mk-IIと同じく、後に1/10RCバギーとして逆輸入された。こちらは4WDバギーの入門者向け立ち位置。
関連動画
関連項目
- 3
- 0pt