クジラ(経済)とは、マーケットに住むクジラのことである。
概要
当記事ではクジラ買いについても説明する。
経済用語におけるクジラとは日本のマーケット市場における資産の大きい機関投資家たちのことである。2015年時点ではGPIFや3共済、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険などを指し示してクジラと呼びクジラが買い込むことで株価などが大きく上昇することを「クジラ買い」と呼ぶ。
「日本の株式市場、その小さな池で、大きなクジラが暴れること」をイメージして付いた名称だが、実際には日本のマーケットはけして小さくなく、単純にクジラと呼ばれる機関投資家たちの規模が大きいだけである。
単語が確認できるのはゆうちょ銀行のコール市場参加後からである。2007年10月16日、国債運用で利益が出なくて苦しんでいたゆうちょ銀行がコール取引(短期金融市場)に参加した。その結果、運用規模が大きすぎてコール市場の挙動がおかしくなったことから「クジラが沼で暴れている(迷惑極まりない)」といわれるようになった。
なお、農林中央金庫などは古くは2000年頃から「ノーチュー・マネー」として世界に知られており、世界的に一番名の売れた古参のクジラは世界有数のヘッジファンドである農林中央金庫だったりする。
下記の一覧を見ればわかるように財政投融資に縁が深かった組織が多い。つまり、かつては公共セクターに流れていた巨額の資金が、それぞれの理由から個別運用されるようになった結果としてマーケットを揺らすようになったのである。どちらにせよ財政投融資は21世紀の現在において巨額資金を運用するには問題が多すぎるため、良し悪し関係なしに個別運用させるしかないというのが現状となっており、GPIFの運用益などは日本国の年金を支える一助になっている。
注意すべき点としてはクジラと呼ばれてはいるが、基本的にはただの機関投資家であり、組織として当然の利益を求めて右往左往しているだけという点である。
各証券会社ではクジラの動作をみてクジラ警報を発令している。また、このクジラの動きを見ていることをホエールウォッチングと呼んでいる。
一覧
以下がクジラと呼ばれる機関投資家たちである。なお、あくまで俗称であることに注意が必要である。2015年上半期のおいては5つ(GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人、共済年金、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日銀)の組織を数えて5頭のクジラと呼ぶ雑誌メディアが多い。(カッコ内は運用資産、日銀は特殊である為、運用資産を記載せず)
- ゆうちょ銀行(205兆1,001億円)
- GPIF(149兆1,987億円)
- 農林中央金庫(99兆0,389億円)
- かんぽ生命保険(80兆9,098億円)
- 全国共済農業協同組合連合会(52兆3,556億円)
- 日本銀行
規模比較の参考として、政府系ファンドとしてアブダビ首長国のアブダビ投資庁(ADIA)の2012年の運用額が6,270億ドル、一ドル113円として約70兆851億円であり産油国のもつファンドとしては最高額となっている。なお、ADIAが大きな額を持っているのは原資として湧き出す石油を使用しているからである。
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外部リンク
- 現在の日本の株式市場を支配する「5頭のクジラ」とは?
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- 「クジラ買い」の爆発力 公的マネー、需給に大変化 日本経済新聞 2015年3月12日記事
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- GPIFクジラゆえの苦悩、株式アクティブやオルタナ拡大課題か Bloomberg 2016年8月1日記事
- 中小型株に「鯨」の影 成長銘柄求め投資家も追う 日本経済新聞 2016年8月3日記事
- 【インサイト】英国のクジラ、中銀は手なずけて大暴れ回避できるのか Bloomberg 2016年8月5日記事
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- 「2頭のクジラ」株高演出 公的マネー、増す存在感 朝日新聞 2017年2月26日記事
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