グフとは、「機動戦士ガンダム」シリーズに登場するモビルスーツ(搭乗型ロボット兵器、略称MS)の一つ。
ジオン公国軍の陸戦用モビルスーツで形式番号はMS-07、基本カラーは青色。主な搭乗者はランバ・ラル。「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」の言葉通り、ザクと比べて装甲・運動性が格段に向上している。
宇宙世紀以外を舞台にした作品では、機動戦士ガンダムSEED DESTINYに登場している。⇒グフイグナイテッド
概要
ジオン公国軍が陸戦用・対MS格闘戦用に開発した機体で、地上戦に特化した初のMS。それ以前に使用されていたザクⅡJ型(ザクⅡを地上での運用に特化したもの)よりも装甲・運動性能が高く、地球重力下での戦闘に適している。
宇宙世紀0079年3月1日、ジオン軍は地球降下作戦を行い、重力の支配する大地に降り立った。ザクⅡを地上用に改修したJ型を主力としていたが、元は宇宙用の機体であるため不要な部分が多く、性能向上の余地があった。そこでジオン軍は新たに地上専用のモビルスーツを開発する事とし、ジオニック社が請け負った。ザクⅡをベースにしているものの、新規パーツが60%以上に及び、実質中身は別物と言っても過言ではない。宇宙での運用を完全に切り捨て、将来連邦軍がMS開発に成功する事を見越して格闘戦に特化させるなど意欲的な作りとなっている。3月18日の第三次降下作戦から実戦配備が始まり、キャリフォルニアベースやグラナダで製造。比較的量産が早かった事からザクほどではないにしろ、各戦線で見かける存在だった。中にはドダイYSに乗って機動力を高めた機もある。
オーストラリア戦線に多く配備されたようで、レインボゥ・バレーなど各所に出現。荒野の迅雷の異名を持つヴィッシュ・ドナヒュー中尉の搭乗機でもあり、要衝アリス・スプリングスを巡る戦闘に参加した。以降、彼はゲルググに乗り換えてしまったため出番は無くなったが、それでも小説版ではグフ6機編成の錬度の高い部隊が登場。ヒューエンデン基地攻防戦で主人公レイヤーの駆るジムを後一歩の所まで追い詰めた。
戦況悪化に伴って宇宙用の機体に改造する構想もあったが実行されず、最後まで地上専用機のまま地球で戦い続けた。
機体説明
初出は『機動戦士ガンダム』第12話。敵側の新型高性能機という扱いでエースパイロットと共に登場し、ガンダムを苦しめた。ジオン軍内部の不和などいくつかの幸運が重ならなければガンダムは敗北していたとされる。
初登場時は新型の高性能機であることからか、エースパイロットで白兵戦を得意とするランバ・ラルが使用していたが、のちに多数登場するシーンによって量産化されたことが示唆される。また、最初に実戦で使用したランバ・ラルのパーソナルカラー*1が青だったため、量産化されたグフも同じ青色で統一された。これはフィルムの使いまわしから生まれた設定である。
また、グフを駆るランバ・ラルは人間味のあるベテラン軍人の典型としてロボットアニメの歴史に名を残しており、劇中でも軍人としてだけでなく人間としても経験豊富な大人として描かれている。彼に戦場以外の場面で人間味に触れた主人公のアムロ・レイは精神的に未熟な自分を鼓舞するように「あの人に勝ちたい」と吐露している。
ガンダムシリーズにおいては、ザクの次に出てきたMSであることとランバ・ラル隊のエピソードの印象深さから記憶に残っている人は多いが、陸戦用という設定が足かせとなり劇中での登場頻度は低い(作品後期では舞台が宇宙に移ってしまう為。ドムはリックドムとして終盤まで登場できたのとは対照的である)。
ザク、ドムやゲルググと比べてバリエーションも少ない。Zガンダムなどの続編でもグフベースの発展型は殆ど見られず、ガンダムシリーズにおけるグフの扱いはお世辞にも良いとは言えないものだった。この冬の時代は初代アニメから15年以上も続き、グフの再評価は1996年から始まったOVA「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」のグフ・カスタム登場まで待たねばならなかった(グフ・カスタムについては、該当の記事を参照)。
グフ・カスタム以前に登場したグフに近い機体としては、1995年に発売されたSFC用ゲーム「機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079」のMSイフリートがある。グフとドムの中間に位置する陸戦用MSであるが、これは初期設定ではグフと関連付けられておらず、発売後に上記の解釈が広まったものである。なお「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」にグフ・カスタムの代わりにイフリートが出る予定もあったという。
