007とは、
- 007(ダブルオーセブン)シリーズ - イアン・フレミングのスパイ小説を原作とする人気スパイアクション映画シリーズ。007とは、主人公「ジェームズ・ボンド」のコードネームである。
- 007(ゼロゼロセブン) - 石ノ森章太郎のSF漫画「サイボーグ009」に登場するメインキャラの一人で、ゼロゼロナンバーサイボーグの7体目。人間としての名前は「グレート・ブリテン」。
以下、上記の1.について説明する。
右の絵は、『ロシアより愛をこめて』のポスターでワルサーを構える初代ボンド、ショーン・コネリーの姿。まだふさふさ。
職業についてであるが、スパイのイメージが先行するが、正確には軍人。階級は海軍中佐(予備役中佐となっている場合もある)。
スパイ活動中は主に「ユニバーサル貿易」という架空会社の名刺を使う。
概要
主人公「ジェームズ・ボンド」はイギリス秘密情報部MI6のメンバー。
殺人許可証(殺しのライセンス)と「007」のコードネームを持つ彼が、優れた能力とハイテクアイテムを駆使して、奇想天外な活躍をするスパイアクションである。
ボンド・ガールと呼ばれる美女との絡みも見所のひとつである。
過去にテレサ(通称「トレーシー」)という女性と結婚した経験がある(「女王陛下の007」)。しかしハネムーンに行く途中、抹殺したはずであった犯罪組織「スペクター」の首領エルンスト・ブロフェルドによってテレサは殺されてしまう。ボンドは傷心の為にしばらく休職しており、ショックは相当大きかったようだ(※映画では2代目ボンドのジョージ・レーゼンビーを降板させ、ショーン・コネリーをカムバックさせた事を取り繕うために「ボンドの休職」を使った)。「私を愛したスパイ」でも妻に関する話題は話をそらし、第12作「ユア・アイズ・オンリー」の冒頭はボンドがテレサの墓参に来るところから始まっている(ちなみに、そこに宿敵ブロフェルドがボンドを襲撃するも、煙突に突き落として返り討ちにする。妻を殺した宿敵の最期はあっけないものであった)。
4代目ボンドのティモシー・ダルトン時代でも結婚を進められると嫌な顔をし、友人のフィリックス・ライターが「彼(ボンド)は過去に結婚した事があるんだよ」と話している(「消されたライセンス」)。
「007」は「ダブルオーセブン」が正しい読み方として現在は定着しているが、実際には80年代末から90年代までは「ゼロゼロセブン」と呼ばれていた(1989年の第16第「消されたライセンス」の日本語吹き替えには「ゼロゼロセブン」となっているバージョンもある)。正式名称として使われていたのは7作『ダイヤモンドは永遠に』までであったが、実質的にはピアース・ブロスナンのボンド作品以後、「ダブルオーセブン」に統一された。
映画
60年代より映画化され、現在までに実に23作が公開されている人気シリーズとなっている。
多くの場合、007といえば、原作小説ではなくこの映画シリーズを指す。
ボンドを演じた俳優はこれまでに6人。ボンドに抜擢された俳優は登板本数ではなく、契約年数、つまり「どれだけの間“ジェームズ・ボンド”だったか」というのが評価の基準となっている(タイアップ商品、スポンサー企業のコマーシャルや宣伝・広告にジェームズ・ボンドとして出演する事なども関係する)。その基準でいえば、3代目ボンドのロジャー・ムーアが歴代最長、次いで初代ボンドのショーン・コネリーと5代目ボンドのピアース・ブロスナン。最短は2代目ボンドのジョージ・レーゼンビー。もっとも、ボンド役降板後も紹介およびプロフィール欄には「元ジェームズ・ボンド(あるいは“ジェームズ・ボンド役、(登板年数・作品名)”」と必ず書かれる他、007シリーズの記念行事には歴代ボンドが集結する。
シリーズ50周年を迎えた際には記念として歴代ボンド6人が集結し、共通するスタイルのもと(カジノにおいてタキシードを着用し、タバコを片手にウォッカ・マティーニを飲む)でポーズをとるポートレートが撮影された。
演じる俳優ごとに、ボンドのキャラクターはもちろん、作風が大きく異なっており、ファンの間でも好みが分かれている。例えば、あくまでもスパイものを追及するならば初代ボンドのショーン・コネリーやジョージ・レーゼンビー、軽妙で社交的でコメディー的な作品を見るならばロジャー・ムーア、ハードボイルド系で人間臭さが出ている作品はティモシー・ダルトン、ダンディで軽やかなピアース・ブロスナン・・・など、それぞれの個性が出ている事もまたこの作品が長く愛される理由である。上記の通り、ショーン・コネリーとロジャー・ムーアが長い期間ボンド役を務めたので、彼ら以外の歴代ボンドは評価される際、「コネリーと比べて~」「ムーアと比べて~」とファンやマスコミの間で前置きされることもしばしばある。
しかし、作風の違いはあるものの、シリーズを通して恒例の描写は一貫して持たれている。
たとえば、"Bond,James Bond."とボンドが自己紹介するシーンや、自らを狙う銃口に向かって華麗に撃ち返すボンドを狙撃者側から映した「ガンバレル」と呼ばれるオープニングシークエンスなどである(いずれも1作のみ例外)。「ボンド。ジェームズ・ボンド。」と「Vodka Martini,Shaken,not stirred(ウォッカ・マティーニ、ステアではなくシェイクで)」のセリフは「世界の映画ファンが選ぶ名セリフランキング」で上位を獲得し続けている。
ルパン三世、METAL GEAR SOLID3 SNAKE EATERなど、このオープニングシーンを含め、同シリーズをオマージュした作品は世界中に多く存在する。
