ニコニコ大百科急上昇ワード放置問題とは、ニコニコ大百科を運営する株式会社ドワンゴが、ニコニコ大百科の「急上昇ワード」に関連する問題へ行う対策が不十分であり、事実上の放置状態になっていたとされる問題である。
後述の通り、2020年8月に「急上昇ワード」の仕様変更が行われ、問題の改善が試みられた「急上昇ワード改」となることで一旦は対応された状態だが、現状の仕様を是とするかどうかは意見が分かれている。
概要
ニコニコ大百科には「急上昇ワード」というランキング機能があり、PC版ニコニコ大百科のすべてのページで直近3時間・全記事・全端末からのランキングが5位まで表示されているほか、日付/記事種類/閲覧端末の組み合わせごとに各20位(週間のみ50位)までのランキングも提供されている。
これはニコニコ大百科で注目を集めている記事をランキング化するもので、話題の単語や流行のコンテンツを反映しやすく、また魅力的な記事の発見にも役立つとされる。しかしながら、実際はこういった効果が期待できない状態にあるとして、以下のような複数の問題がユーザーから挙げられていた。
なお単に「急上昇ワード」とだけ称される場合、最も露出の多い「直近3時間・全記事・全端末ランキングの上位5位」について指している場合が多い。[1]
挙げられていた(いる)問題点
急上昇ワード入りする記事の固定化
この機能が「急上昇ワード」という名称であるにもかかわらず、ほとんど同じ記事ばかりランク入りしていることを問題視する意見が多数存在した。
特に上位5位の顔ぶれは要因のポジティブ・ネガティブを問わず長期間にわたって固定化する傾向があり、新しい単語が1つか2つ入っても他は以前から残っている記事である場合が多い。この現状が急上昇ワードの名が与える印象と相反しているとして、多くのユーザーから改善を求める意見とともに対応策の提案が行われていた。
急上昇ワードの算出方法に手を加える対応策としては、アクセス数そのものではなくアクセスの増加率を重視する、一定期間急上昇ワードに掲載され続けた記事をその後しばらくの集計から除外するなどの提案があった。
このような提案を実施した場合、急上昇ワードでの流動性や流行の反映度を向上させる効果が見込めるが、一方で仕様の穴を付く形で立て逃げ記事が乱立するのでないかという指摘、また既存の急上昇ワードとは別枠として「新着急上昇ワード」を設けるべきとする意見もあった。
この他には、現状の急上昇ワードはむしろ「話題の記事」などといった名称の方が適切であるとして、算出方式はそのままに名前のみ変更することで名実不一致の解決を図るとする対応策が提案されていた。これについては算出方式の変更に比べてはるかに容易く実現可能であるが、一方で根本的解決にならず結局不満が上がってしまうとする意見もあった。
ニコ百公式ブロマガの記事(後述)でも、ユーザーによる意見の一つとして「一定期間急上昇になってる記事は除外されるようにしてほしい」という提案が紹介されていた。
炎上コンテンツの記事が大量に表示される
いわゆる「炎上」状態になったタレントやコンテンツにおいて、それを扱うニコ百記事の掲示板(について語るスレ)が連鎖して炎上状態になり、その影響で急上昇ワードの上位にランク入りするケースが多発していた。
炎上している対象そのものの記事のみならず、それに関連する単語(周囲の人物や関係者、登場キャラクターなど)の記事でも同様の現象が起こることで上位5位のうち3, 4つを炎上記事が占めることも珍しくなく、場合によっては5つ全てを占拠してしまうこともあった。
また、過度な批判そのものを目的とした記事が作成されランク入りすることもしばしば起こるようになっており、急上昇ワードの存在がこういった記事の需要喚起や拡散に与しているとする意見もあった。
先述の通り、最新の急上昇ワード上位5位はマイページや編集画面を含むPC版ニコニコ大百科におけるすべてのページで右上に表示されるため、それを炎上コンテンツが占拠するのは炎上とは関係ない利用者にも影響を及ぼす。特に、2019年のけものフレンズ2を巡る騒動では半年近く騒動の関連記事が急上昇ワードやほめられた記事を独占し、本来の機能を果たさない様子が批判されていた。
後述するブロマガ記事では、運営自身の手によって「急上昇がネガティブばっかなのが疲れる 大百科にアクセスするのを躊躇してしまう」というユーザーの意見が紹介されている。
運営による拡散