*1 ジオン軍には功績のあるエースパイロットが自分専用の色でMSを塗装できる制度がある
グフの兵装
近接格闘戦に特化しており、専用装備として実体の刀身を持つヒートサーベルと腕に装備できるグフシールドがある。また、固定装備として右腕のヒートロッド、左手に5連装75mmマシンガン(フィンガーバルカン)がある。ヒートロッドは腕部に収納可能な鞭状の武器で叩きつけたり絡ませたりして使用し、高圧電流を流すことが出来る。なお、ザク同様にマシンガンやバズーカを装備することも出来るが、固定装備の都合上火器の扱いは得意ではない。
グフの登場履歴・バリエーション
アニメおよび外伝的ストーリーを扱ったゲームに登場したグフと主なパイロットの簡単なまとめです。他にあれば追加・改変等お願いします(機体がカタログ的に登場するギレンの野望系SLGは割愛しました)。
- YMS-07 プロトタイプグフ(MSV)・・・グフの初期試作タイプ。ザクⅡJ型のパーツが随所に使われており、グフ特有の睨み顔でない、両腕の固定武装が無い、脚のパイプが露出している等の差異がある。
- YMS-07B 先行量産型グフ(機動戦士ガンダム)・・・ランバ・ラル大尉が使用したグフ。型番はのちに付け足された設定である。
- YMS-07B マ・クべ専用グフ(MSV)・・・ゴテゴテの悪趣味な装飾が施されたマ・クベ専用のグフ。式典用だが実戦参加も可能。
- MS-07A 初期量産型グフ(ゲーム「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」)・・・この段階ではフィンガーバルカンは装備されておらず、左手は通常のマニピュレーターとなっている。ゲーム中に説明は無いが、"荒野の迅雷"ヴィッシュ・ドナヒュー中尉の機体が時期的にこれであるとされる。
- MS-07B 後期生産型グフ(機動戦士ガンダム)・・・アニメで中盤に登場した量産機。また、MSVの設定で登場するエース・パイロットも使用している。
- MS-07B-3 グフ・カスタム(機動戦士ガンダム 第08MS小隊)・・・ノリス・パッカード大佐が単騎で08小隊と戦った機体。ガトリングシールドを装備している。B3グフとも呼ばれる。詳細はリンク先を参照。
- MS-07H グフ飛行試験型(MSV)・・・MSVが初出だが、一年戦争後に連邦軍が接収して使用しているとしてZガンダムに数カット登場した。
- MS-07H-4 グフ飛行型(MSV)・・・MS-07Hの後継機だがメインエンジンの調整が難しく、エースパイロット・フランク・ベルナールがテストでこの機体に搭乗中に空中爆発、彼も帰らぬ人となってしまった。
- MS-07H-8 グフフライトタイプ(機動戦士ガンダム 第08MS小隊)・・・劇中でアプサラスⅢの護衛機として登場。小説版ではノリス・パッカード大佐も使用する。
- MS-07C-3 グフ重装型(MSV)・・・両手にフィンガーバルカンを装備、装甲を厚くした結果、グフの機動性が損なわれてしまった。『ガンダムUC』でも登場し、トリントンに向けて古城跡から颯爽と出撃するが・・・。
- MS-07C-5 グフ試作実験機(MSV)・・・これが描かれた当時はグフとドムの中間機体とされたが、現在ではグフの亜種とされる。
- MS-07G-1 グフ・ヴィジャンタ(MSV-R)・・・グフをベースに火力と機動力の向上を目指した機体。設計段階で難航し、火力向上型と機動力向上型の2機に分けて補い合うコンセブトに変更して開発された。グフ・ヴィジャンタは機動力向上型にあたる。武装は右腕に移動を補助するワイヤー射出器、左腕に爆裂策、格闘武器としてリムーバル・メイスが装備され、これらは戦闘はもちろん障害物破壊にも用いられた。他にもザクマシンガンなども装備していたようである。
- MS-07G-2 グフ戦術強攻型(MSV-R)・・・上記のグフ・ヴィジャンタと共に開発された機体。こちらは火力向上型にあたる。背部に120mmガトリング砲を装備し、左腕は火炎放射器やライフルなど複数の武装をまとめたガンパックに換装している。兵装による重量の増加を防ぐため、脚部のスラスター追加や機体の軽量化などが図られている。