作品ごとに、そのタイトル名やそれをイメージするものを歌詞に含んだテーマ曲があり、公開当時の世界のトップアーティストを豪勢に起用している。タイトルソング(テーマソング)は基本的に毎回違ったアーティストや歌手が担当するが、シャーリー・バッシーが唯一3作品のタイトルソングを歌っている(「ゴールドフィンガー」「ダイアモンドは永遠に」「ムーンレイカー」の3作品。「サンダーボール作戦」のタイトルソングとして「kiss-kiss,bang,bang」という曲も歌ったが、作品タイトルが入っていない事と2作連続でバッシ―が担当する事になるということで劇中歌となり、急きょトム・ジョーンズの「サンダーボール」を収録してタイトルソングにした)。
第1作「Dr.No」のオープニングタイトルはおなじみの「ジェームズ・ボンドのテーマ」。また「ロシアより愛をこめて」はオープニングがインストゥルメンタル(エンディングはマット・モンローが歌を担当)、「女王陛下の007」はタイトル自体がインストゥルメンタルとなっている(劇中歌をルイ・アームストロングが歌を担当)。
シリーズ40周年記念作品となった第20作「ダイ・アナザー・デイ」ではタイトルソングを担当したマドンナはフェンシングハウスの女主人役として劇中にも出演。タイトルソング担当アーティストが女優として作品中に出演するのは彼女が初めて。(タイトル映像にアーティストが出演する例は「ユア・アイズ・オンリー」でシーナ・イーストン、「トゥモロー・ネバー・ダイ」でシェリル・クロウがある)
作品冒頭はガンバレルの後、007が登場して活躍し、オープニングへとつながっていく。ガンバレルは「サンダーボール作戦」からボンド役の俳優本人が演じた(初期3作品におけるガンバレルのボンド役はスタントマンのボブ・シモンズ)。
オープニング映像は英国ロイヤルバレー団によるものの他、近年になってからはCGやアニメーションを駆使したデザインのオープニングが流れる。第16作「消されたライセンス」までは一貫してモーリス・ビンダーによって映像が作られ、第4作「サンダーボール作戦」ではアカデミー賞で最優秀視覚効果賞を獲得している。
本作品はイギリス映画の代表的存在である事から、制作に際して英国政府が最大限のバックアップをする。ロンドン市内での撮影では道路封鎖や、特例によって猛スピードでのチェイスシーンや爆破シーン撮影の許可を出す他、実際に使われているパトカーや警備用バイクを登場させる(ただし破壊や爆破によって壊されるシーン以外)。モブキャラクターとして現職の警官も出演させている。協力は警察だけではなく英国海軍も同じで、軍基地および戦艦・基地をロケ現場として提供する。やはりこちらもモブキャラクターとして現役の軍人が出演しており、無線交信のシーンなどでリアルな様子を再現している。アメリカの陸・海・空軍も協力的で、沖縄にある各基地での撮影も行われている。
映画概要(映画化までの道のりとその行程)
原作者であるイアン・フレミングは実際に英国海軍情報部で諜報活動を行った経験があり、それを基にして書き始めたのが007シリーズとなる。処女作は「カジノ・ロワイヤル」(映画第21作の原作)。それから1964年に没するまで執筆活動を続けるのであるが、本自体の売れ行きは当初芳しいものではなかった。本格的に注目されるようになったのはアメリカ大統領ジョン.F.ケネディと妻ジャクリーンが愛読書に「ロシアより愛を込めて」(映画第2作原作)を挙げた事が知られると、売れ行きが増えていくことになった。
フレミングの死後は未亡人の許可を得て、「フレミング」名義で何人かの作家や脚本家が007シリーズを執筆して行く事となった。ティモシー・ダルトン時代の第16作「消されたライセンス」および、ピアース・ブロスナンが登板した4作品はジョン・ガードナーとレイモンド・ベンソンによって書かれたものである(あくまでも原作者名義はイアン・フレミング)。
いわゆる「007」シリーズの連作映画化前の1954年、アメリカで「カジノ・ロワイヤル」が連続テレビドラマとして放送された。この時のジェームズ・ボンドはバリー・ネルソンが演じている。この事でハリー・サルツマンとアルバート・ブロッコリは「カジノ・ロワイヤル」の映像化権を手にする事が出来なかった(なお、すでにショーン・コネリー主演による「007シリーズ」が既に始まっていた1967年にもピーター・セラーズ、デイヴィッド・ニーヴンらが出演する映画「007/カジノ・ロワイヤル」が製作されているが、その内容は原作とは全く異なるドタバタ劇)。結局「カジノロワイヤル」の映像化権をイオン・プロダクション(バーバラ・ブロッコリ)が手に入れたのは2006年であった。
時代は戻って、1960年ごろ、売れ行きが伸びていたフレミングの007シリーズに目を付けたハリー・サルツマンはいち早くフレミングに映像化の許可を得る。アルバート・ブロッコリも個別にフレミングに映像化の許可を求めたが、サルツマンに委ねた事を放すと、ブロッコリはサルツマンに接触して合同で制作して行く事に決まり、イオン・プロダクションを設立した。
1962年、ショーン・コネリーを主役ジェームズ・ボンドに迎えて第1作「ドクター・ノオ」を制作。低予算で制作されたが大ヒットとなり、主演のコネリーも一躍スターダムに上り詰めた。シリーズ化される事となり、第2作「ロシアより愛を込めて」も続いてヒット。第3作「ゴールドフィンガー」、第4作「サンダーボール作戦」(製作開始当初、第1作はこの作品になる予定であった)を経て、1967年に第5作「007は二度死ぬ」では日本が舞台となり、日本の公安庁トップ「タイガー田中」に丹波哲郎、ボンドガールに若林映子・浜美枝を迎えて製作された(この時、ロケ地であった姫路城の一部を壊してしまうという事故が起きた)。この作品でボンド・カーとなった「トヨタ2000GT」は、歴代ボンドカーの中でも特に人気である。ショーン・コネリーはこの作品でボンドを降板する事になった。