ニコニコ大百科の公式ブロマガでは、「今週のニコニコ大百科 HOTワード」と題して一週間のアクセス数が多かった記事のランキングを公表しており、また公式Twitterでも「週間HOTワードランキング」として同様のランキングを掲載しているが、そこでは過度な批判を行う記事や炎上したコンテンツの記事もそのまま紹介されている。
これについて、ニコニコ大百科を運営するドワンゴ自身がSNSを介して大百科におけるコンテンツの炎上や過度な批判を煽動・拡散しているとする批判があり、この点を特に問題視し「急上昇ワードについては現状で特に問題ないが、運営による週間HOTワードランキングの発表は止めるべきだ」とする意見もあった。
そもそも、ニコニコ大百科の公式Twitterは元々は#nicopediaのタグを付けたユーザーが紹介している記事を主に採り上げる役目を担っていたが、けものフレンズ1期のたつき監督降板騒動で関連ワードがその騒動のものばかりになってしまい、やむを得ず仕様を変更した経緯がある。
今週のニコニコ大百科 HOTワードでは1~10位にランクインした記事についてした要因が紹介されるが、マイナスな要因でランクインした記事については「一連の騒動のため」とややぼかした表現を行うなど若干の配慮がみられる場合がある。しかしながら記事そのものはいかなる記事名・内容でもそのまま掲載する、「○位の記事の閲覧数増加は○位の記事の騒動が影響している」と関連付けて紹介するなど、炎上を助長しないと言い切れるものでもない。
運営の対応
ニコニコ大百科運営は2020年6月19日に行われたニコニコ大百科運営生放送#9に寄せられた意見への回答(参照リンク)として、
- 「一定期間急上昇になってる記事は除外されるようにしてほしい」
- 「急上昇がネガティブばっかなのが疲れる 大百科にアクセスするのを躊躇してしまうのでなんとかしてほしい」
- 「急上昇ワードをもっとニコニコできるような感じにしてほしい」
といった意見を取り上げ、「『急上昇ワード』につきまして、掲出基準の変更を現在検討中です。具体的な仕様の公開予定はございませんが、随時試行し、改善していきます。」と見解を述べた。
この記事で挙げられた問題を含め、急上昇ワードに関して大百科運営に意見したい場合は、「ニコニコ大百科について | ニコニコヘルプ」ページ下部の「サポートに問い合せる」からサポート窓口へ送るのが望ましい。また、大百科運営はブロマガや生放送などで不定期にユーザーからの意見を募っており、そちらをチェックするのも効果的だろう。
2020年8月26日、ニコニコ大百科公式ブロマガの記事「ユーザーの皆さんからのご意見・ご要望への対応状況について」において、以下の報告がなされた。
・急上昇ワード欄につきまして
以前より多数の要望を頂きながら、対応が遅れている現状につきましては、非常に申し訳なく思っております。
急上昇ワード欄につきましては、現在の仕様は実質的に「PVランキング」に近いものとなっています。そのため、真に「急上昇」した記事が並ぶような方式とする仕組みを準備中でございます。
皆様に提示出来るものが出来上がりましたらいち早くお知らせ致しますので、今しばらくお待ちください。
ニコニコ大百科運営としては、現在の急上昇ワード機能がその名に伴わない仕様になっていると認めた上で、この記事でいう算出方法の変更に近い対応を準備しているようだ。
およそ2週間後の2020年9月8日、ニコニコインフォおよびニコニコ大百科公式ブロマガにて「急上昇ワードの算出方法変更とそれに伴う仕様変更につきまして」が告知された。詳細は各リンク先をご確認願いたいが、以下に要点を挙げる。
- 2020年9月10日より、「急上昇ワード」の算出方法を変更し、名称も「急上昇ワード改」とする。
- これに関連して「今週のニコニコ大百科 HOTワード」に関しても改訂を行い、2020/09/02-2020/09/08のランキングより「掲示板に何らかの規制がなされている記事は取り扱わない」処置を取る。
ブロマガでは上記に加え、「ネガティブなワードが長期間にわたり表示される傾向」について指摘されてきたことへの言及や、HOTワードについて「ユーザー様から加熱している事柄・記事を拡散していると捉えかねない現状」という文言もあり、おおむね当記事で挙げられている問題点すべてについて認識と対処が表明されたと思われる。
関連リンク
関連項目
脚注
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