- MS-07W グフ複合試験型(MSV-R)・・・コックピットにリトル・ドップと呼ばれるドップを小型化した脱出装置を備えた試験機。コアファイターと違って戦闘中の合体はできないが、ドップ部分の推進力により高い機動性を有する。シールドを左右に装備しているのは空中での飛翔力を増すためとされる。
- OMS-07RF RFグフ(ゲーム「機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122」)・・・一年戦争の数十年後の時代に作られたグフを模した機体。宇宙戦闘も可能。
以下は宇宙世紀とは異なる世界を舞台とした作品に登場するグフの名を持つ機体である。
- ZGMF-X2000 グフイグナイテッド(試作型)(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
ザフト軍が開発した新型試作機。重力下での飛行能力を持ち、宇宙戦も可能な強襲用MS。基本装備は宇宙世紀のグフと同種だが武装がビーム仕様になっている。ハイネ・ヴェステンフルスがパーソナルカラーで使用した。 - ZGMF-2000 グフイグナイテッド(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
ザフト軍の強襲用MS。量産化が見送られたため少数が指揮官・エース専用機として配備されるに留まった。劇中ではアスラン・ザラがミネルバからの脱走に使用した他、白カラーの専用機をイザーク・ジュールが使用した。また、キラ・ヤマトの乗ったストライクルージュを性能差と機体数を武器に中破まで追い込んでいる。 - ZGMF-X2000CQGB&S グフクラッシャー(機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSV)
対MS格闘戦に特化させた機体。火器を使用せずに敵を倒すべく左腕に巨大なハサミのインパクトバイスを、バックパックに電磁鞭スレイヤーウィップに取り付ける破砕球(ガンダムハンマー系武器)を装備している。
- (MS-07)R35 グフR35(ガンダムビルドファイターズ)
同作に登場するMS-07の改造ガンプラ。製作者兼パイロット(ガンプラビルダー)はラルさん。本来地上戦用のグフを魔改造徹底的に改修した機体で外見上は宇宙用スラスターの増設や武装の追加など比較的小幅である。・・・が、その戦闘能力はグフを遥かに凌駕し、というか数百機は居る敵機を一瞬で殲滅するなど最後の戦闘なのに主役陣を一気に踏み台にするデタラメな強さで「グフの面かぶった戦略兵器」としか言えない。ラルさんの卓越した工作技術と戦闘スキルで「蒼い巨星」の異名に恥じない雄姿を見せる。
関連動画
関連項目
親記事
子記事
兄弟記事
- ザク
- ガンダム
- Vガンダム
- ギャン
- デスティニーガンダム
- インフィニットジャスティスガンダム
- ゴッグ
- グフ・カスタム
- ウイングガンダムゼロ
- ズゴック
- ガンタンク
- ウイングガンダム
- ドム
- GM(機動戦士ガンダム)
- バスターガンダム
- デビルガンダム
- デュエルガンダム
- フリーダムガンダム
- ストライクガンダム
- イージスガンダム
- ガブスレイ
- ハンブラビ
- ガンダムヘビーアームズ
- シャイニングガンダム
- ゴッドガンダム
- マスターガンダム
- ブリッツガンダム
- バウンド・ドック
- プロヴィデンスガンダム
- ガンダムMk-Ⅱ
- インパルスガンダム
- デストロイガンダム
- フォビドゥンガンダム
- ガンダムアストレイ ミラージュフレーム
- レイダーガンダム
- ガンダムプルトーネ
- カラミティガンダム
- ガンダムジェミナス
- マゼラン
- ハイペリオンガンダム
- ガンダムMk-Ⅲ
- ガンダムディフォルティータ
- ボリノーク・サマーン
- MS-01
- ガンダムGファースト
- クロスボーン・ガンダム
- ハインドリー
- デプ・ロッグ
- RFシリーズ
- ザムドラーグ
- ゲーマルク
- ゾロアット
- ドムトルーパー
- フライ・マンタ
- アカツキ(MS)
- ザンネック
- ユークリッド(MA)
- ミストラル(MA)
- ダハック
- ダーマ(MA)
- カバカーリー
- ライジングフリーダムガンダム
- イモータルジャスティスガンダム
- ズゴック(ガンダムSEED)
- ゲルググメナース
- ギャンシュトローム
▶もっと見る
- 10
- 0pt