コネリーの後継となる俳優を選ぶのと同時に、サルツマンの提案によって第6作が「女王陛下の007」に決定。2代目ボンドとしてジョージ・レーゼンビーを迎える(後にボンドを演じるロジャー・ムーアもオファーを受けていた)。ところが前5作よりも興行収入が芳しくなかった事に加えて、オーストラリア出身であったレーゼンビーの英語発音の悪さ(いわゆる“オージー・イングリッシュ”)や、演技のたどたどしさ(長身ゆえに動きががさつに見えてしまう)などが颯爽としたボンド像に似合わないのではないかという意見が集中した為、レーゼンビーはこの一作だけで降板となってしまった。この事については、レーゼンビーの態度が悪かった等々の噂もあるが、それが直接的な降板原因ではなかったとブロッコリもサルツマンも述懐している。レーゼンビーは「もう1,2作はボンドを演じるつもりでいた」と回顧しており、ブロッコリからは1作のみで降板させた事を詫びる電話がかかってきたという。
この「女王陛下の007」は以後のボンドの歩む歴史において重要なポイントを描いた(結婚と妻との死別)ものである事や、ボンドとテレサが次第に惹かれあっていくというラブストーリー的展開など人間ドラマの重視、また後のティモシー・ダルトンが演じたボンド像に近い、一人の人間としてのボンドの姿が描かれた作品である。アクションシーンはバリエーション豊かではあるが舞台のほとんどが雪山の中とあって単調に感じられるとの意見もある。しかしアルプスの頂上にある研究所という閉ざされた空間における諜報活動、敵との対峙が多く終始緊張した雰囲気を出している本作は「スパイものらしさが出ている」としてファンの中では割合人気が高い。映画評論家も007シリーズの中で「最も好きな作品」として紹介される事も多く、近年再評価されている。
ジョージ・レーゼンビーを1作だけで降板させたことによって次作のボンドを誰にするかが問題となった。この時も、後に3代目ボンドを演じる事になるロジャー・ムーアに再びオファーがいくも、多忙の為に再び契約がかなわなかった。
紆余曲折があった後に、人気もあったショーン・コネリーを「1作品のみ」という条件でカムバックさせる。第7作「ダイアモンドは永遠に」はブロッコリの提案によって製作された。興行収入は再び上がったが、サルツマン主導であった前作の不振に対してブロッコリ主導となったこの作品は大ヒットを記録した事で、二人の間のパワーバランスが変わり、サルツマンの影響力は弱くなった。最終的にアルバート・ブロッコリがイオン・プロダクションの主導者となったが、シリーズを支えてきたプロデューサーのケビン・マクローリーとブロッコリの間に権利を巡る争いが起き、この問題は長引く事となる。
コネリーは本作品を撮影後、再びボンドに対する熱意が再燃し、独自に007シリーズ映画を製作したいとの意向を示すがイオン・プロダクションは当然ながらそれを拒否し、両者は決裂する。なおもコネリー側は交渉を続けたが、結局話はまとまらず、1982年にコネリーはオリジナルレーベルで「サンダーボール作戦」をリメイクした「ネバーセイ・ネバーアゲイン」を「スターウォーズ」でメガホンを取った経験のあるアーヴィン・カーシュナー監督で制作する。コネリーは以後も続編を制作する意志はあったが、本家の007シリーズには叶わず、1作で終わる事となった。コネリー側とイオンプロダクションは一時対立関係にあったが、後に和解。これによって同作品は007シリーズの「外伝」的な作品と位置づけられた(「ミスター・ビーン」シリーズで有名なローワン・アトキンソンは本作でイギリス大使館員を演じており、後に007のパロディー映画「ジョニー・イングリッシュ 偽りの報酬」を制作している)。
これまでオファーを出すも、多忙の為なかなかOKが出なかったロジャー・ムーアとようやく契約が結べた事で、3代目ボンドが決定した。ウェールズ出身のコネリー、オーストラリア出身のレーゼンビーに変わって、イングランド出身であるムーアがボンドになった事で、初めて原作設定通りの「クイーンズ・イングリッシュ」を話すボンドが誕生した。ムーア・ボンドの初作「死ぬのは奴らだ」(シリーズ第8作)では音楽担当に元ザ・ビートルズのポール・マッカートニーと、ビートルズの元プロデューサーで作曲の才もあったジョージ・マーティンを迎えた(演奏はポール・マッカ-トニー&ウイングス)。コネリー時代の作品で「ビートルズはヘッドホンをして聞く事(“ロックンロールは聞くものではない”という意味)」と皮肉を言われていた人物が音楽担当になった事となる。
軽妙で、時にジョークを交えたテンポ良いセリフ回しを持ち味としながらも、シリアスシーンもラブシーンも無難にこなせるムーアの安定した演技は作品の安定化にもつながった。第9作「黄金銃を持つ男」では原作者イアン・フレミングの従兄弟にあたるクリストファー・リーが悪役スカラマンガとして出演した。第10作「私を愛したスパイ」が大ヒットした事で制作意欲がより高まったことにより、次作予定であった「ユア・アイズ・オンリー」(第12作)の製作を急きょ繰り下げて、ボンドが宇宙で大活躍する第11作「ムーンレイカー」を公開した。本作はフレミング原作であるが、同時期アメリカで「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」「スターウォーズ」といった宇宙モノの映画がヒットしていた事に便乗した作品という一面もある。本作は記念碑的作品の色が強く、現在でもその作品の評価が色々となされる。だが当時最新鋭の宇宙船として開発され、運用される直前であったスペースシャトルを登場させている部分は先見の明があったと言えるだろう(蛇足だが、本作は「2ちゃんねる」実況板を大量に消費した“お化け作品”という一面もある)。
