コウテイペンギンとは、ペンギンの一種である。
概要
アデリーペンギンと並んで最も有名なペンギンの一種。南極大陸に生息しており、エンペラーペンギンと呼ばれることもある。
漢字で書くと皇帝ペンギンであるが、肯定ペンギンである可能性も否定できない。
体長は1~1.3mで、現生のペンギンでは最大の大きさを誇る。体色は黒と白が基調で、首元から胸にかけてが黄色となっている。名前も外見もオウサマペンギン(キングペンギン)に似ているが、向こうは体長が1m以下と小型であることから区別できる。
ちなみにお馴染みのピングーも、品種はこのコウテイペンギンである。
ペンギンの飼育に実績のある長崎水族館(現:長崎ペンギン水族館)では、水族館にやってきて約28年間生きたコウテイペンギンの「フジ」の記録とその剥製が展示されている。
過酷過ぎるコウテイペンギンの子育て
最も過酷な環境で子育てを行う鳥類と言われている。上記のアデリーペンギンと同じ生息地で暮らしながら、コウテイペンギンの繁殖方法は彼等とまるで異なるものとなる。
コウテイペンギンの繁殖シーズンは秋から冬にかけて始まる。繁殖シーズンとなると、コウテイペンギンの一団は総出で営巣地である南極の内陸部に向かう。海岸からそこまでの距離はおおよそ50キロから160キロメートル程度で、夏の海岸で繁殖するアデリーペンギンとは正反対の行動をとる。
何故このような行動をとるかというと、極寒の世界にあえて飛び込むことによって、繁殖中における外敵の襲撃から身を守るためだと言われている(およそ過酷な環境で子育てをする動物は、外敵との遭遇を避ける目的であることが多い)。
到着するとまずメスが産卵する。一度に産める卵は1個のみである。
産卵直後、即座にパートナーであるオスに卵を託す。オスは卵を受けとると、自分の両足の間にある「x」と呼ばれる場所へ入れて抱卵する。保育嚢は30度程度の温度を維持出来る空間であり、卵の保温及び、孵った雛の体温低下を防ぐために利用する。
なおこの時、卵の受け渡しに少しでも手間取ると、卵は孵る前に凍死する。
卵を渡したメスは、産卵時の疲労による体力低下を補うため、餌を求めて海へと向かい、また100キロ前後の長い徒歩の旅へと出発する。
残されたオスは、マイナス50度にも達するほどの極寒と、人間が吹き飛ばされると言われるほどのブリザードが吹き荒れる中で子育てを行う。
メスが食事のために海へ向かうところを見てもわかるように、内陸部にはコウテイペンギンの食べ物となるものは存在しない。よって、残されたオスはメスが帰ってくるまでの数ヶ月間、ほとんど飲まず食わず(食べるとしても水分補給のための雪くらい)、立ったままで卵を寒さから身を挺して守っていくことになる。
体力低下を防ぐため、コウテイペンギンのオスは身を寄せ合い、ほとんど眠ったような状態で過ごす。すると中央部にいるオスはともかく、外側にいるオス達は他の個体よりブリザードに曝されて弱ってしまう。なので彼等は、少しずつ動いてその役割を交代しながら、助けあってブリザードの極寒の中を生き抜いていく。
8月頃には雛が孵るが、ここからがオスの本当の勝負である。雛が孵るのはメスが帰ってくる前後であり、オスはメスが帰ってきて雛の世話を交代するまで、最後の忍耐期間に入る。雛が孵ると、オスは食道から「ペンギンミルク」と呼ばれる脂肪分とタンパク質の詰まった白い分泌物を口移しで雛に与える。
しかし、ペンギンミルクを出すのにも限りがある。オスは雛が孵ってから10日以内にメスが帰ってこないと、自分の命を優先して雛を置き去りにしてしまう。
メスは、鳴き声で自分のパートナーを見分けるが、流石に数が多いためすぐには見つけることが出来ない。そこで効率よく合流するため、オスは列を作って行進し、メスとすれ違って確認することもある。
なんとかメスと合流出来たオスは、食事のため入れ替わりにかつてのメスと同じように海岸へと向かって出発する。ちなみにこの時、あまりにも弱ってしまったオスは、途中で力尽きて死んでしまうこともある。
メスと合流出来れば、あとは順風満帆……とはいかず、寒さで死んでしまったりするなどして、成長しきる前に半数の雛が命を落とすと言われている。
雛を失ったメスは、その後成長期の雛が親とはぐれているのを見るや、誘拐して自分の物にしようとすることがある。一羽の雛にメスが群がることで、雛が押し潰されてしまうこともある。
こういった過酷な環境を乗り越えた雛だけが生き残り、独り立ちのためいろんなことを覚え、やがて親離れを果たす。親離れを果たした雛達は、雛だけでまた別の群れをなして、自分達だけで大海原へと出発する。
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関連項目
以下、コウテイペンギンを飼育中(2018年現在)の水族館のうちニコニコ大百科に記事があるもの
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