「ムーンレイカー」にも代表されるように、ムーアのボンド作品はこれまで以上に広い舞台をテーマに活躍した。またバラエティー化も図られ初期作品にはペッパー保安官(「死ぬのは奴らだ」「黄金銃を持つ男」)や鋼鉄の歯を持つ巨人ジョーズ(「私を愛したスパイ」「ムーンレイカー」)といった個性的な常連キャラも登場させ、より広い客層を獲得した。第13作「オクトパシー」はショーン・コネリーの007リメイク作品「ネバーセイ・ネバーアゲイン」と同時公開となり話題となった(興行収入の“対決”は、予測通り本家の「オクトパシー」が勝った)。そして第14作「美しき獲物たち」を最後としてムーアは降板。ムーアは1973年から1985年まで、合計7本の作品に登板し、歴代で最長期間ジェームズ・ボンドを演じた。ちなみに、ロジャー・ムーアは初代ボンドのショーン・コネリーの1歳年上で、最終作の時点で57歳であった。ムーアは後に降板理由を「このままだと本当に殺されると思ったからだ」とジョークにしている。なお、ムーアのボンドはロータス・スポーツ(ロータス・エスプリ)をボンド・カーとして使用した。
ロジャー・ムーアの後継において、当時若手俳優として人気を集めつつあったピアース・ブロスナンに注目が集まりオファーが行ったが、ブロスナンもまた多忙のためにボンド役を引き受ける事は出来なかった。結果、もう一人の最有力候補として秋波を送っていたティモシー・ダルトンとの間に契約が交わされ、4代目ボンドが決定した。第15作「リビング・デイライツ」においてダルトンはムーアが作ったヒーロー然としたボンド像とは異なる、人間味の強いボンド像を描き人気を博した。つづく第16作「消されたライセンス」は親友であるアメリカCIAエージェントであるフィリックス・ライターと、彼の新妻デラの悲劇に接したボンドが怒りに燃え、職務を無視して復讐をする、という作品であった。これまでの作品は任務の遂行がメインであったのに対して、本作は任務を無視して個人的復讐を行うというシリーズでも異色の作品であった。今までのボンドらしからぬダーティーなやり方や残酷な方法で復讐を遂行する本作品は同時に、完全無欠ではない人間としてのジェームズ・ボンドの姿が際立つ作品となった。異色作となった「消されたライセンス」の最終的興行収入はそれほど芳しくはなかったが、2代目ボンドの作品「女王陛下の007」と同じく、後年になって再評価されている。
「消されたライセンス」の公開後、ダルトンは数作品への出演契約をしていたが、アルバート・ブロッコリとプロデューサーであったケビン・マクローリー、さらには原作者イアン・フレミングの関係者間における権利を巡る係争が長引いていた事、制作会社であったイオン・プロダクションの経営不振などがあった上に、ハリウッド映画人気の波に押されたこと、そして東西冷戦終局・ソ連崩壊によって“大きな敵(悪役)”が設定しにくくなった事などの影響が重なり、制作が滞っていく。無為に時間だけが過ぎた結果、ダルトンとの契約も切れてしまい(ダルトンは後年「作品が出来ない事でボンドに対する熱意が薄まってしまった」と回想している)、結果的に2作品でボンドを降板する事になった。ダルトンの演じたボンドは知性的でありながらアクティブで人間らしい一面(感情が豊か)も併せ持つ存在として人気があっただけに、早期の降板は惜しまれた(日本では今でも激賞される)。
ダルトン降板後、5代目ボンドにピアース・ブロスナンが決定するまでの間、6年の空白が出来る事となった。1995年、ファンや映画関係者の強い期待やイオンプロダクションの財政状況が持ち直した事を期に、アルバート・ブロッコリと娘のバーバラによってようやく製作が再開され、ピアース・ブロスナンを新しいボンドとして迎え第17作「ゴールデンアイ」を制作した。実は、ブロスナンは既に何度もボンドのオファーが来ていたが、他のドラマ出演の関係上なかなか契約を結ぶことが出来なかった。ロジャー・ムーアが降板時すでに後継候補にも挙がっており、ティモシー・ダルトンがオファーを断り、ブロスナンが承諾していたら「リビング・デイライツ」「消されたライセンス」はブロスナンのボンドになっていた(逆を言えば、トラブルが無ければ「ゴールデンアイ」「トゥモロー・ネバー・ダイ」までダルトンがボンドを演じた可能性もあったという事になる)。まさに“意中の相手”であったブロスナンがボンドに抜擢されることで演者・製作陣ともに意欲的に動くことになった。
約7年ぶりに帰ってきた007シリーズは予想通り大ヒットを記録した。また、様々な媒体ともタイアップ。当時新発売のゲーム機NINTENDO64でスパイアクションゲーム「007 ゴールデンアイ」を発売した。このゲームについては別に項目があるのでここでの詳細な言及はしないが、ニコニコ動画でもおなじみの作品である事は間違いない。(2014年、トークショーに出演したブロスナンがついにこのゲームをプレイする事となった。だが、ゲームは慣れていないという事で敵に見つかり“即死”する)。
続いて第18作「トゥモロー・ネバー・ダイ」ではボンドガールにミシェール・ヨーを迎えた。ボンドガールがアジア人に選ばれるのは「007は二度死ぬ」以来。また前作「ゴールデン・アイ」からボンドをサポートするCIAエージェントのジャック・ウェイド役として「リビング・デイライツ」で敵役ブラッド・ウィティカーを演じたジョー・ドン・ベイカーが出演している(吹替え担当は「リビング・デイライツ」公開時ティモシー・ダルトンの担当をした小川真司)。続く第19作「ワールド・イズ・ノット・イナフ」ではソフィー・マルソーが妖艶な演技を見せた。
2002年、シリーズ20作品目にしてシリーズ40周年記念の作品となった「ダイ・アナザー・デイ」公開後、製作側においてピアース・ブロスナンの後継者選定が始まる(実際は「ワールド・イズ・ノット・イナフ」公開後から製作陣のなかで話題には上がっていた)。当初ブロスナン側は契約継続を求め、次作以降の登板に意欲的であったが、時を同じくしてアメリカで過去にTVドラマ化されて以降版権がイオン・プロダクション側になかった、007シリーズの第1作(イアン・フレミングの処女作)「カジノ・ロワイヤル」の版権を獲得した事で、これまでのボンド像を一新し、「新たなジェームズ・ボンド」を作って行く事に方針が決まる。この事をブロスナン側に伝え、ブロスナンは了承し、降板した。
ブロスナン降板の話題がスタッフや常連キャストの中で表面化すると、ボンドを支えてきた「Q」(実は「ブースフェルド」という名前がある)を長年演じていたデズモンド・リュウェリンも第19作「ワールド・イズ・ノット・イナフ」をもって降板。「逃げ道は最後まで残しておく事だ」という最後のセリフを呟き、長年にわたってボンドを支えてきた「Q」は一線を退いた。降板して間もなく、リュウェリンは自叙伝を発表するが、その発表会後に自家用車を運転中、交通事故死する。皮肉なことに、劇中で歴代ボンドに「車は無傷で返すように」と注意していた本人が自動車事故で世を去ってしまう事になってしまった。
なお「ダイ・アナザー・デイ」には後継のQとして、イギリスの人気コメディー集団「モンティ・パイソン」のメンバーでもあるジョン・クリーズが1作のみ登板した(前作で初登場した際ボンドから“R”と呼ばれていた)。
2006年、6代目ジェームズ・ボンドにダニエル・クレイグを抜擢。クレイグ抜擢の経緯については、数人ほど候補を挙げてカメラテストなどのオーディションを行った結果「最も理想とするジェームズ・ボンドだった」からであったという(なお、この時ユアン・マクレガーやヒュー・ジャックマン、ジュード・ロウ、コリン・ファレルらにも秋波を送っていた事をバーバラ・ブロッコリが話しているほか、3代目ボンドであるロジャー・ムーアの息子ジョフリー・ムーアも有力候補者に挙がっていた)。これまでボンドは「ダークブロンド(栗毛色)の髪を後ろになでつける」というヘア・スタイルであったが、クレイグはブロンドで短髪というスタイルを選んだ。新しいボンドによる第21作「カジノ・ロワイヤル」は、これまでのボンド像(特にロジャー・ムーアやピアース・ブロスナンが作ったボンド像)から一転し、口数が少なくウィット性の少ないハードボイルドな人物となった。
小道具やボンド・カーなども一新。オマージュも含めて、愛用銃を「ワルサーPPK」(もしくはPPK/s)、愛車をアストンマーチンに戻した。(ブロスナン時代は「トゥモロー・ネバー・ダイ」以降、主な愛用銃が「ワルサーP99」になり、ボンド・カーもBMWが採用されることが多かった)。
キャストやキャラクターも一新され、ミス・マニーペニーとQは当初の出演がなかった。また愛妻テレサ・ボンドに並ぶ二人目の恋人ヴェスパー・リンドが登場したが、テレサと同じく不慮の死を遂げてしまう。なお、一新後もジュディ・デンチは引き続き「M」として出演した。ただしブロスナン時代の「M」とは別の人物であり、性格も違っている(「M」についてはジュディ・デンチを継続出演させるか否かで議論が起きたが、結論が得られず「スカイ・フォール」までペンディングされた)。ピアース・ブロスナン時代には登場しなかったCIAエージェントのフィリックス・ライターも復活する。
一新にともなって映画の定番であった「ガンバレル」のオープニングも一新された(第22作「慰めの報酬」以後、映画の終わりにガンバレル・シークエンスが出されるようになる)。
「慰めの報酬」は前作「カジノ・ロワイヤル」の続編となっており、死んだ恋人ヴェスパー・リンドの復讐と同時に、前作の敵であったル・シッフルの背後にあった組織を追いかけ、これを壊滅寸前にまで追い込んだ(完全に壊滅したかはわからない)。
2012年夏季オリンピック・ロンドン大会の開会式に際して、ボンドがイギリス女王エリザベス2世の護衛として共にスタジアムに向かい、ヘリコプターからダイブする・・・という映像が制作された。宮殿および女王の居室は本物を使用し、エリザベス2世にもセリフが用意され、ボンドに「こんばんは、ミスター・ボンド(“Good evening,Mr.Bond”)」と声をかけている。実際に会場ではそれに連動してヘリコプターが上空に現れ、“エリザベス2世”と“ジェームズ・ボンド”の二人がユニオンジャックのパラシュートでダイブする、というアトラクションが展開された。無論、会場上空でダイブした二人はスタントによるものであるが、国家元首の登場という大きな場面がこういった演出でなされることは前代未聞であった。なお、「幸福と栄光を(Happy & Glorious)」と題されたこの映像によって、エリザベス2世は歴代“最高齢”のボンドガールとなった。
第22作「慰めの報酬」公開の後、配給会社のMCMが破産したことで存続の危機に陥ったが、コロンビア映画(ソニー・ピクチャーズ)、20世紀フォックス社など数社が請け負う事で無事に第23作「スカイフォール」の公開にこぎつけ、シリーズ最高の興行収入を達成した(厳密に言えば「慰めの報酬」もソニー・ピクチャーズ等の支援が無ければ制作・公開が出来なかった)。
「スカイ・フォール」は前2作品とはつながっていない単独の作品。対峙する敵は元MI6の諜報員で、潜入先で拉致された際救援を出さず見限ったMに復讐を企て、MI6本部をハッキング攻撃や爆弾で襲撃するほか、政府中枢へのテロをも行う事でMを政治的・立場的に排除し、最終的には殺害をも試みようとする凶悪な存在であった。このとき、MI6では00部署(ダブルオー・セクション)によるスパイ活動の中止を求める政府への対応に苦慮していた。そこへ数々の不祥事がMI6に起きたことでMは次第に追い詰められていく。Mをあぶりだす為ロンドン中心でのテロ活動にも手を出した悪役から逃れるためにボンドは自分の故郷へとMを連れて行く(ここでボンドの素性が明らかになってくる)。
同作内で明らかになった事は、ボンドはスコットランドにある「スカイフォール」荘で生まれた。父アンドリューと母モニクとは幼くして死別し、以後の養育は屋敷の使用人であったキンケイドが、そして後にMに拾われてスパイへの道を進んだ・・・という事であった。(既に「女王陛下の007」で、ボンド家は遡ると14世紀と18世紀に隆盛した貴族に起源があり、家訓が「世界だけでは物足りない("World is not enough")」である事が明らかになっている)。このボンドの故郷スカイフォール荘でボンドとM、キンケイドは敵を迎え撃つが、撃たれた傷が予想以上に重かった「M」は失血がひどく殉職してしまった(シリーズで初めてのMの殉職)。
ジュディ・デンチはこれで実質的に降板となった。(デンチはインタビューで「夫から、おばあさんにもなってもスパイを使って世界を救う必要があるのかいと言われた」と降板の意図についてジョークを言っている)。また、制作当初はボンドの生家を管理する老人キンケイドの役に初代ボンドであるショーン・コネリーか2代目ボンドのジョージ・レーゼンビーをカメオ出演させる案もあったが、諸事情により実現できなかった為、名優アルバート・フィニーがその役を担当した。
映画中ではボンドの愛車であるアストンマーチン(ギアチェンジの部分に緊急用脱出装置がついている。初代ボンドであるショーン・コネリーが使っていた型のもの)が銃撃でメチャクチャに壊れていく様、自分の起源である故郷「スカイフォール」荘が敵によって爆破され炎上していく・・・という演出で「これまでのジェームズ・ボンドとの決別」と共にキャストの入れ替えも含めて「新しいボンドシリーズの始まり」を表現した。
キャストの入れ替えでメカニック担当の「Q」が再登場。デズモント・リュウェリンとは一転して「ニキビ面の坊や」(ボンドのセリフ)という青年になって登場した。「白衣を着ていないのが不満?」「ペン型爆弾なんて古臭い」と、これまでのQが築いたスタイルを皮肉でオマージュした。新しいMは国防委員長ギャレル・マロリーとなり、秘書のミス・マニーペニー(イブ・マニーペニー)も復活した。
2014年12月4日、イオンプロダクションはシリーズ第24作目「スペクター」の制作を正式に発表した。公開は2015年12月。
2015年夏に公開された予告編で明らかになった事は、前作で焼失したボンドの故郷「スカイフォール」荘に残されていたボンドの父・アンドリューの遺品から「スペクター」という組織の存在が明らかになっていく・・・という内容であった。
初期シリーズの敵対組織であり、2代目ボンド、ジョージ・レーゼンビー降板後に起きたスタッフ内の対立によって封印された敵対組織「スペクター」が復活する事となった。ただしこれまでのシリーズと異なり、首領がエルンスト・ブロフェルドからフランツ・オーベルハウザーへと変更される。BGMの随所に「女王陛下の007」のメインテーマのメロディーを用いたものがある事から、今作はシリーズにおいてボンドの転換点を描いた「女王陛下の007」のように、ダニエル・クレイグからの新しいボンドにとっての大きな転換点を作品のテーマに置かれているという。
ボンドガールには女優として初めてフランス・カンヌ映画祭でパルム・ドール(最優秀賞)を受賞した人気女優のレア・セドゥ、セクシーな作品で魅了するモニカ・ベルッチが選ばれた。モニカは50歳でボンドガールを演じる事となった。タイトルソング(テーマソング)は新進気鋭のアーティスト、サム・スミスが担当する(クレイグ・ボンドになってから、テーマソングの題名が映画のタイトルと異なるものを採用するのはこれが2作目となり、歴代初の事となった)。
2016年に第25作目「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の企画が立ち上がる。当初監督はダニー・ボイルとジョン・ホッジの共同体制で担当することになっていたが、両者の創造性の違いからボイルが離脱。後任としてキャリー・ジョージ・フクナガが就任し、撮影が進められる。
2020年に発生した新型コロナウイルスによるパンデミックによる数回の公開延期をへて、2021年9月末にイギリスで上映開始。日本でもほぼ同時期の10月1日に公開された。本作でダニエルは6代目ボンドを卒業するため、エピソード冒頭でもボンドが現役を退いたことが反映されている。
時代は2020年代へと突入し、次回作は7代目ボンドのデビュー作。今後どのようなボンド像が描かれるか、世界中の007ファンからの視線が集まっている。
知名度を利用した活動
007は主人公がスパイだけに、世界中様々な場所が舞台となる。また、作品の世界をリアルに描くために世界中をロケハンティングし、可能な限り現地でのロケ撮影を行う(ロケハンから撮影、俳優やスタッフの旅費を始めとする諸費用が毎回莫大にかかる。故に世界的に経済不況の際にはイオン・プロダクションの経営を大きく圧迫した。近年の経営不振も世界的経済不況の影響が大きい)。
冷戦中は旧東側諸国(共産圏諸国)において「敵性映画」と見なされていたが、冷戦終局後は旧東側諸国での積極的なロケ、およびロケ誘致活動が行われている。
敵役にはアジア系の人物が用いられる事が多い。「ゴールドフィンガー」では従者オット・ジョブ役を日系人プロレスラーであるハロルド坂田(日本名:坂田敏行)が演じた。ハロルド坂田は同作品に出演後、プロレスのリングに上がる際には劇中で武器として用いてトレードマークとなった鋼鉄の刃の入ったシルクハットをかぶって登場するようになった。
日本が舞台となった「007は二度死ぬ」では東京都内(旧蔵前国技館・銀座・地下鉄丸ノ内線中野新橋駅・代々木公園)、静岡県(富士スピードウェイ)、兵庫県(姫路・神戸)、鹿児島(鹿児島市・霧島・旧坊津町)、和歌山県(熊野速玉大社)などがロケ地となった。元より各所とも観光地および有名な場所ではあるが、007ファンの外国人観光客には特に印象的な場所となっている。
その他では「ダイ・アナザー・デイ」では北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が舞台となり、悪役として「ヌーン大佐(将軍)」親子が登場。モデルは明らかに当時の指導者である金正日と父の金日成であり、作中で父を殺すという内容であった事から金正日および北朝鮮当局から猛烈な批判を受けた。当然ながら北朝鮮国内でのロケは不可能であった為撮影所にセットを作った。背景撮影は韓国で行われた。
現在最新作である「スカイフォール」では敵の本拠地という設定で、「軍艦島」の別名で知られる長崎県長崎市沖の端島がロケ地として選ばれた。当初は現地での撮影が予定されていたが島内建築物の老朽化によって事故の可能性が考えられた結果、外観および島内主要箇所の風景映像だけをロケ隊が収録し、島内はスタジオに再現して収録した。
招致活動は現在も積極的に行われている。日本では、シリーズ原作小説(作者はレイモンド・ベンソン)「赤い刺青の男」において北海道登別市と香川県直島町が登場することから、これに岡山県瀬戸内市も加わって「007映画招致委員会」が組織された。香川県では「直島より愛をこめて("From Naoshima,With Love...")」というオリジナルフィルムも作成され、直島に「007"赤い刺青の男"記念館」も設置された。これらの活動報告は現在でも積極的にイオン・プロダクションおよびバーバラ・ブロッコリに送られている。
その他にも、知名度に期待して多くの会社が映画製作のスポンサーに付き、その商品をボンドに使用させる事によって宣伝をするという方法も行われた。ボンドカーがその代表でもあり、ボンドの愛車としておなじみのアストンマーチンや、ムーア・ボンドが愛車としたロータス、ブロスナン版ではBMW、日本ではトヨタ自動車(TOYOTA2000GT、クラウンなど)などが車両を提供して広告活動を展開している。作品内でボンド・カーはオリジナルの改造がなされ、常に10台以上の車がチェイスシーンやスタントシーンで大破するが(映画全体では常に100台近くの車が破壊される)、それらもすべて自動車会社が提供する。ただし、壊される分だけ登場回数が多くなることから、メーカーは「ボンドに何台壊されたか」を一つの業績として捉えているという。(第21作「カジノロワイヤル」では、クラッシュシーンにおいてアストンマーチンの車が23回半横転して大破する。これが「一台の車でのクラッシュシーンにおける横転数」として世界一となり、ギネスブックに掲載された)。
その他ではコカ・コーラ社やVISAカードもスポンサーについており、それぞれの宣伝活動にボンド役の俳優を起用した。日本ではタバコ「LARK」のCMにロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナンが出演していた事が知られている。CASIO、SONY、すばる自動車、三菱グループ、カワサキなど日本企業も多く名を連ねる。
デュポン社(ライター)、「ボランジェ」(シャンパン)、マティーニグラス、オメガ社(時計「シーマスター」)、ロレックス社(時計「サブマリーナ」)などといったボンドの愛用品、ゆかりの品にまつわるメーカーとのタイアップ商品や、ブリティッシュ航空、「モノポリー」などといったイギリスに由来もしくは本社を持つ商品を重点的にコラボ製品も展開している(同時にスポンサーとしても支援を受けている)。
スイスの時計メーカー「スウォッチ」社では、シリーズ40周年と50周年の記念にそれぞれコラボレーション商品を発表している(40周年はシリーズ代表作品をイメージデザインした「007 40thアニバーサリー・シリーズ」、50周年記念では歴代の悪役をイメージした「007 ヴィラン・コレクション」を発売した)。
ニコニコにおける007
ニコニコではNINTENDO64で発売されたゲーム・ゴールデンアイ007の人気が高い。
プレイ動画の人気が高いニコニコでは『007』『ゴールデンアイ』という言葉が使われた場合、本来の作品ではなくこのゲームをさす場合が多い。
これは元々のゲーム自体の人気が高い、お楽しみモードやバグによる変な遊び方が出来る、ニコニコを利用している世代がNINTENDO64をプレイしていた世代が多い、などが理由として挙げられる。
詳細は該当記事ゴールデンアイ007を参照。
シリーズ一覧 (ボンドを演じた俳優)
タイトル | 製作年 | ジェームズ・ボンド役 | |
---|---|---|---|
第1作 | 『007 ドクター・ノオ(007は殺しの番号)』 | 1962年 | ショーン・コネリー |
第2作 | 『007 ロシアより愛をこめて(危機一発)』 | 1963年 | ショーン・コネリー |
第3作 | 『007 ゴールドフィンガー』 | 1964年 | ショーン・コネリー |
第4作 | 『007 サンダーボール作戦』 | 1965年 | ショーン・コネリー |
第5作 | 『007は二度死ぬ』 | 1967年 | ショーン・コネリー |
第6作 | 『女王陛下の007』 | 1969年 | ジョージ・レーゼンビー |
第7作 | 『007 ダイヤモンドは永遠に』 | 1971年 | ショーン・コネリー |
第8作 | 『007 死ぬのは奴らだ』 | 1973年 | ロジャー・ムーア |
第9作 | 『007 黄金銃を持つ男』 | 1974年 | ロジャー・ムーア |
第10作 | 『007 私を愛したスパイ』 | 1977年 | ロジャー・ムーア |
第11作 | 『007 ムーンレイカー』 | 1979年 | ロジャー・ムーア |
第12作 | 『007 ユア・アイズ・オンリー』 | 1981年 | ロジャー・ムーア |
第13作 | 『007 オクトパシー』 | 1983年 | ロジャー・ムーア |
第14作 | 『007 美しき獲物たち』 | 1985年 | ロジャー・ムーア |
第15作 | 『007 リビング・デイライツ』 | 1987年 | ティモシー・ダルトン |
第16作 | 『007 消されたライセンス』 | 1989年 | ティモシー・ダルトン |
第17作 | 『007 ゴールデンアイ』 | 1995年 | ピアース・ブロスナン |
第18作 | 『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』 | 1997年 | ピアース・ブロスナン |
第19作 | 『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』 | 1999年 | ピアース・ブロスナン |
第20作 | 『007 ダイ・アナザー・デイ』 | 2002年 | ピアース・ブロスナン |
第21作 | 『007 カジノ・ロワイヤル』 | 2006年 | ダニエル・クレイグ |
第22作 | 『007 慰めの報酬』 | 2008年 | ダニエル・クレイグ |
第23作 | 『007 スカイフォール』 | 2012年 | ダニエル・クレイグ |
第24作 | 『007 スペクター』 | 2015年 | ダニエル・クレイグ |
第25作 | 『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』 | 2021年 | ダニエル・クレイグ |
吹替え(声の出演)について
ジェームズ・ボンドのキャラクター設定については5代目ボンドのピアース・ブロスナンまではそれまでのボンドの“記憶”を引き継いでいる事になっている。ダニエル・クレイグが6代目ボンドとして選ばれた際、そのデビュー作が007シリーズ自体の処女作である「カジノ・ロワイヤル」であった事から、心機一転して新しいボンド像を描くことになった。
ただし、「相手を選ばずジョーク(ロイヤル・ジョーク)や皮肉を飛ばす事」「女性を見ると口説こうとする」という部分だけは変わっていない。吹き替え翻訳においても翻訳家がこれらのジョークや皮肉も日本人にも分かりやすいものに変えているのであるが、吹替を担当する声優がそこへ(ストーリー展開上問題のない程度の)アドリブを入れる事によって、さらに皮肉屋としてのボンド像が浮かび上がる。加えて代が変わるごとにイメージも変わる為に、ボンドを担当する声優はその力量が試される。
その点では初代ボンド、ショーン・コネリーを担当した若山弦蔵と3代目ボンド、ロジャー・ムーアを担当した広川太一郎、5代目ボンド、ピアース・ブロスナンの担当(特に田中秀幸)は登板作品数も多かった事もあって、熟練したテクニックを吹替で披露している。
ティモシー・ダルトンの初回吹き替えを担当した小川真司は、その後「007は二度死ぬ」(DVD版)で丹波哲郎演じるタイガー田中、「トゥモロー・ネバー・ダイ」の悪役であるエリオット・カーヴァー(ジョナサン・プライズ)の吹替を担当した他、自らが過去にボンドの吹き替えをした「リビング・デイライツ」のTV放送版では悪役のコスコフ将軍も担当したこともあり、007シリーズ吹き替えの常連でもある。
以下、歴代ボンドの吹替担当。
ショーン・コネリー:日高晤郎、若山弦蔵(「ネバーセイ・ネバーアゲイン」も含む)、内海賢二
ティモシー・ダルトン:小川真司、大塚芳忠、鈴置洋孝、田中秀幸、山寺宏一
ピアース・ブロスナン:神谷明、横島亘、江原正士、田中秀幸、堀内賢雄(※ゲーム版吹替)
コミカライズ版
小学館から刊行されていた「ボーイズライフ」(現在のビッグコミックの前身)でさいとうたかをによる漫画版が連載されており、1968年には単行本が全4巻発売されていた。昭和50年代初頭に文庫版として一度復刻がなされたものの、「ロイヤリティが高すぎて赤字になる」との理由で長い間復刻がされないまま幻の作品と化していたが、さいとうたかを画業60周年記念として2015年に久々の復刻版が発売されている。
関連動画
関連項目
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